1体1億円?かわいいぬいぐるみたち

独特な感性、世界観…そんな“子どもならでは”のアート心を感じるぬいぐるみが、話題になっている。

我が家のぬいぐるみ職人(7歳)が、また新しい作品をうみだしました。「今回は謎の生物にしたいんだ!」と謎感を追求しておりました。思い通りの謎のほっこり生物できたっぽいわ。

それが、Twitterユーザーのオカアヤン(@sabachikubi)さんが投稿した、7歳の娘さんが作ったというこちらのぬいぐるみ。

この記事の画像(16枚)

金色のふさふさな毛並みとくりっとした目がなんともかわいらしいが、その形は…ネコ?クマ?さらに顔の中心にあるのは、アヒルのようなオレンジ色のくちばしだ。

見方によってどんな動物にも見えそうなこのぬいぐるみの名前は、ずばり「謎の生物ちゃん」。名前の通り不思議な生物だが、ついつい触ってみたくなる魅力がある。

くわえたばこならぬ「くわえアメ」で作業する娘さん
くわえたばこならぬ「くわえアメ」で作業する娘さん

このぬいぐるみの写真が投稿されると「ものすごくかわいいいい!!!」「才能にあふれてる」「天才アーティスト」とコメントが続々。

同時に投稿された「謎の生物ちゃん」を縫っている最中の娘さんの写真も、真剣なまなざしと慎重な手つき、“くわえたばこ”のように棒付きのキャンディをくわえた姿に「まるでベテラン職人」「めちゃくちゃ職人の顔してる」と大人気になり、3万件を超える「いいね」がついた(12月10日現在)。

「謎の生物ちゃん」と娘さん
「謎の生物ちゃん」と娘さん

この「謎の生物ちゃん」は3番目の作品。

それまでに、ハロウィーンの日に連れて歩くために作ったという、ピンクや水色・紫といったカラフルな毛並みが特徴の「オバケのバケ子」と、初作品となる「ほっそりネコちゃん」を制作。

さらに投稿後も、「第二の謎ちゃん」「モフ族のモフモフ」「ネコなまず」と立て続けに完成させ、これまでに個性的なぬいぐるみたちを計6体作ったという。

「オバケのバケ子」
「オバケのバケ子」
「ネコなまず」
「ネコなまず」

どれも不思議でかわいい作品たちばかりだが、ネットショッピングサイト「BASE」に開設されている娘さんのぬいぐるみショップ「suunuus」を見てみると…なんと、ぬいぐるみたちは全て1体1億円

そしてなんと、「第二の謎ちゃん」が売れているではないか。

わずか7歳でオリジナリティあふれるぬいぐるみを作り始めた理由も知りたいが、この1体は本当に1億円で売れたのだろうか。

“ぬいぐるみ職人”のお母さんである、オカアヤンさんにお話を聞いてみた。

“ぬいぐるみ”ひとつひとつにストーリー

――娘さんはどんな子?

娘は難病を抱えていますがそんなことは全く感じさせないくらい明るく、人を笑わせるのが得意なユニークな女の子です。すきなたべものはキャンディーとスルメです。


――ぬいぐるみを作り始めたきっかけは?

私の友人に「せこなお」さんというぬいぐるみ作家さんがいまして、彼女が息子さんとぬいぐるみを作っていたのを見て、娘も作ってみたいと言うのでチャレンジさせてみました。

初めて作ったという「ほっそりネコちゃん」とその設計図
初めて作ったという「ほっそりネコちゃん」とその設計図

――以前からぬいぐるみ作りには興味があった?

小さい頃から絵を描くこと、お話を作ること、工作したりすることが好きで、ダンボールやトイレットペーパーの芯などを捨てると怒られます。毎日何かしら作り続けています。その延長でぬいぐるみという表現方法を見つけたという感じだと思います。


――お母さんから見て、娘さんの作品たちは…

娘らしい自由な作品だと思います。ぬいぐるみが出来上がると必ず抱きしめて命を吹き込んでいるらしく、それぞれに性格や物語、設定まであって我が子ながら愛情のある良いものを作るなぁと思っています。

「ほっそりネコちゃん」制作中の娘さん
「ほっそりネコちゃん」制作中の娘さん

ぬいぐるみ作家の作品に影響を受け、2021年10月に「ほっそりネコちゃん」を作ったことから始まった、娘さんのぬいぐるみ制作。

1体4~5時間ほどで作っているというぬいぐるみたちにはそれぞれ物語や設定が用意されていて、たとえばショップの「ほっそりネコちゃん」のページには

はじめて作ったぬいぐるみです。
白くてふわふわのネコの赤ちゃんだよ。
あまえんぼうです。
おめめはオッドアイでオシャレです。
しゅみはミルクをのむこととねんね。

おたんじょうび 2021年10月10日
お肉ジュージューの日っておぼえてね。

と、ストーリーが添えられており、ひとつひとつに愛情がたっぷり込められているのがよくわかる。

ちなみに、娘さんは「わたしはほっそりネコちゃんがお気に入りです。でも全部大好き!」とのこと。

お母さんのお気に入りは、もこもこの生地でできた「モフ族のモフモフ」だそうで、「どことなく夫に性格も体型も似ていて、無意識にパパっぽいのを作ったのかな?と思いました」と話してくれた。

「お父さんに似ている」らしい「モフ族のモフモフ」
「お父さんに似ている」らしい「モフ族のモフモフ」

“1億円の購入者”は入院するお友達

娘さんはぬいぐるみの材料費を稼ぐために「自分のブランドを立ち上げたい、お店みたいにしてほしい」とショップを立ち上げたものの「ぬいぐるみたちと離れたくなくなった」ということで、「プライスレスという感じで1億円にした」そうだ。

そうなると気になるのは唯一“売り切れ”になっている「第二の謎ちゃん」。
一体誰が手にしたのかというと…実は、病気と闘っている、娘さんのお友達。

「第二の謎ちゃん」は入院する友達に「元気にする魔法」をかけるために、プレゼントしたのだという。

病気が良くならずまた長い入院になってしまうお友達のところに元気にする魔法を使うため、第二の謎が送り込まれました。頑張ってこいと喝をいれられ、道中食べるおやつも持たされてます。sold outになってますがけして大富豪に買っていただいたわけではありません。ご安心ください。

きれいにラッピングされてお友達のところへ「送り込まれた」ぬいぐるみ
きれいにラッピングされてお友達のところへ「送り込まれた」ぬいぐるみ

無事お友達のもとに到着した「第二の謎ちゃん」は「抱っこしてもらって転院先の病院に連れて行ってもらったようです。すっかり仲良しでご飯も一緒に食べているとのこと」との後日談も。

自身も難病を抱えているという娘さんの「元気にする魔法」は、しっかりとぬいぐるみを通して伝わっているようだ。

ぬいぐるみに「命を吹き込む」だっこ
ぬいぐるみに「命を吹き込む」だっこ

――もし、1億円で買いたい!という人が現れたら?

本人は欲しい人がいたら作る!と言ってますが、出来上がった子と本当に離れられるのかはわからないですね。もし、大富豪に1億円で売れてしまったら、それはもう娘本人が直々に手渡しに行きます!


――ぬいぐるみたちには大きな反響がありましたが…

娘の表現や純粋な気持ちを温かい目でみてくださる方々が多く感謝の気持ちでいっぱいです。

ぬいぐるみたちに囲まれる“ぬいぐるみ職人”
ぬいぐるみたちに囲まれる“ぬいぐるみ職人”

その不思議なビジュアルに惹きつけられる、手作りぬいぐるみ。

ぬいぐるみが大好き!という気持ちだけでなく、友達に元気になってほしい。そんな優しい気持ちもたっぷり編み込まれた、特別な作品たちだった。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。