福岡県北九州市若松区の「こいずみ耳鼻咽喉科」。耳鼻科で診療をしながら発熱外来を設け、新型コロナウイルスのPCR検査も行う病院の1日を追った。

 
 
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院長の1日はPCR検査の結果報告から

午前7時45分。誰よりも早く病院に来ていたのは、小泉弘樹院長だ。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
検出せず、検出せず、えっと陽性…

まず確認したのは、この病院で新型コロナのPCR検査を受けた患者の検査結果。すぐさま患者に報告をする。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長(電話):
この前やったPCRの検査なんですけど、お母さんはね、やはりPCR陽性でした

PCR検査の結果を患者に報告
PCR検査の結果を患者に報告

発熱外来を設けPCR検査も行っているこの病院では、1月に入りすでに60人を超える検査を実施している。

午前8時。電話はまだ続く…。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長(電話):
もしもし、おはようございます。こいずみ耳鼻科の小泉ですけれども。大丈夫ですね、声、元気そうですね。良かったね。お熱もないですかね?

相手はコロナの陽性が判明し、自宅療養している患者。この日は7人の患者に対して病状などをフォローアップした。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
いかに保健所の方の負担を減らすかということが、今回の最大の目的かなと思っている

続々と増える患者 診察を中断しコロナ検査

午前9時。一般診療開始の時間。そこへ、一本の電話がかかってきた。

看護師(電話):
当院は風邪の症状がある方はですね、駐車場で待機してもらってるんですよ

風邪の症状を訴える新規の患者から連絡だ。

 
 

看護師:
咳と喉が痛くて検査をしてほしいということで

さらに検査を希望する人からの電話は鳴り止まない。

午前10時45分。診療を中断し、裏口に向かう。そして防護服を着用。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
こんにちは。(調子は)どうですか?

院長自ら車内にいる患者に対して、抗原検査とPCR検査の両方を実施した。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
(抗原検査は)今のところは陰性ですね

診療を中断し、防護服を着て対応する小泉院長
診療を中断し、防護服を着て対応する小泉院長

約15分で結果が出る抗原検査だが…。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
出てるね、出てましたね。15分経った時の結果。やっぱプラスやね

抗原検査で「陽性」が判明した。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
うっすらですけど、陽性に出てますよね。Tの上にですね

保健所に連絡を入れ、患者の情報をパソコンに入力するのも院長の仕事だ。

「軽症でもちゃんと診る」休憩時間も自宅療養者のもとへ

午後1時前。やっと午前の診療が終わったと思いきや、外出する小泉院長。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
今から往診に

――どんな患者?

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
土曜日にうちでコロナ陽性と分かったんですけど、咳が苦しいということで

患者の自宅で診療を行う「往診」。爆発的な感染で増える自宅療養者を診るため、休診時間までも使っている。

――昼食は?

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
基本的に昼ご飯は、ないですね…

――かなり忙しいですね。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
忙しい、忙しい…

患者が最優先。本来は休憩時間だが、患者を訪ねる。

北九州市では約50の医療機関が、小泉院長のように自宅療養者の自宅へ駆け付ける態勢を整えている。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
お口、アーッと開けて下さい。うん、きれいやね。良かった。安心、安心。酸素の点数も満点です。95以上あれば全然問題ないです。93を切るようだったら、僕にすぐ電話下さい

耳鼻科で診療をしながら往診もしてくれる院長に、患者からは感謝の言葉があふれる。

患者:
先生が家に来るとか…感謝しかない。先生みたいな人、会ったことないですよ

「困っている人を助けたい」一心で
「困っている人を助けたい」一心で

終わりの見えない戦いが続く日々。「困っている人を助けたい」という気持ちが、小泉院長を突き動かす。

こいずみ耳鼻咽喉科 小泉弘樹院長:
感染症の専門じゃないけど、そういうこと言ってられませんよね。必死で最近のコロナの文献とか読んで勉強して…全部できることをするということですね。うちに来た患者さんは、絶対ちゃんと診る、断らないと。患者さんを「家族」と思って、どんなに軽症の方でも家族と思って接しています

私たちの命と心が守られている背景には、こうした医師たちの知られざる努力があるのだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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