長野・天龍村の宿泊施設で働くインドネシア人女性。アニメなどをきっかけに日本に興味をもち、技能実習生として来日。「母国で日本語を教える」という夢を抱えながら、高齢化が進む村で奮闘している。

アニメがきっかけ「日本が好き」

ジアン・リッフィアさん(23)
ジアン・リッフィアさん(23)
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風呂場の掃除に精を出すジアン・リッフィアさんは、インドネシア出身の23歳。ここは、天龍村の「龍泉閣」。駅に直結した第3セクターの温泉宿泊施設だ。
2020年、通算3年の在留ができる外国人技能実習生の対象職種に宿泊業が追加された。ジアンさんは、「龍泉閣」が初めて受け入れた実習生だ。

(Q.仕事は慣れた?)
ジアン・リッフィアさん:
もう慣れました。でもまだ勉強します

ジアンさんの故郷は、ジャワ島西部にあるクニンガンという街。外国語の勉強が好きで、早くから海外で働くことを考えていた。

インドネシアにいた頃のジアンさん(提供写真)
インドネシアにいた頃のジアンさん(提供写真)

高校卒業後、ホテルで働いていたが、あることがきっかけで日本で働きたいと強く思うようになった。

ジアン・リッフィアさん:
私の元カレが、とってもアニメが好きでしたから、私にオススメしました。「鬼滅の刃」を薦められました。すぐに好きになった。アニメだけじゃなくて、日本のことも好きになった

2021年1月、日本語学校へ。半年後、龍泉閣の募集を知り、すぐに応募した。

当時、龍泉閣は…

龍泉閣・三浦晴季支配人:
人材不足ということがありましたので、背に腹は代えられないような状況でしたので

高齢化の村で笑顔で働く…夢は「日本語の先生」

村の高齢化率は全国で2番目に高い62%。若者は進学を機に村を出てしまうことが多く、慢性的に人手不足。そこで、あっせんする会社を通じて海外から受け入れることに。オンライン面接をして、3人の中からジアンさんを選んだ。

龍泉閣・三浦晴季支配人:
明るい顔で、明るい声で回答していただいたということがポイントになりました。お客さんと対する時に明るい笑顔で対してほしいので、彼女が最適じゃないかなと

「日本行き」が決まった日は、ちょうどジアンさんの誕生日。

ジアン・リッフィアさん:
神様のプレゼントです

来日は2021年12月の予定だったが、新型コロナの影響で4月下旬にずれ込み、研修期間を経て、2022年6月から龍泉閣へ。

天龍村
天龍村

(Q.村の印象は?)
ジアン・リッフィアさん:
私の村も山の村なので、多分似ている。でも私の村は、とてもにぎやか。ここは静か。私、静かな所の方が好き。でも一人暮らしですから、オバケがちょっと怖い

今は、先輩から指導を受けながら仕事をこなす日々だ。

スタッフ:
これ反対側、裏返しに

備え付けの電気ポットに水を入れるが…

スタッフ:
ちょっと入れすぎ

覚えることはたくさんある。

スタッフ:
まじめです、覚えも早いです

ジアン・リッフィアさん:
この漢字は?

スタッフ:
それ、「玉葱」

ジアン・リッフィアさん:
わからない漢字は先輩に聞きます

他のスタッフとのコミュニケーションはスムーズ。来日延期の間も勉強を欠かさなかった成果だ。
龍泉閣は、翻訳用のタブレットを用意していたが…

龍泉閣・三浦晴季支配人:
思いのほかしゃべれまして、翻訳機は必要なかったです

午後の休憩時間。一旦、自宅に戻る。

電話の相手は、母・ヌルハヤニさん。毎日、インドネシアに電話をしている。

母・ヌルハヤニさん:
日本に行くときはさみしかったですけど、元気な姿を確かめられるので安心。娘の無事を祈っています

母・ヌルハヤニさんと電話
母・ヌルハヤニさんと電話

ジアン・リッフィアさん:
お母さんと話すときは、さみしい(気持ちになる)。お母さんはしゃべるの好きですから、何でも話します

夕方からはレストランでの勤務
夕方からはレストランでの勤務

ジアン・リッフィアさん:
ヤマメのから揚げです

夕方からはレストランでの勤務。この日は、日帰りの団体客が2組入っていた。一つの団体に途中参加したのは、龍泉閣の社長も務める永嶺誠一村長だ。

永嶺誠一村長:
日本には慣れたかな?

ジアン・リッフィアさん:
少し慣れました

永嶺誠一村長:
困ったことがあったら、支配人に何でも言ってください。頑張ってください

永嶺誠一村長
永嶺誠一村長

ジアン・リッフィアさん:
ありがとうございます。私、一生懸命、頑張ります

永嶺誠一村長:
心強い味方ができて、うれしく思っている。人材不足、マンパワー不足がこの村にはあるので…。外国人の技能実習生が、この村に多く来てもらうことが活性化につながるのでは

地元客:
時々、ここへ来ますので、マスクを外すとこういう顔です。頑張ってね

日本語をマスターして、いずれ母国に帰りたいと話すジアンさん。かなえたい夢がある。

ジアン・リッフィアさん:
日本語の先生

インドネシアで日本語を教え、自分のように日本で働く人を増やし、少しでも多くの人の生活を豊かにしたいと話す。

ジアン・リッフィアさん:
インドネシア人は仕事がとても難しいですから、大体、外国に行きます。一番人気はマレーシアとか韓国とか。日本も人気がありますから、私はもっと子どもたちを誘いたいです。だって日本はいい国ですから

(長野放送)

長野放送
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