ジャコポ・ティッシさん:
「正当化できる戦争はない。どんな暴力にも反対していく」
ダビジ・モタ・ソアレスさん:
「何も起きていないかのように振る舞うことはできない」

ロシア軍によるウクライナ侵攻に抗議し、退団を表明した人気ダンサー。彼らの所属、それは優美で華麗な舞いで世界中の人々を魅了してきたロシアのボリショイ・バレエです。チャイコフスキーの「白鳥の湖」を世界で初めて上演した名門バレエ団としても知られています。1776年に創設されたボリショイ劇場を本拠地とし、ロシアの芸術・文化を象徴する存在で、現在の総支配人は、ロシア政府に任命されています。
今回、退団を表明したイタリア人のジャコポ・ティッシさんは、ダンサーの最高位である“プリンシパル”を務め、名実ともに世界トップクラスのダンサーです。
ジャコポ・ティッシさん:
「世界に憎しみが広がることを見過ごすことはできない」
「すべての戦争と苦しみが早く終わるよう、切に願う」


SNSでこのような意見を明らかに。
めざまし8は、ボリショイ・バレエ団に所属する現役の日本人ダンサーを独自に取材しました。
すると、外国人ダンサーたちの“ロシア離れ”といえる状況が見えてきました。
ボリショイバレエ 千野円句さん:
もう2日・3日くらい前に僕を除く全ての外国人は帰国しました。
主な(理由は)やっぱり自分の国に帰れなくなるのは嫌だから帰れるうちに帰りましょう、みたいな感覚なんじゃないですか
取材にそう答えたのは所属するダンサーの一人、千野円句(ちの・まるく)さん。

千野さんによると、およそ200人いるダンサーのうち、6人ほどが外国人で、千野さん以外の外国人ダンサーがすでに祖国へ帰る決断をしたといいます。
ボリショイバレエ 千野円句さん:
先週終わりに一緒に公演があったんですけど、やっぱり帰国前最後の公演ってこともあり、結構ちょっと泣いちゃったりもしてました。悲しくて。やっぱりこれが。いつ終わっていつ戻ってくるのかは、さすがにまだ予測不可能なので。
やっぱりそのボリショイ・バレエ団っていうのは、世界でもトップ、世界1のバレエ団とも言えるんで、やっぱりそこで踊れなく、こういう形で踊れなくなるのはとても悔しいと思います。
残るにしても覚悟がいるし帰るにしても覚悟がいる、難しい選択だと思います
実は、こうした動き、バレエだけでなく芸術界全体へ広がりを見せているのです。

ボリショイバレエ 千野円句さん:
芸術はやっぱ世界統一のものなので。
外国のバレエ団からロシア人が逆に辞めていったり、そういうことも聞いてますし、そういう形で自分のやりたいことがやれなくなるのが一番悔しいと思う
ーーその中で円句さんは例えば日本に帰るとかそういった選択肢について今のところどうお考えですか?
僕はないですね。僕はやっぱりバレエを続けたいですし、そういう政治的な事では辞めたくないです
バレエへの純粋な思いと覚悟を持って千野さんはこれからも活動していくことになります。
(めざまし8 3月9日放送)