シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法など健康に関する悩みをわかりやすく解説。

今回は脳神経外科の専門医、らいむらクリニックの來村昌紀医師が、ひどい痛みが続く片頭痛について解説。6月にも登場する期待の新薬「レイボー」や日常的にできる頭痛の緩和と予防法、従来の薬と新薬の違いなどを解説する。

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片頭痛とは

片頭痛は脳の疲れ興奮からくる拍動性のズキンズキンとする頭痛で、痛いときと痛くないときがはっきりしていて、痛いときは動作で悪化するので結構日常生活に支障が出てしまう頭痛です。

基本的にはズキズキする頭痛ですが、頭痛以外に気持ち悪くなったり、実際吐いてしまう人もいますし、肩や首が頭痛に伴って張ってくる人もいますし、めまいが出る人もいます。

光過敏音過敏といって光がすごくまぶしく感じたり、音がすごくうるさく感じて頭にガンガン響いてひどくなったり、匂い過敏といってタバコや香水の匂いがすごく嫌に感じて頭痛がひどくなったりする人もいます。

いろいろな刺激によって脳の中に頭痛や炎症を起こす原因物質が出ますが、神経や血管の周りに神経原性炎症という炎症が起こり、それに伴って頭痛が起こるのが原因と言われています。

女性に多く、エストロゲンというホルモンが片頭痛に影響しているので、月経がはじまる小学校高学年や中学生から閉経する50代後半くらいまでは片頭痛が続きます。
平均すると20~50歳前後の働き盛りの世代に多い頭痛です。

片頭痛の緩和と予防法

普段日常にできる方法としては、発作時はできるだけ脳を安静にするということで、暗くて静かな部屋で安静にすることが基本になります。

頭痛が起きにくくする予防としては、できるだけ睡眠時間を規則正しくしたり、適度な運動、バランスのとれた食事、そして過度に脳に刺激が入らないようにスマホやパソコンを少し控えるなど情報を過多に取り過ぎないようにする生活が予防に役立ちます。

頭痛が起こっていない普段の時は、マッサージや体操をして血流を良くしておく方が頭痛は起こりにくくなりますが、頭痛が起きてしまったら、あまりマッサージや体操はせずに暗くて静かな部屋で安静にしておくことがいいと思います。

期待の新薬「レイボー」

ちょうど20年前に「トリプタン製剤」という片頭痛専用の薬が出ましたが、この薬は脳の神経血管セロトニンというところに働いて頭痛の原因物質が出るのを抑制する薬でした。
これが神経だけでなく血管にも作用してしまうので、頭痛も良くなりますが、血管を収縮させる作用があるため、狭心症のように胸が苦しくなるような副作用が出てしまったり、もともと狭心症のような心臓の病気がある患者さんには使用できない薬でした。

しかし20年ぶりに新しく出る薬は、トリプタンとは違うジタン系の「レイボー」という薬で、6月8日に全国のクリニックで患者さんに処方できる予定となっています。

この薬は同じセロトニンでも、脳の神経に特化して作用する薬なので、血管に悪さをしないので飲んだ後に胸が苦しくなるような副作用がないことが特徴です。狭心症や心臓に持病がある人も飲める薬となっています。

一応、適応が成人の頭痛となっているので、18歳以上ということになっています。
妊婦さんにも、有益性が上回る場合は注意して使用しても良いということになっているので、妊婦さんだから使えないということはない薬です。

従来の薬とレイボーの違い

今までのトリプタン製剤が頭痛の改善度を見た試験で評価されているのに対して、レイボーは改善度ではなく、頭痛の消失度を見た試験で評価されているので、今までの薬に比べて頭痛が消失する可能性が高い薬と言えると思います。

レイボーを飲めば一過性になるということです。痛みが無い状態に戻る可能性が高い薬です。
片頭痛にずっとならないから薬を飲まなくて良いというわけではありませんが、薬を飲めば日常生活に支障なくうまく付き合っていける時代になってきていると思います。

今までのトリプタン製剤は頭痛を悪化させないようにすることがメインの作用だったので、頭痛が起きたらすぐに飲まないといけないというタイミングが難しい薬でしたが、レイボーは痛くなってから飲んでも効くので、多少タイミングが遅れても効果があり、そうした点でも使いやすい薬だと思います。

レイボーの副作用

新薬の副作用としては、眠気めまいが報告されています。
セロトニンに効くという点ではトリプタンに似た薬ですが、血管への副作用が少ない作用機序の薬なので良く効くし、他の副作用も少ない比較的安全な薬ですが、脳の興奮を抑えて、脳を休ませて痛みをとる薬なので薬が効いているからこそ眠気が出るという面では注意が必要です。

レイボーは、50mg錠と100mg錠が販売されますが、50~200mgの間で用量を調整できるため、患者さんの頭痛が治る効果と眠気やめまいの副作用を聞きながら用量を調節できる意味では、比較的安全に使いやすい薬だと思います。

ただ、これからデータを集積して報告していく格好になります。
先生の考え方もあると思いますが、私が考えるのは、今までのトリプタンで副作用が出て使えなかった患者さんやトリプタンを使ったけどあまり効果がなかったという患者さんから使ってあげるのが良いと思います。
症例が増えてくると薬の効果や副作用がはっきりしてくるので、まだ薬を使っていない片頭痛の方にも使いやすくなると考えています。

まだ最初の段階なので、頭痛の診療に慣れている先生が少しずつ使い始めていくと考えています。
 

來村昌紀
來村昌紀

2014年12月 らいむらクリニック開設 和歌山県出身 / 和歌山県立医科大学、千葉大学大学院卒業 / 和歌山県立医科大学附属病院にて一般内科(呼吸器、循環器、消化器、腎臓病)、皮膚科、病理、救命救急センター、脳神経外科を研修 / 日本赤十字社和歌山医療センター脳神経外科 / 独立行政法人南和歌山医療セ ンター脳神経外科 / 和歌山県立医科大学付属紀北分院脳神経外科助教 / 千葉大学先端和漢診療学講座/あきば伝統医学クリニック 内科、小児科、在宅医療 / 証クリニック東京神田 漢方外来 / 千葉中央メディカルセンター脳神経外科 /医薬学博士/日本脳神経外科学会脳神経外科専門医

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