記者が手にするカメラの目線で、石川県内のユニークな人やスポットを紹介。能登さくら駅として知られる、のと鉄道の能登鹿島駅で花を育てるある女性にスポットをあてた。

桜の時期が終わっても寂しくないように…

能登さくら駅の愛称で知られるのと鉄道・能登鹿島駅。桜が開花したこの日、駅に1人の女性の姿があった。

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佐藤まゆみさん(70)。

佐藤まゆみさん:
桜、ちょこちょこ咲きだしましてね。花壇に花を植えているんです

客:
ご苦労様です、きれいやね

佐藤まゆみさん:
桜ちょっと遅れても、花壇だけでも見てもらえれば

桜の下できれいに咲いているのはカラフルな花やハーブ。佐藤さんが、丹精して育てているもの。

佐藤まゆみさん:
こういう駅があるんだよということを知ってもらえれば。桜だけじゃなくて、憩いの場として来ていただければいいなと思っているんです

佐藤さんの住まいは能登鹿島駅の近く。

佐藤まゆみさん:
12種類ほどハーブあります

出口日菜穂記者:
ご自宅でもやってらっしゃるんですか?

佐藤まゆみさん:
はい、ここから花壇に持って行っています

自宅のハーブの中には…

佐藤まゆみさん:
これカレープラントっていって、カレーの香りするんです。めっちゃ香る

出口日菜穂記者:
すごい香りします

佐藤まゆみさん:
これでごはん一杯食べれそうっていうの。黄色い可愛い花咲くのよ。これ好きなの、わたし

能登鹿島駅に花壇を作り始めた理由について尋ねた。

佐藤まゆみさん:
失礼な話ですけど、けっこう荒れ荒れな場所で、桜(の時期が)終わったらなんか寂しいなと思ったんで、枕木を使った花壇をまず作りました

花壇を作った理由はこれだけではない。

佐藤まゆみさん:
すごい抗がん剤と、そのときステージ3だったので、髪の毛も全部抜けたりして、その間っていうのは外に出たくないしね

18年前、佐藤さんが52歳の時、乳がんが発覚した。あちこちの病院を回り、一時は「もうダメかも」と言われたこともあったが、現在はガンを克服し、元気に毎日を過ごしている。
そんな佐藤さんだからこそ、駅の花壇を通して伝えたいおもいがあった。

佐藤まゆみさん:
(病を克服できた背景には)鹿島駅の景色を見て癒されて、花に助けられて。病をもって私みたいに、じっと家にいて外に出たくないなという状態なら、外へ出てきてとにかくお花に触れてみませんかっていうことから始めてみてはどうかなと

人と人をつなぐ能登鹿島駅の花壇

開花から4日後の4月10日、駅のサクラはほぼ満開に…休日ということもあり、多くの観光客が訪れていた。

佐藤さんの姿も…。でも、この日は1人ではなかった。佐藤さんの声掛けに賛同した地元の女性たちも、花壇作りに参加している。

今では「桜娘ズ。」というグループ名で活動している。作業が終わったあとは、恒例のお茶会。
一服したところで、みなさんにある質問をしてみた。

(Q.佐藤さんてどんな人ですか?)
佐藤まゆみさん:

そこ聞く?

「桜娘ズ。」メンバー:
社交家や、自分の思ったことを意見言って、すぐにしてくれるから

佐藤まゆみさん:
上手に言うね

「桜娘ズ。」のメンバーにも頼りにされているのが伝わってきた。

列車が来る音を聞いて、手袋をつかみ向かった先は駅のホーム。出発する列車に向かって手を振っていた。

出口日菜穂記者:
なぜそこまで手をふる?

佐藤まゆみさん:
やっぱりありがとうという気持ちと、無事に事故のないように行ってねという祈りをこめて、見える限りまで手を振らせてもらってます

駅に訪れた人を大切にしている佐藤さん。取材中も多くの人と話し込む姿が見られた。話のきっかけはいつも花。

佐藤まゆみさん:
花というのは人と人をつなぐ役目があるんじゃないかと、(花壇の)整備していてわかりました。桜が散ると寂しい駅になっていたので、今現在やっと一年中花が咲く花壇になりました

出口日菜穂記者:
これからの夢は?

佐藤まゆみさん:
私にしてはもう満足、ほとんど100%くらいの姿になっていると思います

桜が散ったあともまた、出会えることを願って。佐藤さんは、きょうも自慢の花壇の側で手を振り続ける。

(石川テレビ)

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