宮崎県への移住世帯数の推移。統計を取り始めた2006年度以降に年々増え、2020年度は過去最多となった。
そんな中、移住政策で注目を集める、ある町がある。その魅力に迫った。

通い続け30年…念願の移住を果たしたサーファー

秦萌アナウンサー:
コロナ禍の地方回帰も追い風となり、移住者数が過去最多となった宮崎県。中でも17町村の中で5年連続トップを誇り、移住者の心を掴んでいるのがここ川南町です

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宮崎県の中央部に位置する川南町。明治以降の農地開拓事業で、日本三大開拓地として全国から移住者を受け入れた歴史があり、「川南合衆国」とも呼ばれている。
そこに今、移住者が集まる理由とは…

川南町役場まちづくり課・甲斐好泰さん:
立地でいうとサーフィン、それが要因の一つとなっています

今増えている「サーフィン移住」。日向灘に面する川南町には、一級のサーフポイントが点在し、南北に開けた一直線の海岸に上質な波が押し寄せる。その海に魅せられて移住してくるサーファーが多いという。

堀田耕市さんと妻の亜紀子さんもその1人。三重県出身の耕市さんは30歳のころ、サーフィンを楽しむため川南町の伊倉浜へ。あたたかく迎えてくれた地域の人たちと上質な波に魅了され、通い続けることなんと30年。2020年、念願の移住を叶えた。

三重県からサーフィン移住・堀田耕市さん:
通ううちにここに住めたら良いなと思うようになって、この人を引っ張りこんで「行くぞ!」という感じで

三重県からサーフィン移住・堀田亜紀子さん:
そのような転機をもらえるチャンスって、自分だけの人生だとなかったことなので、チャンスだと思って、行こうとすぐ思いました

仲良し夫婦の2人。朝は海辺を散歩し、波があれば2人でサーフィンへ。
川南は、ほかのサーフポイントに比べて圧倒的に人が少なく、良い波を独り占めできる穴場スポットだそう。

三重県からサーフィン移住・堀田耕市さん:
いつも高得点がつくような波は出ないけれど、僕はここの波が好きですし、性には合っているんだと思います

三重県からサーフィン移住・堀田亜紀子さん:
決まるといいよね!

三重県からサーフィン移住・堀田耕市さん:
決まるといい

川南ライフを満喫する堀田さん。実は、自宅の横でメキシコ料理のカフェをオープン。タコスとコーヒーで、海上がりのサーファーの体を温める。

お客さん:
よく来る。毎週来てます。

(Q.オーナーはどんな人?)
お客さん:

おもしろいっすね。面白いにつきます。いい人です

地元にすっかり馴染む堀田さんのお店からは、サーフポイントの入り口が見える。

三重県からサーフィン移住・堀田耕市さん:
僕のね、夢だったんですよ。歩いてサーフィンに行くことが。
(三重にいるときは)片道3時間かけて海に行ってたんで、歩いて行けるというのは夢でしたので、やっと叶いました

夫婦2人で新たな生活を楽しむ堀田さんが、川南に来て感じることは…

三重県からサーフィン移住・堀田耕市さん:
いろんな人とありがたい出会いがあってここにいるというか、この土地に住めていることもそうですし、ありがたいです、本当に。とにかくあったかいです、どなたも。親切にしていただけるし、優しくしていただけるしね

三重県からサーフィン移住・堀田亜紀子さん:
この形がずっと続けば良いなと思いますし、このお店があることで少しでも町に貢献できればと思います

日本一周して移住先を決定!

秦萌アナウンサー:
そして、移住者を惹きつける理由はサーフィンだけではありません。増加の裏には、町独自のこんな取り組みもありました。

川南町への移住が増えるもう一つの理由、それは「農業」。
川南町では、町やJAなどが連携し、農業を始める移住者をサポートしている。研修生は、専用のトレーニングハウスで2年間の研修を受け、川南町特産「さららピーマン」の栽培から収穫までを学ぶ。

この制度を使って、農家としての一歩を踏み出した移住者がいる。1期生の保坂政孝さんと妻の美幸さん。2018年に福岡県から移住し、2020年に就農した。現在、20アールのハウスでピーマンを育てている。

福岡県から移住・保坂政孝さん:
(仕事がバラバラで)なかなか夫婦の時間を作れないことが多かったので、もっと二人の時間が欲しいと思い、移住をしようかという話を決めました

保坂さんは移住先を探すため、車で日本一周。移住先を川南町に決めた。

福岡県から移住・保坂政孝さん:
研修制度があるのは正直すごくありがたかったです。全く分からなかったので、ゼロから教えていただけると聞いて、すごく魅力的だと思いました

農業経験が全くなかった2人。農業研修を行う自治体は他にもあるが、決め手となったのが就農後の手厚いサポート。町やJAが農地を探して購入、農業用ハウスを15年間リースしてくれる。こうした支援もあり、保坂さんのピーマンづくりも軌道に乗り始めている。

(Q.保坂さんのハウスは何点?)
JA尾鈴ピーマン部会・網代宗章さん:

ほぼ85点以上。2人で2反(20アール)分を作業しながら、ここまでやれるのはほぼ100点に近い状態。何の問題もない

福岡県から移住・保坂美幸さん:
旦那さんが土を扱っていたり、作業服を着て仕事をするなんて思ってもなく、大丈夫かなと不安はすごくあったけど、こっちの方が向いているのではないかなと思います

福岡県から移住・保坂政孝さん:
これから3年5年と頑張って農業を続けて、一人前の農家として認められたいし、そうすることで川南町、大きく言うと宮崎のためになるのかなと思っているので、そのためにもこれから2人で一生懸命やっていきたいです

こうした制度はもちろんだが、保坂さんは川南町の人の温かさが最後は背中を押してくれたと話している。

秦萌アナウンサー:
川南町は全国から移住者を受け入れた歴史があるため、そのウェルカムな町民性が町の魅力だと感じました

新たな土地で奮闘する移住者の姿は、希望に満ち溢れている。

(テレビ宮崎)

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