梅雨の時季になると、体のだるさや気分の落ち込みなど、心身の不調を訴える人が増える。いわゆる「梅雨だる」。こうした気象の変化による不調は「気象病」に分類されるとし、一般的に症状を訴える人の多くは女性だと言う。原因と対処法を医師に聞いた。
悩みを聞いてみた
雨や曇りの日が多い梅雨。一転、気温が上昇し蒸し暑くなる日も。この時季になると体調が優れないという人、多いのではないだろうか。
この記事の画像(9枚)街で聞くと―。
街の人:
(天気が)下り坂に向かう時と、晴れに向かう時も(頭が)痛い時があります。漢方薬飲んでます。(効きますか?)長い目で見たらましになったかなという気はします
街の人:
立ったらクラっとしたり。雲っていたり、雨が降っている日とか
街の人:
やっぱりだるかったり、季節のせいかなと思っているんですけど。こたつがあって反対にエアコンを使ったり、目まぐるしいというか
街の人:
体が重いですね、だるいというか。職場の人も同じようなこと言ってますね。「梅雨だる」だなとか、「季節の変わり目はそうだよね」とか、そういう話ばかりしています
梅雨時の体調不良、「梅雨だる」。悩んでいる人や困っている人は多いようだ。
9割は女性「梅雨だる」
医師は―。
安曇野内科ストレスケアクリニック・飯田俊穂医師:
大変多いですね、ここ数年大変増えてきました。やはり頭痛とかめまい、イライラ、不安、気持ちが落ちている、力が入らない、だるいとか、自律神経に症状が出てくる方が非常に多いですね
安曇野市で内科・心療内科のクリニックを開く飯田俊穂医師。
「梅雨だる」を含め気象の変化による不調は「気象病」に分類されるとし、一般的に症状を訴える人の多くは女性だと言う。
こちらのクリニックでは女性が9割を占め、ここ1~2週間は特に具合の悪い人が多いそうだ。
なぜ、梅雨時に?主な症状は
気象病の主な症状。身体的なものとしては、頭痛や倦怠感、めまいなど。
精神的なものでは、不安感やネガティブな気持ちが強くなることなどが挙げられる。
なぜ、梅雨時になると、そうした症状が生じるのだろうか。
安曇野内科ストレスケアクリニック・飯田俊穂医師:
前線が通るときに気圧の変化があるんですけど、気圧の変化によって脳の中のセンサーに影響が出て、それで症状が出るということ。敏感で繊細な方、自律神経失調症という病気があるんですけど、自律神経に症状が出やすい人、反応しやすい人が症状として起こりやすい
自律神経に影響を及ぼすのは「気圧の変化」だけではない。「気温の変化」も大きく影響する。
ジェットコースターのようなグラフ。
過去2週間の長野市の最高気温、最低気温の変化で、6月16日と17日の最高気温は9度も違う。
さらに1日の気温差に注目すると、17日と20日は17度前後も違う。
異常気象…症状訴える人が増加傾向
医薬品メーカーの「第一三共ヘルスケア」が2022年実施した都道府県別の調査によると、県内では64%の人が気象病の経験があると回答した。
全国では16番目の多さで、寒暖差の大きい内陸の地域性が影響しているとみられる。
さらに、近年は異常気象と呼ばれるほど気象が不安定になり、症状を訴える人が増える傾向にあるという。
適度な睡眠、ストレスの発散を
さて、こうした気象病を予防したり解消したりする方法はあるのだろうか。
安曇野内科ストレスケアクリニック・飯田俊穂医師:
一般的には対症療法といって、頭痛があれば頭痛薬、めまいがあればめまいの薬と、症状に合わせた対処法が知られていますけど、それですっきりするかというと、なかなか効かないというのが一番困っているところです
気象病を予防するのは難しく、対症療法になりがち。
まずは症状を悪化させないためにも自分の体を知り、無理をしないことが大切だという。
安曇野内科ストレスケアクリニック・飯田俊穂医師:
あらかじめ天気予報を把握してもらって「そろそろ危ないぞ」という時には、無理しないようにするとか、そういうときにイベントとか用事は避けるとか、あまり出歩かないとか、そういった工夫をせざるを得ないですかね
自律神経のバランスを整えるには、適度な睡眠、ストレスの発散、規則正しい生活を心がけることが重要だ。
こんなマッサージもおすすめ。
(1)まず耳を軽くつまみ、上・下・横に5秒ずつ引っ張る
(2)そのまま軽く引っ張りながら後ろ方向に5回ゆっくりと回す
(3)続いて、耳を包むように折り曲げて5秒間、キープする
(4)最後に耳全体を手のひらで覆い、後ろ方向に円を描くようにゆっくりと5回、回す
このマッサージをすることで耳周りの血行が良くなって自律神経が整い、症状の改善が期待できるという。
梅雨が明ければ本格的な夏。
暑さに備えるためにも天気予報をチェックしながら体調を整え、梅雨を乗り切りたいものだ。
(長野放送)