隠れキリシタン末裔の怒り

親の墓参りにもろくに行かない不届き者なので、他人様がどんな宗教を信じようが関心がない。だから安倍元首相の銃撃犯の供述が旧統一教会への怨恨と報道されたことで、今や日本中が旧統一協会及びそれに関わった政治家をバッシングしているのを見て何だか変だなと思った。

長崎県の黒田成彦・平戸市長は「長崎新聞から統一教会との関係を尋ねるアンケートが届いた」とTwitterに投稿した。黒田氏は「(関係は)ないと答えるがまるで江戸期のキリシタン弾圧の踏み絵のようだ。隠れキリシタンの末裔である私は遺伝子的にこのような踏み絵行為は気持ち悪い」と極めてまっとうな指摘をしている。

「何だか変だな」と思ったのはこれだった。私たちは今、メディア、いや社会から踏み絵を迫られている。これは気持ち悪いことではないか。

共同通信が国会議員712人に旧統一教会への関与を聞いたところ、106人が関連団体へのイベント出席や選挙協力を受けていた事を認めた。岸田首相は先日の内閣改造で前内閣の全閣僚、新閣僚の全メンバーに、教会と関与があったかどうかを点検し、厳正に対処することを約束させた。

8月10日に発足した第2次岸田改造内閣
8月10日に発足した第2次岸田改造内閣
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この措置が甘すぎるという批判があるわけだが、だったら関与がある人は全員辞めてもらったらどうか。あるいは与野党で106人が関与しているのだから全員が責任を取ったらどうか。議員辞職して解散総選挙をするというのも一つの手だろう。だがそんなことを言う人は与党はもちろん野党にもメディアにもいない。

「宗教国会」を開きますか?

問題は政治が宗教を特別扱いしたかどうかなのだが、今のところそのような「証拠」は見られない。一時、政治が名称変更を無理に許したと言う人がいたが、名称の変更を許可しない方が違法だという指摘に納得した。

この旧統一教会問題は国会の閉会中審査や10月の臨時国会で焦点になりそうなのだが、立憲の蓮舫氏は「『焦点になりそう』ではなく、『焦点にする』です」とTwitterに投稿している。

「旧統一教会問題」の野党合同ヒアリングに出席した立憲・蓮舫氏(5日)
「旧統一教会問題」の野党合同ヒアリングに出席した立憲・蓮舫氏(5日)

焦点にするのは賛成なのだが、もしやるなら他の宗教団体についても取り上げなければいけない。山上容疑者の母親が教会に1億円のお布施を払ったのがダメなのなら1000万でもダメなのか。100万ならいいのか。そもそもお布施の額を政治家や他人が決めていいのか。

次の臨時国会は「宗教国会」になってしまうのか…?
次の臨時国会は「宗教国会」になってしまうのか…?

旧統一教会の人が議員秘書だったという批判があるが、秘書を雇う時にその人の宗教を聞いてもいいのか。それは信教の自由に反するのではないか。あるいは宗教法人はなぜ無税なのか、など根本的な議論も必要だ。宗教のことを話し合うならフェアにやらなければいけない。そうすると次の臨時国会は「宗教国会」になってしまうのだがみんな本当にそれを望んでいるのならやったらどうか。

【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】