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7月の参議院選挙で初当選を果たした、自民党の生稲晃子議員が、選挙中に旧統一教会の関連施設を訪問していたことを認めました。

一度は旧統一教会との付き合いをきっぱりと否定していた生稲氏。

しかし17日に事務所が発表したコメントでは一転。萩生田光一政調会長と訪問したことを「事実」と認めた上で、演説の場で突然依頼があり、スタッフが判断して出向いたと説明しました。

教会関連施設訪問…ジャーナリスト 鈴木エイト氏が感じた「不自然」

新人の生稲議員が教会関係施設を訪問した背景、萩生田政調会長と教団の関係は?

めざまし8は、20年以上にわたり旧統一教会の取材をしているジャーナリストの鈴木エイト氏にお話を伺いました。

20年以上にわたり旧統一教会を取材する鈴木エイト氏
20年以上にわたり旧統一教会を取材する鈴木エイト氏

――生稲議員の説明を聞いて、率直にどう思いましたか?

鈴木エイト氏:
この日、八王子の駅前で演説をされていたそうなんですけども、八王子に2カ所ある旧統一教会関連施設、そのどちらに行ったとしても、結構距離が離れているんですね。徒歩で10分から15分くらいかかるところで、そこにぱっと依頼をされて行ったというのは、「不自然な距離」だとは思うんです。当然、この地元である萩生田光一さんが導いたのではないかと

生稲議員が遊説を行っていた場所と、教会関係施設の位置関係から、突然の依頼で訪れたにしては「不自然な距離」だと指摘する鈴木氏。

また、訪問した際に関連団体の施設であると気がつかないことへの違和感も…

鈴木エイト氏:
(八王子にある施設の)2カ所どちらにも礼拝堂があって、おそらくその中で話をされているので、その現地に行くまでに「何かしらここは宗教施設である」ということは認識できたと思います。現場に行くと、ロゴマーク等は入り口と会場のところにあるので、そのあたりを見ていたとすれば、気づいていたとは思うのですけども

萩生田政調会長と教団の関係は?「かなり深い関係」

「(生稲)候補者も不慣れなこともあったため同行しました。現場でそれぞれ短い演説を行いました」
「何かを依頼した事実はありません」

生稲議員とともに教会関係施設を訪れたことについて、文章でこう説明した萩生田政調会長。
萩生田氏と旧統一教会を巡っては、2014年に八王子市内で教団が主催したイベントに出席し、挨拶をしたことも認めています。

鈴木氏は、萩生田氏と旧統一教会は以前から「かなり深い関係」にあったと言います。

――萩生田氏が出席したイベントとはどのような内容だったのでしょうか?

鈴木エイト氏:
参加者は全部旧統一教会の信者で、主賓は日本統一教会、その当時の日本の会長の徳野英治さんの講演会がメインでした。イベントの名称に「祝福原理大復興会」というのが“まくら”でついていまして、これは信者の目標である「合同結婚式」、祝福をちゃんと受けるように、そこに向かって頑張りましょうと、モチベーションを上げる大会だったんですね。そういう内向けの集会に萩生田さんが出て、そこで来賓として挨拶をされたということは、それだけでもかなり旧統一教会とは深く関わっていた証左ではないかと思いました

鈴木エイト氏が読み解く教団の目的 関係を断ち切るには?

――統一教会にとって政治家と付き合うメリットとはなんなのでしょうか?

鈴木エイト氏:
これはいろいろな面があるんですけども、まずは統一教会が抱いている野望の実現。その国を自分たちで治めたい、そのために政治家を使うというところもあったりだとか、具体的には政治家が望んでいるマンパワー、選挙の運動員であるとか秘書とか、スタッフを派遣して関係を密接に築いていく。そういうところで、関係性を深めていきたいというところがあったと思うんです

――政治家が旧統一教会との関係を断ち切るには、何がポイントになってくるのでしょうか?

鈴木エイト氏:
関係の浅い議員はスパッと切ればいいだけだと思うんですけども、萩生田さん含め、かなり深い関係が指摘されている方は、先の話をするのではなくて、ここまでどういう関係にあったのかということを、きっちり説明して検証する。それこそそういう作業を経ないと、関係も切れないと思うんですよね

また、萩生田氏の発言で“気になった点”も。

鈴木エイト氏:
萩生田さんが「生稲さんが不慣れだったため同行した」というニュアンスのことをおっしゃっていたが、ということは萩生田さんは「慣れて」らっしゃったのかな?と

消費者庁が霊感商法の検討会設置へ…しかし変わらない“実態”

河野太郎消費者担当相は、8月12日に行われた就任会見で「霊感商法についての対応はきっちりやっていきたい」とコメント。

具体的には「霊感商法の検討会」を、8月中にも立ち上げて行く方針です。

この取り組みに対して、鈴木氏は…

鈴木エイト氏:
これはちょっと問題点がいくつかありまして、統一教会は「霊感商法」商品を介在させた消費者契約としての霊感商法は、2010年以降ほぼ行っていないんです。高額な献金、極端に言えば1000万とかそういう献金をさせて、その献金を受け取った代わりに何か経典のセットを授けるとかそういう形をとっていて、商品の売買契約という形をとっていないんですね。そういう所に消費者庁が、消費者契約として、どこまで踏み込めるかというところはちょっと疑問があります

検討会は「霊感商法」に絞った内容であることから、本当に踏み込めるか疑問を感じているというのです。

――霊感商法としての数は減ってはいても、“実態”は変わっていないということでしょうか?

鈴木エイト氏:
そうですね、実際日本から韓国に送られている総額の献金額、何百億円というのはそう変わっていないんですね。ということは、実際霊感商法による売り上げではなく、信者から収奪した献金額、これは総額で全く変わっておらず、相変わらず高額な献金を課せられていた信者が苦しんでいるという実態は変わっていないですね

――どのくらいの献金額が韓国に送られているのですか?

鈴木エイト氏:
2000年代初頭ですと、日本から600億円収奪して、そのうち色んな経費等引いて、年間約300億円近くが送金されていました。近年も100億円200億円、数百億円が送られていると指摘されています。

その上で鈴木氏は、こう指摘します。

鈴木エイト氏:
信者が、いかに内部で人権侵害を受けているか。その中の1つが霊感商法であったり、高額献金の収奪であったり、カルト問題全体として見ていかなければいけないと思います

安倍元首相襲撃事件を経て 日本と教団のあり方 母の会見はいつ?

――山上容疑者の母が会見を行う意向だという話がありますが、いつごろ行われると思いますか?

鈴木エイト氏:
タイミングを見ていると思います。完全に教団のコントロール下にあるようなんですけども、ここまで統一教会の会見がことごとく裏目に出ているんですね。そういうところから、今後どういうふうに山上容疑者の母親をうまく使えば、教団が極端な話「解散命令」とかそういうところに発展しないように、世間の同情を得られるか。今の教団への批判報道がいかにして、やめさせること、やむかっていうところを、狙っているのかと思います

以前、めざまし8が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に母親の会見について聞いたところ、支援者や現在の居場所などは「分からない」と答えていました。

これについても…

鈴木エイト氏:
これはちょっと思い当たるところがありまして、この支援者は“韓国から来ている”という情報があるんですね。で、今回すべて旧統一教会本部の会見などは、旧統一教会本部のユン・ヨンホ本部長の指示で動いているとこから、直接韓国の教団組織が山上容疑者の母親をコントロール下に置いている可能性もあるのかなと思いました

鈴木氏は最後に、安倍元首相が凶弾に倒れたことで、旧統一教会が注目されている現状についてどう思うか話してくれました。

鈴木エイト氏:
こういう悲しい事件がなければ顕在化しなかったという点は、僕も深く受け止めているんですけども、それはそれとして、事件自体はきっちり法に則って、犯人に処罰を与えるべきだと思うんです。しかし、それによって見えてきた新たな社会問題、今まであったにも関わらず社会の側が認識できていなかった問題については、きっちり検証をして判断をしていくべきだと思います

(めざまし8 8月18日放送より)