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まるでリーグ優勝を決めたかのような光景だった。試合終了を告げるブザーが鳴った瞬間、総立ちの観客から大きな拍手が沸き起こった。リーグワースト連敗記録を更新中の新潟アルビレックスBBは茨城ロボッツを接戦の末に79対76で破り、連敗を「26」で止めた。

最終第4クオーター、残り20秒だった。エースのロスコ・アレン(25)が逆転の3ポイントシュートを決めて78対76。土壇場で逆転に成功すると観客が勝利を祈る中、粘る茨城の攻撃を振り切った。

長らくファンを待たせた試合後の勝利監督インタビューで平岡富士貴ヘッドコーチ(47)は言葉に詰まった。「えー、あの、何カ月ぶりでしょうか。こういうコロナ禍でなかなか皆さんに勝ち試合をお見せできずに…」。3カ月分の思いが溢れ出た。指揮官は涙ぐみ、枯れた声でこう続けた。

今日は選手も諦めることなくファイトしてくれた。まだシーズンあるので、下を向いている場合ではない。これからも気持ちのこもったバスケットができるように頑張っていきたい

最後までもつれる大接戦を制して2021年10月9日の三遠ネオフェニックス戦以来となる約3カ月ぶりの勝利を手にした新潟。

「自分たちもこの勝利をずっと待っていた。また勝利をファンの皆さんと分かち合えるように頑張り続けたい。まずは明日もう1勝。外は雪でも会場に足を運んでほしい」とMVPのアレン。

「連敗の中で接戦の展開で落としてしまった試合も少なからずあった。今日の試合は絶対に負けないという気持ちで臨んだので、それがプレーに表れた」と司令塔の納見悠仁(24)。

長く苦しいトンネルをようやく抜け出したが、シーズンはまだ中盤。

大きな1勝をきっかけに、巻き返しへ。「気持ちのこもったバスケット」を見せていく。

新潟79-76茨城
(29日・アオーレ長岡・762人)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。