愛媛県教育委員会が示した県立高校・中等教育学校の再編計画案。今後5年以内に55校から44校に再編する計画案に、卒業生や保護者からさまざまな声があがっている。

そのひとつ、松山市の北条高校は2026年に「愛媛風早高校(仮称)」と名称を変更したうえで、現在の全日制から「通信制」と「定時制」への改編が検討されている。
再編計画に求めるのは、「子供たちの未来」と「地域の未来」。あるOBの思いを取材した。

再編整備基準には矛盾点も…現役高校生に思い巡らせ

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
きょうは60食用意しています。だいたい60~70食くらいですね

河﨑元さんは、松山市の三津浜で週に一度、子供たちに無料でお弁当を提供する「こども食堂」を営んでいる。

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北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
子供たちがまず地域で元気に遊んで走り回ってくれないと、未来にはつながっていかないと思うので、そのために我々大人が本気でできることっていうのを考えて

子供たちのために。
そんな河﨑さんは今、自身の母校・北条高校に通う高校生たちへも思いを巡らせていた。

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
実際に学校に通っている、現役のふたりの子から聞いた話が一番僕の中では大きくて

7月12日、県立学校の再編計画で北条高校は「全日制」から「通信制」と「定時制」へ改編する案が示された。

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
生徒会長が野球部で、今年、北条高校が史上初のベスト8まで進出して、大会期間中に実は(高校再編の)発表があって、僕たちもすごく驚いたと。
少しでも上位に勝ち残ることで「北条高校はこんな学校なんだって見せたかったんだ」っていうのを聞いて、すごいなぁって思って。この子たちはそこまで考えて。その時、本当にやっぱりやらないといけないなって思いました

河﨑さんら卒業生や、保護者らが中心となって立ち上げた「北条高校を未来へ繋ぐ有志の会」。

9月にメンバーが集まり、意見を交わした。

北条高同窓会長:
学校から突然「北条高校の名前が変わります」という連絡が事務的に来て、ちょっと待ってくださいと

北条南中PTA会長:
平成17年に(旧北条市が松山市と)合併してから、やっぱりだんだんと北条がさびれていくのが目につきまして、北条地区唯一の高校がなくなると、さらに衰退していくのは目に見えていること

元PTA会長の保護者:
もう少し北条地区の地域のことを考えてできないのかなと

北条高の卒業生:
ひとりひとりに対して大事に接してくれるので、生徒と先生の間の人間関係もとてもいいので

北条高校には、中予の県立高校で唯一「総合学科」がある。国語や数学などの教科に加えて、芸術や福祉など自分の進路や興味にあわせた専門性の高い授業を組み合わせることができる。
また、2022年3月の全国大会では、なぎなた女子団体が日本一に輝くなど部活動も盛んだ。

地域と生徒、教師が共に魅力ある学校作りに取り組んできた中での「再編計画」だった。

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
これが再編整備基準。この中で1学年3学級から8学級を基本とするというふうにあって、今、3学級で進んでいる中でなぜなんだろうな。さらに8学級を基本とするとあるのに、市内の大規模校については9学級を継続しますという、若干矛盾点がある

さらに、「入学生80人以下が3年以上続き」という基準にも北条高校はあてはまらない。

再編整備基準
再編整備基準

会では地域で唯一の学校がなくなることで、子供たちの選択肢が減ることや家庭の経済的な格差が将来の可能性を狭めてしまうことに懸念を抱いている。

地域と子どもたちに「丁寧な説明ほしい」

さらに、定時制・通信制に限定することへの疑問も。

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
定時制って、松山商業もそうですし、松山南、松山工業もそうですけど、街中にあるから通いやすい。それが北条でできるかっていうと、なかなか難しいだろうな。働き口を探すにしても

有志の会では、地域住民や学校関係者の疑問を解消するため、個別説明会の開催を求める要望書を愛媛県教育委員会に提出。

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
北条地域、松山地域が盛り上がることと、この学校振興計画というものを両輪で考えていただけると、非常に発展的な話になるのではないかと感じました

松山市議会にも再編計画の再検討を求め、請願を行った。議員の受けとめはさまざま。

松山市議:
なぜだろうというやりきれなさ、非常にその気持ちはよく分かります

松山市議:
これから20~30年、どんどん人は減っていく。その中で、同じ形で全て残していくのはなかなか難しい

松山市議:
われわれ市議会は地域住民の代弁者であり、地域の思いに寄り添った判断、行動が求められていると思います

請願は委員会で採択され、9月議会で愛媛県と県教育委員会に再検討を求める意見書が採択された。

北条高の卒業生:
僕、弟がおるんですけどね、弟が北条高校行きたいって言よんですよ。人数が少なくても一致団結できるんだっていう高校に行くことを望んでいる子もいるので

北条高の卒業生:
すごい部活頑張っている子もいるので、自分たちが頑張った成績っていうのが全て消えてしまうような感覚があるみたいなところもあるらしいので、卒業した自分たちがどれだけ今の子たちの頑張りを残せるかっていうのがすごい大事かなと思います

地域で学ぶ子どもたちの思いを未来につなぐために。会では丁寧な説明を求めている。

北条高校を未来へ繋ぐ有志の会・河﨑元代表:
定時制を導入していくこと自体、僕は否定するつもりは全くなくて、新しい形の学びはこれから必要になってくるし、県の教育委員会に対して、なんでこういうことするんやっていうわけではなくて、今回の振興計画を一緒にいいものにできるような会話ができればいいなと

(テレビ愛媛)