民法改正で4月1日から成人を指す「成年年齢」が18歳に引き下げられる。これにより、ひとりの“大人”として親の同意なしで契約ができるようになるなど、楽しみにしている18歳も多いかもしれない。

一方で未成年者はこれまで契約に親の同意が必要な代わりに、民法の「未成年者取消権」で契約を取り消すことができた。成人になるとこの権利は行使できなくなる。できることが増える分だけ、責任も伴うのだ。

では、実際成人になる当事者はどう思っているのだろうか。

ソニー生命保険株式会社は、18、19歳の当事者(500人)と18、19歳になる子どもがいる40歳〜59歳の保護者(500人)の計1000人に「成年年齢の引き下げに関する意識調査」を2021年10月15日〜18日に実施。結果、当事者の59.4%が「楽しみ」、そして59.8%が「不安」と思っていることが分かった。

(出典:ソニー生命保険)
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具体的には、成年年齢の引き下げに関する気持ち・状況が、自身にどのくらいあてはまるか聞いたところ、「自分が成年(成人)になることは楽しみ」では「非常にそう思う」が14.8%、「どちらかといえばそう思う」が44.6%で、合計の「そう思う」が59.4%。

一方で、「自分が成年(成人)になることは不安」については、「非常にそう思う(18.4%)」「どちらかといえばそう思う(41.4%)」となり、合計の「そう思う」は 59.8%だった。
「楽しみ」と「不安」がほぼ同じという、当事者の複雑な心境が調査から明らかになった。

「自覚がないまま大人になること」が1番不安

そして、このうち不安を感じている当事者(299人)に、どのような不安があるか質問したところ、全体で「自覚がないまま大人になること(69.2%)」が突出する結果に。次いで高くなったのが「クレジットカードでの高額な買い物(33.4%)」で、さらに「成人式の混乱(31.1%)」「もうけ話に関するトラブル (28.8%)」「怪しいアルバイトに関するトラブル(26.1%) 」が続いた。

(出典:ソニー生命保険)

また当事者に18歳での成年が早すぎると思うかと質問したところ「早すぎる」が55.2%、「遅すぎる」が7.0%、「どちらともいえない」が37.8%。

自分が成年になることについて親と話をしているかに関しては「話をしている(21.6%)」「話はしていない・今後話をしたいと思う(43.2%)」「話はしていない・今後も話をしたいと思わない(35.2%)」 という結果となった。

(出典:ソニー生命保険)

正しい判断ができるか不安を覚える人も

18、19歳で成人を迎える当事者の意識として、“楽しみ”と“不安”が拮抗する結果となった今回の調査。これは何を意味するのだろうか? また不安に思っている18歳“新成人”に、親や大人ができることはあるのだろうか?

ソニーフィナンシャルグループ株式会社・金融市場調査部のシニアアナリスト・石川久美子さんに話を聞いた。


――なぜ“楽しみ”と“不安”に感じている割合がほぼ同じになった?

成年になることでいろいろな自由度が増えます。例えば様々な契約であったり、クレジットカードなど金銭に関する自由も増えるので、権利の拡大という意味で楽しみにしていることでしょう。

一方で、権利は適切に行使しなくては、手痛いしっぺ返しを受けることになります。自由には責任も伴いますので、正しい判断ができるかについて不安を覚える人もいます。このような両面があることから、“楽しみ”と“不安”に思う人の割合がほぼ同じとなったのではないでしょうか。


――具体的な不安の1位は「自覚がないまま大人になる」だった。この理由は?

“大人としての自覚”は、社会の中で自身の責任を感じ、それを行使して行動していくことで徐々に出てくるものと考えられます。これから18歳成人を迎える現段階では、親の庇護下で生活している人が多く、誕生日を迎えて成人となったとしても、その日から“自分は自立した大人”だと自覚する人は少ないのではないでしょうか。

ただしこれは、現在の“20歳成人”にも当てはまります。大人としての責任を感じる場面がまだ少ないがゆえに、「自覚がないまま大人になる」ことに漠然とした不安を感じている可能性があります。

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――では当事者の約55%が「18歳成人は早すぎると回答」。これをどうみる?

現在においても20歳は学生として親元で暮らしている人も多く、まだ当事者も親もともに「(当事者は)まだ子ども」という意識があると感じています。18歳となればさらに親元で暮らしている人が多いことでしょう。そのような中で、さらに成年年齢を引き下げれば、やはり半数以上が「早すぎる」という印象になるのは無理からぬことです。
 

親や周囲の大人ができること

――「成人を迎えることについて親と話した/話す予定」と回答した当事者が約65%いた。これは“不安”から親と話した人が多いということ?

内容は調査対象になっていませんので、定かではありません。成人を迎えることについて不安と同時に「楽しみ」もあるわけですし、必ずしも不安の相談が多いというわけではないでしょう。また精神的な部分よりも前に、「成人式の準備」という大きなイベントがあります。親子間で準備をする具体的なトピックスとして話題に上りやすいのは、むしろこうした点ではないでしょうか。

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――では成人を迎えることに不安に思っている当事者に対して、親や周囲の大人ができることは?

できることは少ないと思いますが、あえて言うのであれば、“大人になることへの自由”と“自由には責任が伴う”ことを掘り下げて、しっかり話をしていただきたいです。

また、もし本人がとても不安に思っているようであれば、その内容を聞いてください。例えば「金銭の問題について自分は上手にできなそう」ということであれば、その解決法とともに、「成人することでできることが増え、人生がもっと楽しくなる」とポジティブなアドバイスがいいですね。


――今回の調査結果で印象的だったのは?

「親の同意の不要はいつからか?」との質問に対し、「自分が働くようになってから」という回答が多数ありました。成年年齢を法的に設定したとしても、自分が自立したと実感するのは、結局、自身で稼げるようになってからということが、調査結果で鮮明に表れたことが興味深かったです。

前向きにいろんなことに挑戦して

――調査結果から、当事者は成人についてどんなイメージを持っている?

アンケートを見る限りは、「成人=自立」というイメージがおそらく強いのではないでしょうか。自立とは「経済的自立」であって、特に学生であれば、周囲から「成人」や「大人」と言われても自立していないことから、あまりイメージができていない人が多い印象です。


――最後に、18歳成人に向けたアドバイスをいただきたい。

“できる自由”が増えるということは責任が伴います。ただ、自分が取れる責任やリスクをしっかり自覚して行動すれば、たくさんの楽しいことを行えます。ネガティブに受け止めずに前向きにいろんなことに挑戦してください。選択肢は少ないよりも複数あった方が、自分で人生を選んで豊かにしていくことができるでしょう。

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4月1日からは18歳で成人を迎える。経済的自立をする前に、自覚のないまま大人になることへの不安というのは当事者の偽らざる気持ちだろう。しかしこれまでと比べてできることが増え、楽しいこともたくさんある。分からないことは親や周囲に相談をしつつ、“大人”への一歩を進んでいってほしい。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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