8月に入り、長野県内でクマによる被害が相次いでいる。人が襲われ大けがを負う事案やブタが襲われたとみられるケースも発生していて、警察などが注意を呼びかけている。
回覧板を届けに…庭先で襲われる
南箕輪村の畑で食い荒らされたトウモロコシ。大きな足跡も残っていて、クマによる被害とみられる。
この記事の画像(13枚)近くの住宅の庭先では8月7日午後3時過ぎ、近所に回覧板を届けに行った72歳の女性がクマに襲われた。女性は背中などをひっかかれたほか、ろっ骨を折る大けがを負った。
被害に遭った女性の夫:
この近くにクマがいるなとは思っていたんですが、まさか本当に襲われるとはびっくり
クマは成獣とみられ、警察や地元猟友会が探したが見つかっていない。村は8日、近くの沢筋に捕獲用のおりを設置。警察や村は近所の住民に注意を呼びかけている。
登山の帰り道で成獣が覆いかぶさる
山ノ内町の志賀高原では、登山客の男性がクマに襲われ大けがを負った。
警察や山ノ内町によると、8日午後2時前、志賀高原の旭山の登山道で妻と2人で下山中だった愛知県日進市の男性(76)がクマに襲われた。
男性はドクターヘリで病院に搬送され、肋骨を折るなど大けがを負った。警察によると、成獣とみられるクマが覆いかぶさるように襲い、顔などをひっかいたという。警察や猟友会などが周辺を探したが見つかっておらず、町は登山道を規制し、注意を呼びかけている。
山ノ内町では4日にも釣りの下見に訪れた男性がクマに襲われ、顔を切るなどのけがを負った。
ブタ3匹が消える…クマが襲ったか
須坂市では3日、ブタを襲った可能性のあるクマがわなにかかっているのが見つかった。翌日、県や市が麻酔銃で眠らせた上で山に返した。
麻酔で眠らされたクマは体長140センチ、体重85キロの雄。豚舎のブタを襲った可能性があるとして、わなで捕らえられたクマだ。
クマが出たのは山あいの須坂市亀倉地区。
記者:
豚舎の壁には、クマの足跡とみられるものも残っています
豚舎の持ち主の男性によると、7月20日から23日にかけ3匹のブタが相次いでいなくった。豚舎の近くにわなを仕掛けたところ、8月3日朝、クマ1頭がわなにかかった状態で見つかったという。
そして、4日午後、県のクマ対策員や市の職員が現場にやって来た。
記者:
麻酔銃を持って、わなの方へと向かっていきます
保護の観点から駆除はせず、麻酔銃で眠らせ山に返す。
記者:
今、麻酔銃が撃たれました
そして…。
記者:
麻酔銃が撃たれてから10分程経過しました。クマがぐったりとした様子でわなから出てきました
このクマがブタを襲った個体かどうかは分からないものの、市は何らかの関係はあるとみていて、耳に識別するためのタグも付けた。
豚舎の持ち主・市之宮一之さん:
安心できない、まだ。(以前にも被害があって)まだ出てきているからと、わなやったんだから
須坂市農林課・波岸康幸さん:
人間のエサを与えないような管理が一番大事だと思う
市は山にエサがなく、人里まで降りてきてしまった可能性が高いとみている。
ペンションの厨房に侵入 食い荒らし逃走
長野県松本市安曇では4日午前1時ごろ、深夜にクマがペンション内へ侵入し、置いてあったモモやパンを食い荒らした。
記者:
クマはこちらの網戸を破って建物へ侵入し、テーブルの上にあったモモなどを食い荒らした後、厨房に入ったとみられています
破られたモモの箱。中にあったモモはクマが食べたとみられる。
目撃した経営者:
厨房からすごい音がして、何かおかしいなと思って。扉を開けて見たらここにいました。すぐ閉めて、逃げて
網戸を破って侵入したとみられ、置いてあったモモやパンを食い荒らした後、逃げていった。足跡から成獣とみられる。
けが人はいなかったがまだ見つかっておらず、ペンションの外にはクマ用のわなを設置した。
保育園も近くにあり、4日朝は警察が警戒に当たった。市も付近の住民に注意を呼びかけている。
例年、8月から10月にかけクマの目撃情報や人身被害が増える。県などは外にごみを置かない、山の近くでは音の鳴るものを携帯することなどを呼びかけている。
(長野放送)