私がお伝えしたいのは「習近平国家主席からのお見舞いメッセージに戸惑い」です。
新型コロナに感染した岸田首相に対し、中国の習主席は「一日も早い回復を願う」などとメッセージを送りました。
ただ中国のミサイルが日本の排他的経済水域に落下し、緊張が高まっているタイミングなだけに政府はその真意を測りかねています。
中には「だまされてはいけない」と身構える声も。
ポイントはこちら。「国交正常化50周年に向けたアプローチ?」注目です。
【注目ポイント・記者解説】
岸田首相のコロナ感染は8月22日に確認されましたが、中国国営の新華社通信によると、習主席は同日、「岸田総理が新型コロナウイルスに感染したことを知り、心からのお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い回復を願っている」などと電報を送りました。
その上で、今年が日本と中国の国交正常化50周年であることに触れ、「新時代の要求に応える両国関係の構築を共に進めたい」などとも記しました。
一方、中国はアメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことに反発する形で軍事演習を実施し、4日には弾道ミサイル5発を日本のEEZ=排他的経済水域内に落下させました。
中国のミサイルが日本の排他的経済水域内に落下したのは初めてで、政府は中国側に抗議し、軍事訓練の即刻中止を求めるなど、日中関係は緊張の度合いを増しています。
17日には、秋葉国家安全保障局長が中国を訪問し、中国の外交トップ・楊潔チ政治局委員と約7時間に渡り会談し「対話の継続」を確認しましたが、政府関係者は「両国の立場を主張し合うなど平行線だった」と説明しています。
関係者によると今回、新型コロナウイルスに感染した岸田首相に対して、複数の国から非公式にお見舞いのメッセージが寄せられましたが、自ら公にしたのは中国だけとみられます。
松野官房長官は23日の記者会見で、習主席からのお見舞いメッセージについて「両国首脳間の信頼関係の強化に資するものと受け止めている」と述べました。
一方で、政府はその真意を測りかねており、「9月29日の日中国交正常化50周年記念日に向けての中国側のアプローチだろう」という見方も出ています。
(フジテレビ政治部 亀岡晃伸)