独自のCMソングで有名だった「名古屋牛乳」

昭和の時代に、独自のメロディのCMソングで有名だった「名古屋牛乳」。長年、宅配や学校給食などで親しまれてきた名古屋牛乳が、実は“名古屋で作られていない”というウワサが…。調べてみると、現在は名古屋以外で製造されていることがわかった。

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名古屋の街で「名古屋牛乳」について聞いてみた。

女性A:
初めて聞きました

女性B:
知らないです

20~30代の若い世代は知らないとの回答。では50代以上は…。

女性C:
(飲んだことが)あります。給食で

男性A:
シャチのマークでちゃんと歌もある。「シャチのマークの…飲んでるの!」

女性D:
昔のコマーシャルで「名古屋牛乳飲んでるの」って

CMで記憶しているという人が大勢いた。中にはこんな意見も。

女性E:
今って売っていますか?気にしてないからか…。見たことないような気がする

販売はされているものの…元のメーカーは7年前に牛乳事業から撤退

そもそも名古屋牛乳はまだ販売されているのか?

牛乳販売店へ行くと、瓶タイプと紙パックタイプの2種類が現在も販売されていた。店主に「名古屋牛乳は名古屋で作られていない」という噂について聞いてみると…。

牛乳販売店の店主:
今はそうです。製造をやめたのが、だいぶ前になります…。残念ですけど

元々作っていた名古屋のメーカーが製造をやめてしまったとのこと。今は一体どこで製造されているのか?店主の娘さんから元の「名古屋牛乳」の本社が、今も名古屋市昭和区の御器所にあるとの情報をいただいた。

さっそく教えてもらった場所へ向かうと、地下鉄御器所駅のすぐ近くに「名古屋牛乳」と書かれた大きなビルが。このビルの中に「名古屋牛乳 株式会社」はあった。社長に真相を確認してみると…。

名古屋牛乳 平井武敏社長:
もう今は製造をやめました。昭和50年くらいからスーパーが登場してきて不採算。儲からないのが続いて…

「名古屋牛乳 株式会社」の歴史は古く、設立は昭和16年。宅配や学校給食を中心に長年、名古屋で大きなシェアを占めていた。

しかし、地域の牛乳が専門の販売店で売られる時代から、全国の商品がスーパーに集まる時代へと変化した昭和50年以降、飲まれる量が徐々に減少。採算の面などから平成26年に乳業事業から撤退した。

大阪で製造するも「名古屋牛乳愛」がすごく強くて…

では、現在販売されている名古屋牛乳は、一体どこで作っているのか?

名古屋牛乳 平井武敏社長:
大阪ですね。毎日牛乳さんの社長さんと親しかったのでお願いしたら、うちの販売店を全部引き受けてもらえて

現在は大阪で製造されている事が判明。実際に製造現場を見るために、大阪府和泉市にある「毎日牛乳」へ。工場を見せてもらうと、確かに名古屋牛乳が製造されていた。

現在、製造されている名古屋牛乳は、紙パックタイプと瓶タイプの2種類。発送先は名古屋方面で、販売所のほか病院などにも卸しているとのこと。しかし、なぜ大阪で製造しているのに名前が「名古屋牛乳」のままなのだろうか。

毎日牛乳の担当者:
受け継ぐ時に、当初は「毎日牛乳」を予定していたんですけど。名古屋では「名古屋牛乳愛」がすごく強いということで

担当者によると、最初は自社ブランドの「毎日牛乳」へ変更し販売する予定だったが、名古屋の人たちの名古屋牛乳への強い愛着を知り、パッケージも名前もそのままで受け継ぐ形になったという。

「名古屋牛乳は実は、名古屋で作られていない」という噂を調べてみると、現在は大阪で製造されているものの、名古屋牛乳に長年慣れ親しんだ名古屋の人たちのために、名前やパッケージはそのままで販売しているということが分かった。

ちなみに、牛乳事業を手放した「名古屋牛乳 株式会社」は、現在昭和42年に発売した「ローヤルトップ」という炭酸飲料1本で営業を続けている。

この商品は最近、月刊アクションに掲載されている「シキザクラ」というマンガに登場し、若者たちを中心に話題となっているそうだ。

(東海テレビ)

東海テレビ
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