急激な円安が進み、輸入業者は仕入れ価格の高騰に苦しんでいる。
輸入品の現状を取材する中で、その先にある我々の生活への影響も見えてきた。販売価格に円安分を転嫁すると、商品として成立しない品が、棚から消える現象が起きているのだ。

24年ぶりの円安水準…酒類の仕入れ価格は15~20%上昇

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加速する円安。9月7日には、1988年8月以来約24年ぶりとなる、1ドル=145円近くまで円安が進んだ。

輸入酒を販売する「株式会社 木村」木村拓平 社長:
販売価格を上げざるを得ない
――どれくらい上がる?
仕入れ価格は平均的に15%~20%くらいは上がると思う。ジャンルによっては3割とか5割とか上がるものもありますし

円安や円高を簡単に説明すると、例えば1ドルが100円の時には、100ドルの商品は1万円で買うことが出来る。これが1ドルが150円となると、同じ100ドルの商品を買うために1万5000円必要となり、5000円多く払わなければならなくなる。円の価値が下がる、それが円安だ。

木村拓平 社長:
ドルだと110円前後くらい、最悪120円くらいだったら、たぶんコストを吸収できるギリギリのところですけど

広島市内で酒類の輸入販売をする「株式会社 木村」は、ヨーロッパを中心に、アメリカなどからも幅広く商品を輸入している。ビールだけでも約700種類。中国地方でも有数の輸入販売店だ。

コロナ・インフレ・ウクライナ情勢…すべてが「円安でドーンって」

木村拓平 社長:
円安だけではないですね。円安が最後のダメ押しではありますが、それ以前に全体的に上がってしまっているので。その上がり幅が、全て円安によってさらに上がる

取材を進めると、輸入価格が高騰する原因は、円安の影響だけではないことが分かってきた。

木村拓平社長:
アメリカのインフレほどではないですが、ヨーロッパもイギリスも全体的に物価は上がっている。そこに為替レートの影響がダブルパンチで、コロナとウクライナの戦争の影響もあって輸入も不安定なので、今はトリプルパンチですね

2022年に入って起きたロシアによるウクライナ侵攻が、広島の地にも大きな影響を及ぼしている。

――ヨーロッパからも荷が来ない?
木村拓平 社長:
止まっています。この前スペインのワインの生産者に発注すると「今段ボールが届かないからちょっと待ってくれ」と言って、1カ月くらい段ボールが入らない
――棚が空いてますね?
うちで輸入している商品も、なかなか入ってこないものも多いです

さらに、コロナ禍の影響も、収まっていない。

木村拓平 社長:
コンテナが今は奪い合いなので、コンテナの値段も、このコロナで3倍以上は上がってしまいましたし
――コロナの影響も残っている?
むちゃくちゃありますね。コロナの影響、ウクライナの戦争の影響、海外の物価高全てが、円安でドーンって

「1ドル=120円ほどでやばい」輸入雑貨店「耐えきれない」

一方、広島市南区ある創業35年の輸入雑貨店「バドショップ」。輸入アメリカ雑貨では、広島の草分け的な存在だ。直輸入するアイテムは最大で1万点以上という、広島県外にも多くのファンがいる有名店だが、ここも急激な円安に苦しんでいる。

バドショップ・藤原二紀さん:
ドガーンとくるのは円安です。商品の値上げというのもきますけど、ジャブが徐々にくるという印象。そこにこれだけ円安が急激に、1年に40円くらい進んでしまうと、大逆転ホームランではないですが1発を食らったなという感じです

さらに円安以外の要因が、商品の値段を押し上げていた。

藤原二紀さん:
弊社の場合は1ドル=120円くらいになると、結構やばいなという印象になります。
さらにそこに輸送コストや商品原価のアップも含めると、相当、輸入価格が上がってしまっているので、耐えきれないという感じになってしまっている

市場に合う価格を維持できない → 輸入とりやめ → 商品が減る

この状況は、我々の身近な生活に大きな影響を及ぼす。

藤原二紀さん:
輸入価格が上がったものは、ウエスタン関係のグッズなど。あまりにも上がったので、商品が入れられなくなってしまったものが増えた

――販売価格に合わない?
藤原二紀さん:

販売価格が合わないということです。原価を考えて売値を付けたときに「これは現実的ではないな」という金額になってしまうので、「やめてしまおう」というものはたくさんあります
――結構あるのですか?
そうですね。もともとこの一面にコーナーとしてグッズがあったのですが、だいぶ寂しくなってきたという感じです

最大1万アイテムあった商品は今、2割ほど減っているという。

この状況は「輸入業者、全てに共通する」と藤原さんは言う。そしてこの状況が続けば、「我々の身近なところから商品がなくなっていく」、そんな未来が現実になりつつあると指摘する。

藤原二紀さん:
市場に合った価格というのがあると思う。その価格に出来ないようなものは、どうしても現実的に取り扱いができない。ということは、商品が減っていく、という状態になってしまう
――これまであったものが、当たり前ではなくなる時代が来る?
そうですね

輸入業が直面する現実。我々の身近な生活が、今、確実に変わろうとしている。

(テレビ新広島)