毎日たくさんの量が廃棄されている「魚の皮」を使って、芸術的なアイテムを作っている男性が富山・氷見市にいる。財布や洋服など、その独特なモノづくりは全国から注目されている。
廃棄される「魚の皮」が財布や洋服に
黒の財布にスマホのカバー。一見すると、普通の革製品に見える。

これらが作られている氷見市北大町を訪ねた。
谷優子アナウンサー:
サンプルがあるんですが、これは皮ですよね?
野口朋寿さん:
魚の皮になります

谷優子アナウンサー:
魚なんですね!
香川県出身の野口さんが2017年から作っているのが、魚の皮を使った、その名も「フィッシュレザー」だ。

財布やカードケースに洋服…その独特なモノづくりは、全国から注目されている。
谷優子アナウンサー:
なんで魚の皮で?
野口朋寿さん:
もともとは大学の卒業研究で始めたんですけど、漆の勉強をしていて、レザークラフトも趣味だったので。もともと魚が好きだったこともあり、富山は魚が有名なので、魚の皮で作るのもおもしろいと思って

谷優子アナウンサー:
魚の皮って、そんなにたくさん集まるものですか?
野口朋寿さん:
実は氷見市の鮮魚店では、毎日バケツ1杯分ぐらいの魚の皮が廃棄されている。お刺し身でよく魚を食べられるので、その分、魚の皮も出ている

氷見市は、寒ブリ漁などで名前が知られている街。氷見漁港には魚市場もある。
谷優子アナウンサー:
廃棄される魚の皮を譲り受けて、こういった作品に?
野口朋寿さん:
そうですね
脱脂に漂白…いたみやすい素材を丁寧に処理
魚の皮は水分を多く含んでいるので、すぐに腐ってしまう。そのため、身や脂を丁寧にそぎ落とし、塩漬けにする。

野口朋寿さん:
少し色が抜けて白くなりつつあるんですけど、最初に塩漬けした皮を漂白して色を脱色しています。目的としては、染色をしやすくするために色を抜いている。あとは、魚の皮の中の脂分を除去し、生臭さを消す

この作業を2週間ほど繰り返し、次の工程へ。
野口朋寿さん:
植物成分のタンニン、お茶とかの渋みの成分を皮に浸透させています。そうすることで、皮が丈夫になっていきます

谷優子アナウンサー:
この工程を経て、この状態になっているわけですね
野口朋寿さん:
少し薄い茶色になります。基本的には、つなぎ合わせて長方形にしてから加工します

これに色付けをすれば、フィッシュレザーのできあがり。

魚の種類によって、うろこの模様や手触りが違うのも魅力だ。
お金がたまる? リュウグウノツカイの財布も
野口さんが手掛けた魚には、意外な種類もある。
谷優子アナウンサー:
え? これなんですか?
野口朋寿さん:
アナゴ。1匹そのままで、深海にいる大きなアナゴです

また、ジュラルミンケースに厳重に保存されたものも。
谷優子アナウンサー:
なんの皮? え?
野口朋寿さん:
深海魚のリュウグウノツカイの皮です

谷優子アナウンサー:
模様はそのままですね
野口朋寿さん:
サンプルとして、お財布と名刺入れを作って

谷優子アナウンサー:
おお、この色にされたのはリュウグウノツカイの?
野口朋寿さん:
イメージですね
谷優子アナウンサー:
すごい、お金がたまりそう

野口朋寿さん:
もともと廃棄される魚の皮を使って商品を作っているんですけど、廃棄される皮がたくさんあることを知ってほしい。魚の皮が活用されることで、氷見や富山県の魚がもっと世の中に広まってほしいなっていう思いもあります

野口朋寿さん:
少し先の未来だと、今食べている魚が食べられなくなるとも言われているので、海の資源を守るというところにも、いろんな方の意識が向いたらなって思っています

また、富山県以外からも魚を活用できないかという依頼が増えてきているそうで、新潟のサケや山口のフグなど、ご当地の魚を使った作品を作ることもしていきたいと話していた。
フィッシュレザーはオンラインで購入でき、東京のデパートやアメリカ・ニューヨークのブティックでも販売されているという。
(富山テレビ)