伊東市の杉本憲也 市長から前市長である田久保眞紀 被告に対し、同市の市議会議員選挙と市長選挙に要した費用などを請求するよう勧告することを求めた市民有志による住民監査請求をめぐり、請求人は「田久保前市長の議会解散行為は違法」と指摘した大学教授による意見書を市の監査委員に提出しました。
伊東市の市民有志2人は5月7日、同市の杉本憲也 市長が田久保被告に対し、市議会議員選挙(2025年10月19日執行)と市長選挙(2025年12月14日執行)に要した費用と遅延損害金を請求するよう伊東市監査委員から市長に勧告することを求め住民監査を請求し、同月18日に受理されました。
市民有志は、請求書の中で市議選について「田久保が議会を解散しなければ発生しなかった費用。田久保が不信任後に辞職していれば、少なくとも市議選費用は不要であった」、市長選については「田久保が虚偽記載等の不法行為を行わなければ、不信任も議会解散も失職も生じず、この費用は発生しなかった」と主張しています。
こうした中、請求が受理されたことを受け、市民有志は5月21日、市の監査委員に請求人の陳述書と意見書を提出しました。
意見書を書いたのは行政法や地方自治法などを専門とする横浜国立大学 大学院の板垣勝彦 教授で、一度目の不信任決議が出席した19人の議員全員の同意によって成立したことについて「出席議員の全員、無所属を含めた全会派が不信任という結論に同意したことに強く注目しなければならない」と強調し、「無所属を含めた全会一致で不信任決議が出た以上、議会を解散して多少議員の構成が変わったとしても、当初の不信任の結論が覆る見込みは極めて低いと言わざるを得ない」と指摘しています。
その上で、板垣教授は「前市長としてはこのような帰結を容易に予見し、予見し得たにもかかわらずあえて議会選挙を行わせたことは単なる時間稼ぎにすぎず、裁量権の著しい逸脱又は濫用によって、選挙費用の分の損害を市に与えたと評価せざるを得ない。端的に言えば、最初の不信任議決の段階で失職を選択し、長選挙によって住民の判断に委ねることが、市長の職を続けるためには唯一の選択肢であり、意味のない議会選挙によって無駄な支出を市に与え、議会の空白を生じさせないための義務であったといっても過言ではない」と断罪し、今回のような全会一致による不信任決議の場合は「議会の解散ではなく自身の失職を選択する義務を負うのであり、その意味で裁量の余地はないと考えられる」との見解を示しました。
以上のことから、板垣教授は「市議会を解散した行為が違法であって市に議会選挙費用相当額の損害を与えた行為である」と結論付け、「前市長が議会の解散という誤った判断によって市に選挙費用相当額を支出させたことは、違法な財務会計上の支出として、市に対しその損害を賠償する責任を負うものであり、市は前市長に対する損害賠償請求権を行使しなければならない」と記しています。