宮崎県延岡市のアユ漁が盛んな河原に意外なものが登場した。その理由には切実な事情があった。

カワウの群れに食べられアユが減少

清流を眺める1人の男性…と思いきや、麦わら帽子をかぶった案山子(かかし)。

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延岡市内の五ヶ瀬川では最近、こうしたかかしを見かけるようになった。なぜ田んぼではなく、河原にかかしがあるのだろうか?五ヶ瀬川漁協にその理由を聞いた。

五ヶ瀬川漁協・吉本祐一組合長:
カワウの被害が大きいので、カワウが寄ってこないように設置をしています。みんなが釣っているアユが、カワウの群れに食べられて困っています

カワウはアユを捕食するため、五ヶ瀬川のいたるところに出没している。

五ヶ瀬川漁協・富山隆則理事:
このあたりに朝来て、100羽とか、多い時は200羽ぐらい来ますね。集団で来るから漁がうまいですね

五ヶ瀬川では50年前に約89トンのアユが獲れていたが、2021年は16.7トンまで減少している。

アユの減少には、川の環境の変化などさまざまな理由が考えられるが、漁協ではカワウなどの食害も要因の一つと考えている。

五ヶ瀬川漁協・富山隆則理事:
カワウがいたら爆竹を鳴らして追い払うんですが、その時はすぐ飛び立っても人けがないところに行って、すぐ降りてまた次の魚を捕食し始める。頭がいい鳥ですので、もう自分たちは右往左往させられる状態ですね

臆病で人には近寄らない…カワウの習性を逆手に

漁協では、これまでもカワウを爆音機で追い払ったり、猟友会に依頼し駆除してもらったりしているが、対策が追いつかない。

そこで目を付けたのが、全国各地で導入が進んでいる「かかし」。臆病で人には近寄らないというカワウの習性を逆手に取った取り組みだ。2021年に一部で試したところ効果が見られたため、7月8日、新たに12体のかかしを作った。

かかしはカワウが群れで飛来する場所に設置され、大雨などで増水が予想されるときは事前に回収する。設置から10日以上が過ぎたが、今のところ、かかしの近くではカワウを見かけなくなったという。

一方でカワウは賢く、慣れてしまうと効果がなくなる恐れもあるため、定期的にかかしの設置場所を移動したり、服装を変えたりすることにしている。

五ヶ瀬川漁協・吉本祐一組合長:
以前みたいに中流域、下流域、上流域どこでもアユがいるような、そういった川になればと思います。

カワウ対策の一翼を担うことになった、かかし。漁協や釣り愛好家の期待を背に、今日も五ヶ瀬川のアユを見守っている。

(テレビ宮崎)