東京電力福島第一原発事故で避難した住民らが、国と東電に損害賠償を求めた4つの集団訴訟について、最高裁は、国の責任を「認めない」とする判決を言い渡した。原発事故をめぐり、国の責任について最高裁が判断するのは初めて。

この裁判は、原発事故で、群馬、千葉、愛媛のほか福島県内外に避難した住民らが、生活基盤が変わったりふるさとを失ったなどと主張し、国と東京電力に損害賠償などを求めているもの。

4つの裁判で、東電の責任と合わせて14億円あまりの賠償額は既に確定していたが、国の責任については高裁の判断が分かれていて、最高裁がどのような統一判断を示すか注目されていた。

きょうの判決で最高裁は、福島第一原発に押し寄せた津波について「想定されていた津波よりも、規模が大きく、方角も違っていた」と指摘。その上で、「仮に、国が、規制権限を行使して、東電に必要な措置を講じさせていたとしても、今回の事故は避けられなかった可能性が高い」と結論づけ、国の責任を認めなかった。争点の1つとなっていた、巨大津波の予見可能性については判断されなかった。

同じような裁判は、全国で30件起こされているが、国の責任をめぐって判断が分かれている。今回の最高裁判決は、各裁判の行方に影響を及ぼすことになる。

社会部
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