自民党の生稲晃子参院議員と萩生田光一政調会長が相次いで取材に応じ、旧統一教会とのかかわりを認めた。こうしたなか韓国では、安倍元首相銃撃事件後初の日本人信者による大規模なデモが行われた。

訪問は1回きり…生稲氏が説明

18日午前11時すぎ、自民党本部に生稲晃子議員が姿を見せた。記者が「旧統一教会の件で一言だけ」と求めると、関係者が「会議の後で…」と応じ、生稲氏は会釈をしてエレベーターに乗り込んだ。

17日のコメントで、6月に萩生田政調会長と旧統一教会の関連施設を訪問していたことを認めた生稲氏。18日、自民党本部での会議終了後、教団との関わりについて初めて自身の口で説明した。

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生稲議員:
“統一教会”の施設だったということが分かったのは、岸田首相がきちっとそれぞれが調べるというふうにおっしゃった時に、私も調べていただきました。そしたら、それ(“統一教会”の施設だったということ)がわかったということで、本当にそれは最近のことでした。

訪問した際には、教団の関連施設という認識がなかったとした生稲氏。訪問した理由については次のように説明した。

生稲議員:
私の演説を聴いていてくださった方のからのご依頼だったので。

――1回限りですか?
そうです、はい。

施設の訪問は1回きりとした一方、訪れた日付やどのような施設だったかについての記憶ははっきりしなかった。

――6月18日に八王子市内の施設に行ったということでよろしいでしょうか。

生稲議員:
そうだったんですね。その当時は本当に、毎日毎日すごい数を回っていたので、その日だったかどうかっていうのはこの間調べていただいてわかりました。

――八王子家庭教会ですか?

それが私全くその時は見てなかったので、分からなくて。暑かったので、もう顔(の化粧)を直すこととか、自分が喋ることをきちっと間違えないように喋らなきゃいけないとか、そういうことに必死で何も見ずに……。

萩生田氏と生稲氏が旧統一教会の関連施設を訪れたのは、公示直前の6月18日。生稲氏が公表した当日の遊説スケジュールによると、午前11時半に八王子駅南口で街頭演説し、午後1時45分に多摩センター駅前に移動している。この移動の合間に、突発的に教団関連施設を訪問したことになる。

しかし、参院選で生稲陣営の一人だった関係者はFNNの取材に対し、「予定に空きがあったとしても、宗教関連の施設に突発的に行くことは考えられない」と、突発的な訪問は難しいと指摘する。

萩生田氏「思い足りず反省」 “関係絶つ”とは明言せず

生稲氏が自らの口で説明した約20分後、萩生田政調会長が自公幹部の顔合わせのため国会に姿を見せた。「カメラの前で説明いただけませんか」という記者の問いかけに対し、萩生田氏は「整理します」と一言だけ口にした。

連立を組む公明党の北側副代表からも「萩生田氏本人が国民に説明してほしい」との声が上がるなか、午後3時、萩生田氏が取材に応じ、生稲氏と教団関連施設を訪れたことを認めた。

萩生田政調会長:
地元の支援者の中にボランティア活動を熱心にやっている皆さんがいらっしゃって、(教団関連の)国際平和連合女性連合の会員の皆さんでした。その関係者の御縁で、今回八王子の子安町にある施設がありまして、そこを生稲さんと訪問しました。私自身は女性連合の皆さんのお集まりだという認識で行きましたけれども、生稲さんは存じ上げなかったと思います。

そして、教団とのつながりについては、次のように説明した。

萩生田政調会長:
正直申し上げて、その団体と旧統一教会の関係っていうのは、名称は非常に似てますので、そういう思いはあったんですけれども、あえて触れなかったというのが正直なところです。いまだいろんなことで苦しんでいる方がいらっしゃる。このことには、少し思いが足りなかったというふうに反省をしております。

――二度と関係は築かないということ?

はい、適切な対応をしていきたいと思っています。

教団との今後については「関係を断つ」とは明言せず、「適切に対応していく」と述べるにとどめた。

萩生田氏が訪問を認めたのは、八王子駅近くの旧統一教会関連施設。2人の訪問はあらかじめ予定されていたものではなかったのか。取材を試みたが回答は得られなかった。

韓国で日本人信者らが抗議デモ

旧統一教会をめぐる問題が連日取り沙汰される中、教団本部がある韓国では18日、ソウル中心部で日本人信者らによる抗議デモが行われた。教団の日本人信者たちはそろいのサンバイザーをかぶり、街の一角を埋め尽くした。旧統一教会の批判に抗議するため、約4000人が集まったという。

ソウルで行われた日本人信者による抗議デモ
ソウルで行われた日本人信者による抗議デモ

プラカードには「人権弾圧を許すな」などと書かれ、たすきには「信教の自由を妨害するな」と書かれていた。

この抗議デモを前にソウル近郊では、18日朝から日本人信者が参加し大規模な集会が行われた。

駐車場は50台ほどのバスで埋め尽くされ、日本人信者たちがバスから降り、列をなして会場入りしていた。会場内とみられる写真では、紫のライトで照らされた壇上に立つ“マザームーン”こと韓鶴子総裁の姿が確認できる。参加者によると、韓総裁は演説で「日本の今の状況も時が経てば過ぎていく。頑張りましょう」などと話し、日本人信者を激励したという。

広がりを見せる“旧統一教会ショック”。立憲民主党などの野党は18日、旧統一教会をめぐり、臨時国会の召集を求める要求書を衆参両院に提出した。受け取った細田衆院議長自身も、教団関連団体の会合でスピーチしていたことが明らかになっている。政府は国会を召集しなければならない規定があるが、召集は秋になる見通しだ。

(「イット!」8月18日放送)