かつて大勢のバスの乗降客でにぎわった、長野市の「旧長野バスターミナル」。活気を取り戻そうと5月20日、キッチンカーを集めたイベントが開かれた。
かつての“発着場”でイベント開催
長野市の長野放送本社の向かいにある「長野ターミナル会館」で、5月20日、イベント「ターミナル横丁」が開かれた。焼き鳥やピザなどのキッチンカーが並び、大勢の人でにぎわった。

会場はかつて、バスターミナルの発着場だったスペースだ。このイベントは、ここに再びにぎわいを取り戻そうと企画されたものだった。
かつては1日530便…にぎわいの拠点であり交通の玄関口だった

「長野ターミナル会館」は長く「長野バスターミナル」として利用されていた。しかし、今は…

長野バスターミナル・込山秀一 総務部長:
発着が廃止になりまして、長野駅発着のバスの駐機場になっている。(昔は)1日530便も発着して、大変にぎわったと聞いている

55年前の1967年に開館した長野バスターミナルには、当時17のホームがあった。1日に約530便のバスが発着し、1970年代以降のスキーブームでは、スキー板を抱えた乗客が列をつくった。当時の名残が今もある。

長野バスターミナル・込山秀一 総務部長:
スキー立てがあります
「スキー立て」は、今は物置台として使用されている。

バスターミナルとしてだけでなく、会館にはスーパーや百貨店、結婚式場などもあり、地元住民らのにぎわいの拠点にもなっていた。
1990年代になると高速バスの発着も始まり、長野市の交通の玄関口となった。
交通網の発達で役目終えひっそり…“レトロ”生かして再び活気を

しかし、自動車や鉄道網の発達などにより、乗客は年々減少。2020年9月に発着場を廃止し、「バスターミナル」としての役目を終えた。
飲食店が並んでいた地下街も、2020年に最後に残っていたそば店が閉店し、ひっそりとしている。

かつてのにぎわいの拠点に再び活気を―。そんな思いから、会館は2021年11月から、建物北側のスペースをキッチンカー用に提供。現在、週に3、4日程度、業者が出店している。
そして今回、かつての発着場を活用したイベントが企画された。どこか懐かしい「レトロな魅力」も発信できるのではと考えた。

長野バスターミナル・込山秀一 総務部長:
プラットフォームが「非常にレトロだ」という話がありまして、ここにキッチンカーを出したらいいんじゃないかというのがきっかけ。発着がなくなったり、乗車券売り場がなくなって少し寂しい状況もあったんですけど、外の人から見ればそういう(レトロと感じる)ことがあるのかなと
久しぶりのにぎわい

20日のイベントには、かつてのにぎわいを取り戻したかのように、家族連れや会社員など大勢の人が訪れた。
出店した店の人:
久しぶりに、こういうにぎやかな所に来られて、すごくうれしいです
ターミナル会館の運営会社は、今後も月に1回程度、開催していきたいとしている。
(長野放送)