俳優の渡辺徹さんが、敗血症のため亡くなったことを所属事務所が12月2日、発表した。61歳だった。

所属事務所によると、渡辺さんは11月20日に発熱。

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腹痛などの症状も見られたため、都内の病院を受診したところ、細菌性胃腸炎ですぐに入院。

その後、敗血症と診断され治療を続けてきたが、11月28日に亡くなった。

出演ドラマが大ヒット 芸能界きっての“おしどり夫婦”

渡辺さんは1981年に文学座に入団。その年、大ヒット刑事ドラマ「太陽にほえろ!」に出演。演じた刑事がラグビー部出身だったため、劇中では「ラガー」の愛称で親しまれた。甘いルックスもあり、人気俳優の仲間入り。歌手としても活動していた。

プライベートでは1987年、ドラマでの共演をきっかけに交際していた女優の榊原郁恵(63)さんと結婚。

同年3月の婚約会見で、記者から心境を問われ「でへへへへへ」と照れ笑いした渡辺さん(当時25)に対し、榊原さん(当時27)は「でへへへ、じゃないでしょ!ちゃんと答えてよ!」とツッコミを入れるなど、結婚前から既に息ぴったりな様子を見せていた。

同年10月に行われた結婚披露宴はテレビ中継され、大きなニュースとなった。「この人(榊原郁恵さん)が本当に俺のものになるのかと。男冥利(みょうり)につきるというか、すごい素晴らしかったです。キレイだったです」と渡辺さんの幸せいっぱいの表情が印象的だった。

その後、1989年には長男でタレントの裕太さんが、96年には次男が誕生。たびたび夫婦で番組出演するなど、芸能界きっての“おしどり夫婦”として知られていた。

2021年9月には、フジテレビの情報番組「ノンストップ!」に家族3人で出演。

榊原郁恵さん:
(子供の)運動会だと張り切るわけですよ。競技に参加して目立つことをするんですよ。

渡辺徹さん:
そりゃそうですよね、普通運動会はね。目立つっていうか目立っちゃうんですね(笑)

などと話し、おしどり夫婦ならでは息の合った掛け合いをみせていた。

30代で糖尿病を発症、2度の心臓病も

幸せな結婚生活を送る一方、たびたび健康面の不安も報じられてきた。

デビュー当時の体重は69kg。スリムな体型でアイドル的な人気を博していた渡辺さん。しかし、若い頃から食べることが大好きで、多い時には1日6食も食べることがあったという。

郁恵さんと結婚する時には体重は130kgになり、30代で糖尿病を発症。急激なダイエットとリバウンドを繰り返していた。

2012年には、虚血性心疾患で6時間に及ぶ手術を受けた。

渡辺徹さん:
何よりもビックリしたのは、飯が食えなくなってきたんですね。今まで何があっても飯は食ってきたのに、虚血性心疾患の中でいわゆる心筋梗塞の状態だと…。

――手術中は何を考えていた?

渡辺徹さん:
カツ丼が浮かんでいた。アレなんですかね。ずっとカツ丼が浮かんでいたんですよね。

仕事復帰会見では手術中のエピソードで周囲を笑わせるなど、復調した様子を見せていた。

郁恵さんの勧めで精密検査 大動脈弁狭窄症で入院

2021年3月には自身初のミュージカルに出演。その際の体調面の不安について、渡辺さんは、フジテレビ「バイキングMORE」(2021年8月放送)でこう語っていた。

渡辺徹さん:
舞台に出ている時は、集中しているからなのでしょうか、何でもないんですけど。袖に引っ込んだり、(舞台)裏をまわったりする時に、なんか息切れするというか、ちょっと咳が出るというか。調子が疲れやすいといいますかね。自分の中では、そんなに重大とは思っていなかったわけですから。

この時、夫の異変に気がついたのは妻の郁恵さんだった。「顔色がよくない。無理しない方がいい」と言われ、郁恵さんの勧めで精密検査を受けたところ、大動脈弁狭窄症の診断を受け入院。

医師からは「突然死してもおかしくない状態」と告げられ、ミュージカルを途中降板し、4月に手術を受けた。

同番組で郁恵さんは、「心臓ですからね。何か異常があった時には決定的な事だったりする場合もありますから、これは不幸中の幸いだった」と振り返った。

ここ数年は病との闘いが続いていた。2022年10月、舞台「今度は愛妻家」で店のママ役を演じていた渡辺さん。

会見で少し痩せたことについて聞かれると、「今頃ですか?そうなんですよ。少しじゃない。ずいぶんなんですけどもね」と答え、舞台のためなのか問われると、「“役者バカ”ですから。役によってこれまでも太ったり、太ったり、太ったりしてきましたが(笑)今回はちょっと太らないように意識していこうかなと思ってます」と話していた。

体重については、「最盛期が130kg。今は73kgぐらいですかね。全ては妻のおかげでございます」と郁恵さんへの感謝の言葉も語っていた。

心臓病のフォーラム出演が“最後の公の場”に

亡くなる9日前、病院を受診する前日の11月19日には、秋田大学で行われた「心臓病とともに元気に生きる」というテーマの医療フォーラムに出演。

渡辺徹さん:
私自身が、実は過去二度ほど大きな心臓病を患いまして。「まさか俺が?」が最初にくるんですね。「えっ」という驚き。それともうひとつ思ったことは、先生との出会いがものすごく大事だなと思いました。

この姿が最後の公の場となった渡辺さん。

関係者によると、この時少し体調を崩していたため、秋田県にはいたもののリモートでの出演となったという。

この時の様子は渡辺さんの公式ブログにも綴られ、「秋田名物いぶりがっこなどが入り、ホッとする弁当であった」と駅弁を楽しむ様子も書かれていた。

しかし翌日になり、発熱や腹痛などを訴え入院。細菌性胃腸炎と診断。その後、敗血症となり、治療を続けてきたが、61歳で亡くなった。

「太陽にほえろ!」で共演した俳優・勝野洋さんは、「ご家族の悲しみを考えるとショックで言葉になりません」とコメント。

渡辺さんの葬儀は近く家族葬で執り行われ、後日お別れ会を予定。妻の郁恵さんと長男の裕太さんは、来週にも会見を開くとしている。

(「イット!」 12月2日放送)