1月18日、皇居で、「歌会始の儀」が行われた。今年のお題は「窓」で、天皇皇后両陛下や皇族方が詠まれた和歌は以下の通り。宮内庁は、歌が詠まれた背景についてコメントを発表した(全文)。

天皇陛下

世界との往き来難(がた)かる世はつづき窓開く日を偏(ひとへ)に願ふ

(せかいとのいききがたかるよはつづきまどひらくひをひとえにねがう)

この記事の画像(28枚)

(背景)天皇陛下におかれましては、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大の収束を願うお気持ちを歌に詠まれました。昨年は、人々の願いと、人々がこの試練を乗り越えようとする努力が実を結び、感染症が収束していくことを願われるお気持ちをお詠みになりました。今年は、このコロナ禍が収束したその先に、今大きく落ち込んでいる世界との人々の往来が再び盛んになる日の訪れを願われるお気持ちをお詠みになりました。

皇后さま

新しき住まひとなれる吹上の窓から望む大樹のみどり

(あたらしきすまいとなれるふきあげのまどからのぞむたいじゅのみどり)

(背景)天皇ご一家には、昨年の九月、それまで長くお住まいになりました赤坂御所から、上皇ご夫妻が一昨年まで長年お住まいになりました吹上御所に御移居になりました。この御歌は、吹上御所に新たに御移居をされた皇后さまが、上皇ご夫妻への感謝のお気持ちを新たになさりながら、大きな木々の緑深い御所からの眺めをお詠みになったものです。

愛子さま

英国の学び舎に立つ時迎へ開かれそむる世界への窓

(えいこくのまなびやにたつときむかえひらかれそむるせかいへのまど)

愛子さまは、大学の試験期間中のため、歌会始の儀への出席を控えられた
イギリスから帰国された愛子さま(2018年8月 赤坂御所)

(背景)愛子さまには、学習院女子高等科二年生の夏休みに、イギリスの全察制の私立学校、イートン校の寮に泊まり、語学研修を中心に博物館や史跡などを訪問して総合的な文化体験学習をする「イートン·サマースクール」にご参加になりました。初めて外国の学校をご訪問になり、歴史の重みを感じさせる立派な建物を目の前にされた時、今、ここから世界が開かれようとしているというお心持ちになられました。約3週間にわたる英国でのご滞在への期待に心を弾ませるお気持ちをお詠みになったお歌です。

秋篠宮さま

窓越しに子ら駆け回る姿を見 心和みてくるを確かむ

(背景)COVID-19の感染拡大に伴い、多くの学校で分散登校や遠隔授業が行われていた時期がありました。また、部活動を思うように行うことができない時期も長く続きました。秋篠宮さまは、毎年講義を行われている大学の建物から見える学校の児童生徒が、校庭で元気に過ごしている姿を目にされ、そうした時期のことを思い起こされながら、一時の安心感を覚えられたそうです。

佳子さま

窓開くれば金木犀の風が入り甘き香りに心がはづむ

(背景)佳子さまが、秋のある日にお部屋の窓を開けると、金木犀の香りが風にのって漂ってきました。甘い香りにふれて嬉しいお気持ちになったことを歌にお詠みになりました。

華子さま

幼子は新幹線の窓に立ち振りむきもせず川ながめゐる

(背景)華子さまには、地方にお成りになった折に、乗車された新幹線で、小さな子供が窓際に手で掴まり、熱心に富士山の雄大な景色や川に集う鳥たちを眺めていた姿を思い出され、このお歌を詠まれました。

信子さま

成人を姫宮むかへ通学にかよふ車窓の姿まぶしむ

(背景)信子さまには、愛子さまを、ご幼少時より深い敬意と愛情を持って見守ってこられました。昨年、愛子さまにおかれましてはご成年を迎えられ、信子さまのお喜びは誠に大きいものであります。ご立派に成長された愛子さまには、これまでにも増して、より一層学問に邁進されておられます。 ご通学のため、お車にてお住まいの御所を颯爽と御発になる際の、お髪も綺麗に整われて健やかな愛子さまのご様子を車窓越しにご覧になった信子さまのご心境をお詠みになったお歌です。

彬子さま

蛍光灯映る窓辺に思ひだす大正帝の蛍雪の苦を

(背景)大正天皇の御製に、「修身習学在文園 新固宜知故亦温 勿忘古人蛍雪苦 映窓燈火郭西村」とお詠みになり、学習院の学生にお示しになった漢詩があります。彬子さまが研究室で仕事をされていた折、ふと窓の外をご覧になると、もうすっかり日が暮れていて、窓に蛍光灯が映っていたので、この御製を思い出されてお詠みになりました。

久子さま

車窓より眺むる能登の広き海よせくる波は雪降らしめつ

(背景)車の窓からご覧になった能登の海と雪が降っている寒々とした情景をお詠みになったお歌です。

承子さま

コロナ禍に換気もとめて閉ぢぬ窓エアコン眺めてしばし案ずる

(背景)コロナ禍で、窓は「開けるもの」から「開いているもの」に変わり、暑さや寒さを感じる度に、エアコンか環境保護か、と葛藤するお気持ちを詠まれたお歌です。

社会部
社会部
記事 602