長野県飯田市に本部を置く空手の団体が、ウクライナ支援の募金活動を始めた。ウクライナにいる門下生は約1万人。仲間の身を案じ、行政と連携して避難民の受け入れも検討している。
子どもたちの上に爆弾「耐え難い」
この記事の画像(14枚)3月14日、空手の稽古に励む小中学生。NPO法人「日本武道総合格闘技連盟 空手道禅道会」の道場だ。飯田市に本部があり、全国に約8000人の門下生がいる。
稽古を見守る首席師範の小沢隆さん(61)。ウクライナ情勢に心を痛めている一人だ。
禅道会 首席師範・小沢隆さん:
武道を通じて行き来があったので本当に憂慮してる。ウクライナのかわいい子どもたちの上に爆弾が降ってくるのは耐え難い
多くの犠牲者を出しているロシアのウクライナ侵攻。戦禍を逃れてポーランドなどに多くの人が避難している。
禅道会は35カ国に支部を持ち、ウクライナにも7年ほど前に支部を設立した。現地の門下生は約1万人。
新型コロナの感染が拡大する前は、小沢さん自身も指導に出向くなど交流を重ねてきた。禅道会の「第1回ヨーロッパ大会」を開催した思い出の地でもある。
禅道会 首席師範・小沢隆さん:
純粋に日本の文化を尊敬して学ぼうという気持ちが強くて、むしろ日本で空手を学ぶ青少年にウクライナの人たちの真面目さを学んでもらいたいと思うほど。とても真面目で、なおかつエレガントな文化性があって感銘を受けた
キエフにいる仲間の無事を毎日確認
笑顔で写真に写る男性。ウクライナ支部長のイゴール・ユカチュクさん(46)だ。
住まいは首都キエフの近郊。戦闘に参加している可能性もあることから、小沢さんは日々、電子メールで無事を確認している。
禅道会 首席師範・小沢隆さん:
メールで「命を大事にしてくれ」「またウォッカを飲めたらいいな」と言ったら、「戦争に勝って、また先生と一緒にウォッカを飲みたいと思います」と。彼はキエフにいるのでとても身を案じて、居ても立ってもいられない気持ち
戦禍に巻き込まれていく、多くの子どもたち。
中学3年生:
ウクライナの子どもが巻き込まれて亡くなってるというニュースを聞いたときは、聞いていて心苦しいのでつらかった
中学1年生:
一般人が死ぬのはおかしい。戦争を早くやめてほしい
募金や避難民受け入れへ 高森町と連携
仲間たちを助けたいと、禅道会は3月9日から募金活動をスタート。
10日には、小沢さんが住む高森町も連携して、役場など町内3カ所に募金箱を設置した。さらに避難民の受け入れでも連携する方針だ。
高森町・壬生照玄町長:
もし、ウクライナの方から高森町や当町に関係の自治体に来られるなら、まずは町の空いている施設で受け入れさせていただきながら、長期になるのであれば、皆さんの就業や生活を支えることを一生懸命取り組みたい
町は禅道会を頼って日本への避難を希望する人がいれば、空いている町の教員住宅などをあっせんし、長期滞在も可能にしたいとしている。
禅道会 首席師範・小沢隆さん:
本当に子どもたちだけは早く何とか逃がして、ここへに来ることができたら。安全な日本に来てほしい、それが今の気持ち。国境までは行って、迎えに行くことができたらな
禅同会の募金は4月末まで。ウクライナ支部長のイゴールさんを通じて、救援物資の購入などに使ってもらう予定だ。
(長野放送)