16日カーリング女子日本代表ロコ・ソラーレが準決勝進出へ向け、アメリカと対戦し見事勝利。その勝利の裏には、5人目のメンバー「琴美ちゃん」の存在がありました。

世界でも認められている「クレイジースイーパーズ」

日本時間、16日午後9時過ぎ。予選リーグの正念場を迎えたカーリング女子日本代表の「ロコ・ソラーレ」。直近2連敗で後がない日本。絶対負けられない試合の相手は、アメリカです。

全ての出場国の中で、ショットの成功率1位の日本は序盤から正確なショットでチャンスを作ります。

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試合が大きく動いたのは第2エンド。日本にとって不利な“先攻”でしたが…

アメリカに難しいショットを残し失敗を誘うと、日本が3点をスチールし、4対0と大きくリード。試合の主導権を握ります。

そして、ピンチを迎えそうになると、4人は、作戦会議を開き、徹底的に話し合っていました。1分半以上に及んだ作戦会議。最後はこんな言葉で終わりました。

「10でいってみよう。最悪4点取られてもいい!」

その後もナイスショットを連発し、試合を優位に進めた日本。その正確なショットを支えているのが。

解説:ナイススイープ!

実況:日本2点!

解説:素晴らしいスイープでしたね。

氷をこすってストーンの滑る距離や曲がる方向を調整するスイープ。日本代表の4人の平均身長は153センチ。小柄ながら、圧巻のスイープ力でついた呼び名は「クレイジースイーパーズ」。ソチオリンピック代表だった小野寺佳歩さんは日本チームのスイープについて。

ソチ五輪代表メンバー「フォルティウス」所属 小野寺佳歩選手:
体はすごく小さいんですけど、その分ブラシを動かす早さっていうのが本当に早いので、体の小ささとか関係ないぐらいすごくブラシに力が伝わっていますし、強いスイープができていますし。海外ではクレイジースイーパーズと呼ばれるぐらい、世界でも認められているスイーパーなので。彼女たちのスイープもきょうもすごく光っていましたね。

しかし、第7エンド。日本は、最大のピンチを迎えます。

アメリカに見事勝利「チーム全員で最後まで勝ちを信じた」

実況:
アメリカ4点!同点に追いつきました。劣勢からアメリカが4点を取って追いつきました。これで7対7。同点になりました。

アメリカに4点を奪われ、同点に追いつかれた日本。しかし、すぐに2点を取り返して流れを引き戻すと、勝負の最終第10エンド。

実況:
外に当てる…黄色のストーン1つ もう1つ出るか?
出るか?出たー!出ました!

解説:
綺麗に決まりましたねー。

実況:
ここでコンシード!アメリカが日本の勝利を認めました!

最後は、見事なダブルテイクアウトで勝利をつかみました。

鈴木夕湖選手:
今日は昨日よりもみんなで声出してコミュニケーションを取れていたのでどのくらいスイープが効くのかとかもちゃんと話し合って今日はスイープが効いたアイスだったのでしっかりそこに合わせてさっちゃん(藤沢選手)が投げてくれてちな(吉田知那美選手)がコールしてくれたのがすごくかみ合っていてそこがすごく良かったと思いました。

藤澤五月選手:
途中追いつかれてしまったんですけど、特にちな(吉田知那美選手)がよく私にポジティブな言葉をかけてくれて、落ち込みそうになったときもしっかりチーム全員で乗り越えて最後まで勝ちを信じてやって勝てたのが良いのかなと思います。

試合後、チーム全員で、掴んだ勝利だと語った藤澤選手。チーム全員というのは、試合に出場した4人だけではありません。

出場メンバーが呼ぶ「琴美ちゃん」の存在

吉田知那美選手:
本当に琴美ちゃんがいるから多分、この場にしっかりと立っていられるなっていうところはあります。氷の上で戦ってる姿しかテレビには映ってないと思うんですけども、私たちには琴美ちゃんがテレビに映らない裏でやってくれてる事の大きさが多分チームの強さだと思うので、それはもうすでに世界一なんじゃないかなって思っています。

吉田知那美選手が「琴美ちゃん」と呼ぶのは、2020年からチームに加入した5人目のメンバー、リザーブの石崎琴美選手。アメリカ戦の前日の夜、めざまし8のカメラは石崎選手の姿を捉えていました。

堀池亮介リポーター:
日付がまもなく変わろうというこの時間帯ですが、あちらに日本の選手がいますね。ただ選手は1人しかいないようです。ストーンの様子を確かめるようにしながら、いま黙々と投げています。先ほどから同じような強さで投げていますね。何度も何度も繰り返しストーンを投げています。

深夜、試合会場でひとり黙々とストーンを投げる石崎選手。何をしているのでしょうか。

ソチ五輪代表メンバー「フォルティウス」所属 小野寺佳歩選手:
夜にナイトプラクティスっていう10分間ぐらいの練習があるんですけど、そのときにストーンチェックといって同じところの同じ早さで投げて癖のある石を探すというのを毎晩やるっていう役割があります。10分しかないのでなかなか難しいんですけど、石崎選手は完璧にこなしていると思います。

翌日の試合に向けて、ストーンの癖などをチェックするという重要な仕事です。
4年前、平昌オリンピックの時にはキャプテンの本橋麻里さんが担当しました。

まさに、チームを縁の下から支える重要な役割を担う石崎選手は、43歳。
他のメンバーより10歳以上年上です。オリンピックを2度経験しているトップ選手でした。その後、2013年には一線を退き平昌オリンピックの解説を務めるなど、リンクの外から世界の強豪国を見てきました。その経験を買われ、2020年ロコ・ソラーレが石崎選手をスカウト。

吉田知那美選手:
チームの精神的な土台として、ずっと真っ直ぐ立っていてくれてて、この人がいるから大丈夫って何回も何回も思ったから、本当に断られ続けても。

鈴木夕湖選手:
1000回告白して良かったよね。

吉田知那美選手:
1000回告白して良かった。

正念場の一戦を5人で乗り越えた日本チーム。17日、準決勝進出を懸けて予選リーグトップのスイスと対戦します。

(めざまし8  2月17日)