1993年にスタートしたJリーグは今年30年目の節目を迎える。この長い歴史の中で3連覇を達成したのは、鹿島アントラーズのみだ。

今シーズン、この偉大なる記録に挑むのは川崎フロンターレ。2年連続でリーグ王者となったフロンターレは、17クラブの包囲網を突破できるのか。

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フロンターレのレジェンド・中村憲剛が、「中村憲剛のJリーグ盛り上げ隊2022」で注目選手を挙げながら、3連覇に必要なものについて語った。

2度目のチャレンジとなる3連覇

「僕自身も2017年、2018年に優勝した後、2019年シーズンに3連覇に挑戦しましたけど、包囲網も敷かれましたし、対策も立てられたんで、簡単じゃないと思うんですけど。それを上回って3連覇達成できるかどうかというところは、今シーズンの見どころだと思います」

こう話した中村は、2003年から2020年シーズンまで18年に渡って川崎フロンターレ一筋を貫き、チームを引っ張ってきた存在だ。

フロンターレはJリーグ最多の無敗記録30試合(20-21シーズン)、歴代最多勝ち点となる85点(21シーズン)を記録するなど、圧倒的な攻撃力でリーグ連覇を成し遂げた。オフには優勝に貢献した旗手怜央が、スコットランド・セルティックへ移籍。

Jリーグの歴史の中で鹿島アントラーズしか成し得ていない3連覇に向け、フロンターレは新戦力を加え、2019年に続き2度目のチャレンジに挑む。

レアンドロ・ダミアンの進化

中村は今シーズンの鍵となる選手について、レアンドロ・ダミアン(32)の名前を挙げた。

「まずは昨季MVPのレアンドロ・ダミアン選手。昨シーズン得点王だったということもそうですし、アシストも非常に多かった。あとは守備のところですね。スイッチを入れるところですとか。
MVPも獲得しましたし、今シーズンにかける想いというのは本人も強いと思いますから、そこに期待したいなと思います」

沖縄県恩納村のキャンプ地で、練習を重ねていたダミアン。3連覇に向け一体どのような進化を遂げようとしているのか。

レアンドロ・ダミアン選手
 

「今こなしている多くのフィジカルメニューはシーズンが始まるとやる時間がありません。今はフィジカルを最高の状態に持っていくことだけを意識しています。シーズン通して試合と試合の間に回復する体を作っているところです」

キャンプのテーマでもある“フィジカル強化”に余念がないダミアン選手に、苦手なものを聞くと「あの豆…ナットウ」と苦笑いを浮かべながら、「食べたことはありますが、いい経験ではありませんでした」と答えるなど、精神的にもリラックスした様子をみせていた。

補強の最大の目玉はチャナティップ

チャナティップ選手はコンサドーレ札幌より加入

そして今シーズンの補強の最大の目玉は、ダミアンとSNSを通じて友人でもあるタイのメッシことチャナティップ、28歳。北海道コンサドーレ札幌より加入が報じられた際、国内クラブ同士による移籍では史上最高レベルの移籍金との報道もあった。

中村は「自分が得点することもそうですし、アシストも含めて、人にゴールを獲らせることもできます。ドリブルのキレ味もそうですし、アイデアと独創性を持ち合わせています」とチャナティップ選手を評価する。

中村憲剛Instagramより

さらに「僕のことを結構好きだったらしくて、『センパイ!テンサイ!テンサイ!』って言うんですよ。『アナタ サッカー ウマイネー』みたいな。とにかくかわいい」と続けた。

沖縄キャンプに合流し早速練習に参加しているチャナティップ。

158センチという身長は、他の選手と比較するとかなり小柄に見えるが、止める・蹴るの技術は正確無比。テクニックだけでなくその人懐っこい愛くるしいキャラクターで、早速チームに溶け込んでいるように見えた。

自身のストロングポイントについて聞くと、「恥ずかしいなー」と照れ笑いを見せながら「球際の強いところとパスワークです」と力強く答えたチャナティップ。

このキャンプで意識していることは一体何なのだろうか。

「まずはチームメイトとわかり合うことです。自分もまだチームメイトがパスを受けたいタイミングがわからないし、自分がどんなパスが好きなのかまだ知らないので、お互い理解することから始めています」

中村憲剛の背番号を受け継ぐ男の目標

背番号14を引き継ぐ脇坂泰斗選手

中村が2004年から2020年まで、17年間背負った背番号14。その14番を今シーズン背負うのが26歳の脇坂泰斗だ。ユニフォームの先行販売では既に1位の売れ行きだという。

「僕が“14番”をつけることで、より注目もされると思いますし、自分がこれまでの人生でしたことがないような経験ができると思うので、1プレイヤーとして大きくなることもそうですし、このフロンターレに何か残せるように頑張っていきたいなと思います」(脇坂)

そしてこの新14番は今シーズン、何をテーマにしているのか。

「昨年はアシストの1個前のパスが多くて、アシストと得点が少ないと個人的に感じているので、そこを伸ばしていくことを今シーズンのテーマにして、10ゴール10アシストを目指してやっていきたいなと思っています」

キャンプ中、オフの時間は部屋でゲームをするという脇坂。最近発売されたゲームソフトでリフレッシュ時間を過ごしていると明かす。

ゲームの話をする際は笑顔がこぼれた

「ゲームはちょっと恥ずかしいんですけど、小林悠さんとポケモンやっています。各々の部屋でやって、今どこまで行ったかとか、何を捕まえたかとか、そんな子供みたいなことをやっています」

メリハリをつけたキャンプでのトレーニングは上々のようだ。

キャンプで見えた今シーズンの戦い方

トレーニング後の自主練習の様子

フロンターレの強さの秘密は、トレーニング後の自主練習にあるという。

2018年JリーグMVP、35歳の家長昭博と、U-18から昇格した五十嵐太陽がペアを組み、“止める”“蹴る”の基礎トレーニング。ベテランから若手までが参加するこのトレーニングはコーチもサポートする。

中村はフロンターレの3連覇に必要なものとして、「勝ち切ること」「スピード」「経験値」という3つのキーワードを掲げた。

「やっぱり“勝ち切ること”。相手も守備的に来るチームが増えてくると思うので、鬼木監督もスピード、パススピードだけでなく頭のスピードだったり体のスピードだったり、とにかく“スピードを求める”というのは、守ってくるものを上回るために必要なものを認識してると思います。

あとは2019年当時のうまく行かなかった“経験値”も含めて、そこも必ず活きてくると思うので、期待しています」

“スピード”がキャンプのテーマと語った鬼木達監督

自主練習中も、選手とコミュニケーション、そしてチェックも欠かさない鬼木達監督。中村同様に指揮官もこのキャンプのテーマに、“スピード”を挙げていた。

「単純にパススピードもそうですし、動きのスピード、ポジションのとり方だとか、例えば追い越すところ、背後に行くところもそうかもしれないですし、頭の考えるスピードもそうですし、全てが繋がってくるのかなと思います」

今シーズンも得点を獲ることにフォーカスしている鬼木フロンターレ。パス・動き出し・判断などの“スピード”に磨きをかけ3連覇に挑む。

初戦は、明日18日(金)に行われる川崎フロンターレ×FC東京の『多摩川クラシコ』。30年目のJリーグがいよいよ幕開けする。