日向備長炭の主な産地となっている宮崎・美郷町には、現在29の窯元が存在している。その製炭業に20代の女性が仲間に入った。

日本三大備長炭の一つに数えられる「日向備長炭」。火持ちが良く、炎や煙が出にくいことが特徴で、全国の飲食店から高い評価を得ている。

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23歳の女性が東京から移住して炭焼き職人へ

6月1日、地域おこし協力隊任命式。

「備長炭製炭技術と文化の伝承に関わる美郷町地域おこし協力隊に任命する」

兵庫県出身の松岡理妃さん(23)。松岡さんは2022年3月まで、東京で料理人として働いていたが、今回の募集を見つけて応募。4月中旬に行われたインターンシップでの働きが評価され、就任を迎えた。

松岡理妃さん:
もともと両親が家庭用焼却炉を作っていて、その家業や幼少のころの経験から、山や炎や人と関わることがすごく好きで、その関わり方として炭焼きをしたいと思ったのが率直な思いです

就任初日の6月1日、最初の研修先となる、日髙順二さんの窯で早速指導を受けていた。

松岡理妃さん:
炭焼きがめちゃくちゃかっこよくって、絶対憧れます。自分もああなりたいって

日髙さんは、松岡さんが製炭業に携わってくれることを歓迎する一方で、その厳しさも語る。

竹見野の樹・日髙順二さん:
天候であったり、山の中に入る、一番は危険性というのが絶対につきものなので、厳しい仕事というのは自分たちが痛感しているので、その中で一人でも多くの人たちがこの仕事がやりたいと興味を持っていただけるというのは、こっちがうれしい気持ちっていうのが一番ありましたね

地域の人も温かく、野菜や赤飯などを分けてもらったりと、早くも受け入れられている。

近所の方:
誰とでもお話してくれるから、ありがたいですよね

地域の人たちから応援を受け、ひたむきに頑張る松岡さん。両親は、美郷町で製炭業に就くことに最初は反対していたよう。

松岡理妃さん:
なんで、あえて宮崎県の炭焼きをあんたが選ばないといけないのかというのは、すごく問われて。炭焼きの日向備長炭の地域は、横の職人さんとのつながりがあったり、地域の人の応援があったり、今やりたいことはこれしかないというと、もうしょうがないわという感じでした。行ったらいいわって

炭焼きに対する強い思いと覚悟

松岡さん自身、単身で製炭業に携わっていくことに不安もあるということだが、それでも炭焼きに対する思いは強く、その瞳には一点の曇りもない。

松岡理妃さん:
これから私がやっていく中でしんどいこととか、もしかしたら挫折することもあるかもしれないけど、周りの人にそういうときは相談して、半端にあきらめるくらいなら最初から行くなと(両親から)きつく言われていたので、3年後、任用が終わって細々とでも自分でできるようになったときに両親に炭を贈りたいなと思います。これが私がやってきたことですっていうのが、一番認めてもらえることかなと思ってます

地域おこし協力隊としての任期は最大3年。一人前の炭焼き職人を目指す松岡さんの挑戦は始まったばかり。

(テレビ宮崎)

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