苦しい状況にある芸人に活躍の場を

新型コロナの影響でお笑いライブが激減し、芸人たちが苦しい状況に置かれている。
そんな中、沖縄県内のテレビやラジオでバラエティ番組の構成や演出を手掛けている、放送作家のキャンヒロユキさんが、ネット上で芸人のネタや発想を販売するというユニークな事業をスタートさせる。
芸人の活躍の場を増やしたい・・・その根底にあるのは自身を悲しみの淵から救ってくれたお笑いへの感謝の想いだった。

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キャンヒロユキさん:
(東京で)修業をして、いわゆる中央のお笑いも知っているし、もちろん地域の沖縄のお笑いという、どちらも魅力があるし、それを伝えるというのが自分のライフワークと思っています

25年以上にわたり沖縄のエンタメ業界をけん引してきたキャンさん。しかし今、新型コロナの影響で業界全体が苦しい状況に置かれていると話す。

キャンヒロユキさん:
まず舞台の仕事とか営業の仕事が、芸人さんはほぼ無くなっている。本当に苦しいと思いますね、仕事の面でも

ハンサム 仲座健太さん:
僕らも色んな事を模索しながらやっているんですけど、厳しい状況もたくさんある

パーラナイサーラナイ 大田享さん:
とにかく何でもお仕事が欲しいというのが、ほとんどだと思う

芸人のネタや発想を商品として販売

そんな声に応えようとキャンさんが新たにスタートするのは、芸人のネタや発想を商品として販売するネット市場、「lolbox」だ。

キャンヒロユキさん:
やぎのシルーだと、シルーが描いた絵本の読み聞かせをしますよとか、ユタキャラの大兼のぞみが人生相談に乗りますよ、みたいなものとか

その他にも、知念だしんいちろうさん扮する謎のミュージシャンがとある模合メンバーのテーマソングを制作。

知念だしんいちろう扮する謎のミュージシャン
知念だしんいちろう扮する謎のミュージシャン

更にはこんな意外なネタにも需要が…

与座よしあきさん:
あなたの誕生日の数だけ、座薬をバウンドで入れるをやっていきたいと思います

キャンヒロユキさん:
芸人さんって本当にユニークなんですよ、考え方も含めて。「こんなの誰が買うの?あ、私だ」って思って欲しい

そしてキャンさんは、こんなシステムも開発した。

キャンヒロユキさん:
今(視聴者に)ウケているからボケを乗せるとかっていう判断が出来ないというところが、(オンライン配信の)大きな課題だったんですね。
視聴者がはっはっはと笑ったら、どれぐらい笑ったよ、60パーセント笑ったよと言うのを、カメラで撮影して数値化して、それと同じだけの笑い声を入れて臨場感を作る

このシステムが、デジタル技術を活用した新たなサービスを発掘するコンテストで最優秀賞を受賞。キャンさんの発想は、お笑いという垣根を越えて注目されている。

キャンヒロユキさん:
一つでも多く、笑いと笑顔を作るお手伝いをしたいなと思いますね

お笑い業界全体を元気づけたいと力を込めるキャンさん。その根底には、今も拭い去ることが出来ないほどの辛い経験があった。
2008年2月、高速道路で居眠り運転の車による追突事故が発生。この事故で、妹とその婚約者が巻き込まれ命を落とした。

キャンヒロユキさん:
(その日は)父の還暦のお祝いというのもあったし、その年に妹がやっと教員試験に受かって、今年から本採用として先生が出来る。出来すぎなぐらい幸せな日だったので、いやいやそんなお涙頂戴のことなんて創作でもやらないよという時で

これまで味わったことのない悲しみと喪失感・・・事情を知る芸人たちは、その話題に触れることはなかった。
しかし、ステージ上にはこれまで以上にライブを盛り上げようとする彼らの姿があった。

「お笑いに救われた」笑いが生まれるところに愛情も…

キャンヒロユキさん:
ライブを観ている時に思わず笑ってしまって、その時に「あぁ、とっても救われたな」と思った。まだまだ先に進めるなというか、人生進めるなって思った。
人を笑わせたり楽しませたり笑顔にすることで、その人が救われることって絶対あるし、その面白さを伝えるためにどうするかって考えるのが僕

こきざみインディアン さーねーさん:
キャンさんは芸人想いなので、とってもやりやすい環境を作ってくれるんですよ。お前いいんだよ、この調子でやっていけよみたいな、笑い声で後押ししてくれたりするので

こきざみインディアン もーりーさ
毎年お正月になったら、1枚1枚手書きでそれぞれにメッセージを添えたお年玉をくれるんですよ。今年の目標とか書いてくれて。一緒にいても、お笑いについて語ったら熱いです

ネットを使った新たなサービスの提供開始に向けて、芸人との打ち合わせも大詰めを迎えている。新事業の開始にあたって設立した会社「lol lol」には、笑いを通して多くの人に幸せを届けたいという想いが込められている。

キャンヒロユキさん:
Lots of laugh,lots of love(多くの笑いと、多くの愛)笑いが生まれるところには、絶対に愛情が生まれると思うし、僕が作るというよりも、芸人さんやエンタメの方とかが笑いと笑顔を作るお手伝いというか、応援団になりたい

芸人やエンタメ業界に携わる人々の生活の場が失われている今こそ、笑いを通して恩返しがしたいとキャンさんは話していた。

(沖縄テレビ)

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