コロナ禍で苦しむ観光業界に新たな動きが。観光庁が行う、県をまたいだ移動制限を緩和する実証実験の一環で、ワクチン接種や陰性証明を条件とする北海道ツアーが行われた。

ワクチン接種や陰性証明を条件に…北海道ツアーが始動

10月17日の北海道の空の玄関口、新千歳空港。久しぶりに団体ツアーの旗を持つ添乗員の姿が見られた。

ツアーの添乗員:
証明書を確認します

この記事の画像(18枚)

添乗員が確認したのは、ツアー参加者のワクチン接種証明書。参加者の検温も行う。

ツアーの添乗員:
平熱です

全国各地の空港を出発して北海道内の観光地を巡るこのツアーは、観光庁が行う県をまたいだ移動制限を緩和する実証実験「ワクチン・検査パッケージ」のひとつだ。

参加者は2回のワクチン接種を終えているか、直前のPCR検査で陰性が確認された人に限られる。

四国の愛媛県からの参加者は…

愛媛県からの参加者:
旅行は久しぶり。1年ぶりだから。安心な点は、いろいろ対策がきちんとしているところ

バスの中でも「徹底した感染対策」

参加したのは31人。札幌市南区の定山渓温泉や小樽市、ニセコエリアなどを2泊3日で回る。

ツアーの添乗員:
バスの中では会話は控えめに。マスクの着用も。水など以外の飲食はできません

最初に訪れたのは由仁町の庭園「ゆにガーデン」。肌寒い気温で、時折雨が降るあいにくの天気だったが散策を楽しんだ。

その間にも、バスでは消毒をしたり窓を開けて換気をしたり、感染防止対策を徹底する。

読売旅行・貞広貴志副社長:
万が一にも、旅の途中で感染事例が出ないように万全を期している。考えられる全ての措置をとって、リスクの最小化に全力を尽くす

初日の宿泊は定山渓温泉。夕食のビュッフェではビニール手袋の着用が義務付けられている。

ビュッフェは手袋着用…手間より「満足感」の声も

兵庫県からの参加者:
感染対策は気をつけなければならない。別に不自由ではないし、旅行に来られることがうれしい

ツアーを受け入れたホテルでは、今回の実証実験に大きな期待を寄せている。

ホテル鹿の湯・武永俊晃副支配人:
今後は、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言に左右されず客が来る環境になれば

ツアー2日目の最初の目的地は小樽市。街には修学旅行の子どもたちの姿も見られ、徐々に以前のにぎわいを取り戻してきた。

1時間半の自由時間で、高知県からの参加者は…

高知県からの参加者:
孫に小さいオルゴールを買った。今はコロナのことを忘れていた

期待が高まる観光地

政府はGoToトラベル再開に向けて、実証実験の結果を活用する考えだ。土産物店では期待が高まる。

サンウロコ鱗商会・柏崎慎太郎さん:
GoToトラベルが再開すると、どのくらい変わるのか期待している。

今回のツアーを企画した旅行会社も手ごたえを感じている。

読売旅行・貞広貴志副社長:
感染が収まってきて、ワクチンも広がってきたので、ウィズコロナの時代にどのような旅ならできるのか、新しい旅の形を探るきっかけにしていきたい

ツアーはこの後、積丹半島を巡りニセコエリアに宿泊。最終日は洞爺湖を経由して新千歳空港へ向かった。
同様の実証実験は個人向け旅行でも始まっている。

緊急事態宣言が解除され、急激に感染者が減少したいま、「安心」して全国を旅行できるためにどんな対策が必要なのか。
年末年始の次の旅行シーズンを前に、検討が進む。

(北海道文化放送)

北海道文化放送
北海道文化放送

北海道の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。