島根・邑南町で栽培された野菜を、松江市のスーパーに直送して販売する取り組みが始まった。
東西に長い、島根県の西部から東部への流通の活性化と「儲かる農業」を目指して、販路拡大に「東奔西走」する女性を取材した。

邑南野菜の販路拡大へ…農家をサポート

5月、松江市内にオープンしたスーパー「みしまや」の新店舗。その一角で販売されている、キュウリ、キャベツなどの新鮮野菜は、すべて邑南町産。

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野菜のほかにも、垣埼醤油店の加工品におおなんチーズ工房のチーズ、石見ポークなど邑南町の産品が並ぶ。

松江市のスーパーでは初めて、邑南町産品の常設コーナーを設けた。

みしまや農産チーフバイヤー多々納尚志さん:
島根県東部では、なかなか西部のものを直接扱うことが難しくて、成功しているところがないので、いいなと思ってやってみようと

島根県西部の野菜は、主に広島や大阪に出荷され、東部ではほとんど販売されていない。
そこで、新店舗のオープンをきっかけに、邑南野菜の販売に挑戦することになった。

中国山地の山間にある邑南町。県庁所在地の松江からは、車で2時間あまり。豊かな山と水に恵まれ、ここで育つ米や野菜は甘味が際立つという。

農家・上田郁生さん:
この野菜とサバの焼いたやつともんで、大量に作っとく。で、帰ったら昼飯にする

上田郁生さん。松江に野菜を出荷する農家の1人。年間30から40種類の野菜を栽培している。

農家・上田郁生さん:
若い人には出口を確保して、邑南町全体の農家が盛り上がってくれたらという気持ちです

往復5時間かけ野菜運ぶ…農家のため東奔西走

邑南町の基幹産業である農業。
2005年には約1,800軒あった農家が、2020年は約1,000軒にまで半減している。そんな中…

澤田麻里子さん:
これは何?

農家・上田郁生さん:
カブ。これから大きくなる

新たな販路を開拓したのが、町内で民泊を営む澤田麻里子さん。澤田さんは、町の活性化を目指し、農家をサポートしている。

今回、澤田さんの人脈で松江での販売が決まった。

澤田麻里子さん:
5年後、10年後、誰が野菜を作っているのだろう? その思いからこの事業をスタートしている。とにかく農家さんたちが私を信じてくれて、一緒にやっていこうという気持ちが高まっています

13軒の農家と5つの事業所が、澤田さんの思いに賛同し、出荷を決めた。
邑南野菜を届けるのは、澤田さん。週1回、往復約5時間かけて松江まで運ぶ。邑南町の農家の為に、文字どおり東奔西走する。

澤田麻里子さん:
邑南町の野菜いかがですか。上野さんという方が作られてるんですよ

この日は、店頭で邑南野菜をPRした。

購入者:
県外じゃなくて県内なので、買いたいと思いますね

購入者:
夏場に向けては生でいただくことが多いので、新鮮なのはありがたい

滑り出しは好調、連日完売した。

Iターン農家もPRに…予想以上の人気に手応えも

この日は広島から邑南にIターンした農家の女性も、PRに訪れた。

Iターン農家・石國佳壽子さん:
私が邑南町に引っ越した時、お米と野菜に感動した。それを松江にきて知っていただけるのは、すごくありがたいです

予想以上の人気に、スーパーの担当者も手応えを感じている。

みしまや農産チーフバイヤー・多々納尚志さん:
松江の野菜と少し違うものが並んだり、お互いメリットあると考えています。初めてなので、うまくいくようしっかり取り組みたい

澤田麻里子さん:
若い子たちが(邑南町に)戻って、農業って魅力があるな、可能性があるなって感じてもらえるように。今、小さいですけど、一歩だと思ってます

持続的な農業と、町の活性化への小さな一歩。
澤田さんは参加農家と事業所を増やし、大きな一歩に変えていきたいとしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

記事 535 TSKさんいん中央テレビ

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