新型コロナウイルスの感染拡大で、マスクの着用や手指の消毒とともに身についた人も多いだろう「手洗い・うがい」の習慣。

「外から帰ったら、すぐに手洗いとうがい」はウイルスを家に持ち込まないために大事な行動だ。しかし外から帰ったら、上着を脱いでクローゼットへ。続けてスマホを部屋に置き、トイレに寄ってから洗面所へ…と、実は色々と“寄り道”している人も多いのではないだろうか。

そんな中、ライオン株式会社が「家庭内へのウイルス(インフルエンザウイルス)持ち込みとその付着・伝播の実態」について調査。やはり手洗い前に色々なところに触れていることが分かり、また帰宅直後に早めの手洗いをした場合は、家の中に付着するウイルス量が3割以下に減少するというデータが得られたのだ。

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帰宅後の行動に関しての書面調査(20~69歳の10,000人を対象としたインターネット調査・2021年7月実施)では、約9割が「帰宅後、手を洗う」と回答したものの、実際には手洗い前にリビングなどに立ち寄って色々なところに触れていることが判明。

また、一般家庭3世帯によるモニタリング調査(2021年8~10月実施・ビデオ撮影による観察調査)でも、子どもだけでなく、大人も手洗い前にリビングやキッチンなどに立ち寄っているという実態が明らかになった。

さらに、エージェントベースAIシミュレーションモデルを用いた調査で、一定量のウイルスが手に付着していたと仮定し、2LDKの間取りをモデルとして、帰宅後30分間で接触した場所ごとにどの程度ウイルスが付着しているかを算出。

結果、帰宅後の手洗いが遅くなると家庭内にウイルスが拡散するが、帰宅直後に早めの手洗いをした場合は、家の中に付着するウイルス量が3割以下に減少するというデータが得られたのだ。

具体的に調査は、モニタリングによって得られた行動パターンから、ある物に触る確率や、ある部屋に移動する確率等を求め、帰宅時のヒトの行動を数理モデル化。この行動に関する確率値に基づき、エージェント(仮想空間内のヒト)を動かし、帰宅時の様々な行動パターンを再現した。

まず、帰宅後の30分間に手を洗わなかった群を「手洗いなし群」、玄関のドアを開けて鍵を閉め、靴を脱ぎ、そのまま洗面所に向かって手を洗ったという「15回接触以下」の群を「早めの手洗いあり群」と定義。

帰宅後30分間の家庭内ウイルス付着量を比較したとき、「手洗いなし群」では玄関に多くのウイルスが付着していることに加え、リビングのテーブルやキッチン、また、全てのドアにウイルスが付着していた。

一方「早めの手洗いあり群」を見てみると、玄関周りには多くのウイルスが付着しているが、洗面所周辺ではドア付近以外にウイルスは付いておらず、その他の場所でも「手洗いなし群」と比べると全体的にウイルスの付着が少なくなっていた。

さらに、早めの手洗いに加え、玄関で消毒をした場合は、玄関以外にはほぼウイルスが付着しておらず、家の中に散らばるウイルスの数がぐっと抑えられている。

玄関での消毒がポイント(イメージ)

これらから「早めの手洗いあり」の場合、「手洗いなし」に比べてウイルス量は3割以下に。さらに手洗いに玄関での消毒をプラスした場合には、約1割にまで減少するという結果が出たという。

また、単に「手洗いあり」の場合はウイルスの量自体は減少するものの、この手洗い前に様々な場所を触ってしまうことで、家庭内へのウイルスの持ち込み量は大きく減ることはなく、「早めの手洗い」が大切なことも、調査によって判明している。

「帰宅したらすぐに手洗い」を実践しているつもりでも、意識せずにしてしまっている“寄り道”の間にウイルスをばらまいてしまっている…という調査結果。

改めて、どんな行動をとれば安心・安全を守れるのか、ライオンの担当者にお話を聞いた。

「つい…」の寄り道に意識とのギャップが

――この調査をしたきっかけは?

様々な情報が溢れている中「本当に必要な衛生行動を明らかにし、適切な衛生行動のポイントをお伝えすることが、生活者の安心に繋がるのでは」と考えたことがきっかけです。


――帰宅後に手を洗う人は9割。でも「実際にはいろいろなところを触っている」というこの調査結果の受け止めは?

帰宅直後に手を洗うことが大切、と認識され「帰宅後、手を洗う」と回答している人でも、実際の調査からは、手洗い前に家の中の様々な場所に触れている、ギャップが生じていることがわかっています。ついモノを置くため、立ち寄ってしまう行動が理由と考えています。

帰宅後、手洗い前にカウンターに触る様子

――実験で想定した「手洗い」とはどんなもの?

市販の一般的な液体・固形石けんを使用し、揉み洗い10秒、流水15秒を想定しています。今回の実験では、社外研究機関の文献から、手洗い・消毒のウイルス除去率を引用しています。そのため、手洗い・消毒条件もその文献に基づく形になります。


――「早めの手洗いあり」でも部屋の中にはウイルスが付着する。この理由は?

今回は、帰宅後の接触回数が15回以下だった行動パターンを「早めの手洗い群」としています。この場合、基本的には「玄関のドアを開けて鍵を閉め、靴を脱ぎ、そのまま洗面所に向かって手を洗った行動」を表しています。

ただし、一部のシミュレーション上の行動データには、
・手洗い前に、ベッドルームやリビングなどに立ち寄った
・手洗い後に、ウイルスが多い携帯物や玄関エリア等のモノに触った後、ベッドルームやリビングなどに行った

という、行動パターンが反映されていると考えます。

冷蔵庫やキッチン周りには注意

――調査でわかった「特にウイルスが付着しやすい場所」はどこ?

玄関エリアは、最も付着が多いことが改めて分かりました。また、手洗い直前に触る蛇口のコックも多く付着することがわかりました。携帯物・所持品は、付着が多いことが分かります。


――では、見落としがちな「意外にウイルスの付着が多い」部分は?

エリア別でみると、台所やリビングエリアのウイルス付着が多くなっています。冷蔵庫に食材を入れる、キッチンで手を洗う、テレビをまずつける、等、帰宅後に最初に訪れがちなエリアと言えます。冷蔵庫やキッチン周り、リビング内の物品等は、その後も頻繁に触りますので、注意したいポイントです。


――今回の調査を受けて、今後気を付けてほしい点・注意してほしい点は?

玄関での手指消毒と早めの手洗いによって、外で付着した手指上のウイルスが、家庭内に付着する箇所が減ることが分かりました。ウイルスの付着箇所は、間取りや帰宅後の行動動線によって変わりますので、今回の資料を参考に、各ご家庭で、帰宅後の手洗いのタイミングを見直したり、手洗いまでに触ってしまいがちなモノやウイルスが蓄積しやすい場所を確認する機会にしていただければと思います。

子どもが小さい場合、帰宅後すぐに洗面所に行く「付き添い手洗い」で、家庭内へのウイルスの広がりを抑えることができます。また、手を洗うときも、石けんやハンドソープを使用し、しっかり泡立てて、洗い残しが多い「指先」「指と指の間」「手首」を忘れずに洗うことが大切です。

小さな子どもには「付き添い洗い」が安心

調査結果について「家庭内でのウイルスの伝播を抑えるためには、帰宅後玄関から洗面所に直行して手を洗うこと、さらに帰宅後玄関で消毒をすることが大切であることがわかりました」と分析しているライオン。

また実験はインフルエンザウイルスで行ったが、「手指やモノへの付着の仕方は、新型コロナウイルスも類似しているので、実験結果は新型コロナウイルスに関しても参考になると考えています」とのことだ。

コロナ禍の新しい生活習慣がなじみ、気が緩みがちになってしまっていないか、今一度帰宅後の行動を見直してみると良いだろう。

記事 4296 プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。