水上の格闘技と呼ばれるボートレース。5月、新人レーサーとしてデビューしたのは、かつてレスリングで国体入賞の実績を持つ23歳の男性だ。ボートレースの世界に足を踏み入れたきっかけは、父親の存在だった。

レスリングに打ち込むも…“家と仕事で違う顔つき”の父に憧れ一念発起

青く広がる水面に、エンジンの音が響き渡る。

最高時速80km、体感速度は120kmに達するボートレース。コンマ1秒を争い、選手たちがしのぎを削る姿から“水上の格闘技”とも呼ばれる。

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そんな勝負の世界に飛び込んだのが、小宮涼雅(こみや・りょうが)選手(23)。2022年3月にボートレーサー養成所を卒業したばかりの、新人レーサーだ。

小宮選手は、岡山県倉敷市出身。かつてはレスリングに打ち込み、高松農業高校時代に国体で5位入賞。その後、レスリングの強豪・日体大に進学した。

かつてはレスリングに打ち込んでいた小宮選手(左)。国体で5位入賞の実績を持つ
かつてはレスリングに打ち込んでいた小宮選手(左)。国体で5位入賞の実績を持つ

将来の選択肢としてボートレースを強く意識したのは、大学卒業後の進路に悩んでいたころ。頭によぎったのが父親の存在だった。

新人ボートレーサー・小宮涼雅 選手:
父親がボートレーサーだったので、その影響が大きい

小宮選手の父・淳史さんは、通算890勝を誇るボートレーサーだ。46歳の現在も、現役で活躍している。

小宮選手の父・淳史さんは46歳の現在も現役で活躍
小宮選手の父・淳史さんは46歳の現在も現役で活躍

新人ボートレーサー・小宮涼雅 選手:
家での面と、外で仕事をしている時の顔つきの違いで憧れた

憧れの父の背中を追い、ボートレーサーになることを決意した小宮選手。合格倍率約25倍の試験に一発で合格し、養成所で1年間、プロに必要な技術や知識を学んだ。

デビューするも、成績は… 厳しい世界を痛感

そして5月28日、地元・倉敷のボートレース児島でデビューしたが、実戦ではターンがうまく決まらず。ここまで走った8回全てが最下位の6着だった。

新人ボートレーサー・小宮涼雅 選手:
この1節間の課題だったが、ターンマークを1周1コーナーで回るのを外してしまうところがあって、もっといいところに出てこれたかなと思う

レースの合間には、アドバイスを受けるため、積極的に先輩のもとへ行く。

先輩レーサー・森定晃史 選手:
彼なりの課題を教えていけたら。お父さんに似て寡黙なタイプ。内に秘めている闘志は、レスリングをしていたこともあって、いいものを持っている

小宮選手にとって今は、レース場で過ごす全ての時間が学びの機会だ。

父の背中を追い越すため…「いずれ強い選手に」

そして迎えた6月2日の第9レース。6日間の日程で、最後に出走するレースだ。

先行する2人にアクシデントがあったが、小宮選手はうまくかわして4着。初めて6着以外でゴールした。

レース後には、父親の淳史選手が駆けつけてくれた。

小宮選手の父・小宮淳史 選手:
まだ初めてデビューしたばかりで、すごく厳しい世界だと思う。努力して少しずつ人間的にも成長してくれたら

新人ボートレーサー・小宮涼雅 選手:
この1節間走ってみてすごく厳しい世界だと痛感したので、これから努力していって、いずれ強い選手になりたい

父親に憧れて入ったボートレースの世界。いつかは父の背中を追い越すため、小宮選手はきょうも走り続ける。

(岡山放送)

岡山放送
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