今シーズンのフィギュアスケート全日本ノービス選手権が、10月23日から24日にかけて行われた。

ノービスA女子では島田麻央が120点超えで浅田真央以来となる連覇。ノービスA男子では中田璃士が、羽生結弦、宇野昌磨ら4人しか成し得ていない100点超えの優勝で、こちらも連覇を果たした。

未来の日本フィギュア界を背負う、11〜13歳が参加するノービスAクラスと、9〜11歳が参加するBクラス、それぞれの上位選手の演技を振り返っていく。

【ノービスA女子】

上位5位までが全日本ジュニアに推薦されたノービスA女子クラス。

島田麻央
島田麻央
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貫禄の連覇を達成したのは島田麻央だ。名前の由来でもある浅田真央以来の連覇に、「憧れの選手でもあるので、同じところに立てて嬉しい」と笑顔を見せた。

冒頭の4回転トゥループを成功させ、GOE(出来栄え点)で過去最高の2.66点を加点させると、3回転ルッツ+3回転トゥループ、2回転アクセル+3回転トゥループ+2回転トゥループなどの高難度のコンビネーションも鮮やかに決め、すべての要素でGOEがプラス評価となった。
本人が課題としていたフリップもミスなく跳べることが増え、圧巻の演技を見せた。

自己ベストを出した近畿選手権での120.83点にはわずかながら及ばなかったものの、120.03点と大会の歴代最高スコアで、最後の全日本ノービスを締めくくった。

今後は「4回転2本にも、これからどこかで挑戦したい」と話した島田は、昨年3位表彰台に登った全日本ジュニア選手権(シード権)に挑む。

和田薫子
和田薫子

同じく全日本ジュニアの推薦枠を勝ち取った2位・和田薫子。スピード感のある演技を見せ、全日本ノービスで初の表彰台となった。

「目標がノーミスの完璧な演技で100点超えだったので、少し悔しい。でも、大きなミスなく終えられたのは良かった」

そう話した和田の演技は、3つのジャンプがやや回転不足と採点されたが、勢いとジャンプの幅に見応えがあり、「もっと質の良いジャンプを跳びたい。あと、スピンは自分の得意なところなので、もっとキレイなポジションで速く回れるように」と練習を誓った。

1 島田 麻央(木下アカデミー)120.03
2 和田 薫子(グランプリ東海クラブ)98.16
3 村上 遥奈(木下アカデミー )85.85
4 山田 恵(パピオフィギュアクラブ)84.51
5 上薗 恋奈(グランプリ東海クラブ)84.27

【ノービスA男子】

ノービスA男子は、上位4名が全日本ジュニアへの推薦を掴んだ。

中田璃士
中田璃士

点数の差以上の圧倒的な力を見せて、大会連覇を果たした中田璃士。島田麻央同様ノービスBから数えると3連覇となった。

中田璃士
中田璃士

冒頭の3回転ルッツは手をついてしまったが、続く3回転フリップは高さのあるジャンプを見せる。表現の面でもテンポの速い曲に滑り負けることなく力強く踊りきり、演技構成点でも唯一5点台を揃えた。演技後半の3連続ジャンプの最後が2回転となるも、100点超えを達成し優勝を果たした。

全日本ノービス男子の100点超えでの“優勝”は、2017年の三浦佳生(108.39)以来4年ぶりで、羽生結弦(103.87)、宇野昌磨(101.33)、佐藤駿(103.21)に並び、5人目となった。

演技途中でまさかの音源トラブルに見舞われた西野太翔。
3本目の3回転フリップが決まったところで一旦演技が中断となったものの、アクシデントを感じさせない演技で2位につけた。

西野太翔
西野太翔

目標だった90点後半の高得点をマークし、ノービスBから3年連続の表彰台を果たした西野は、ノービスA一年目ながら全日本ジュニアの推薦を勝ち取った。

1 中田 璃士(西武東伏見FSC)102.06
2 西野 太翔(神奈川FSC)99.97
3 高橋 星名(京都宇治FSC)99.03
4 芳岡 優希(木下アカデミー)85.26

【ノービスB女子】

大竹沙歩
大竹沙歩

優勝した大竹沙歩の振り付けは、元フィギュアスケート選手で振付師として活躍する鈴木明子氏。

「鈴木明子さんの振り付けの演技をやりきることができて、とても気持ちがよかったです」

3本目に組み込んだ3回転トゥループが3連続にすることができず、残りのジャンプ構成を変更。

ラストの2回転アクセルからの3連続ジャンプは、「2回転トゥループが3本になってしまう!」とギリギリのところで2回転ループにしたという。

ジャンプもさることながら、「踊るのが好き。動きの中でジャンプとスピンをいかにきれいに入れるか」とスケートの楽しさを語った大竹。

今後の目標としては、ノービスAの間に「4回転トゥループか4回転ルッツ、3回転アクセルを跳びたい!あと早いうちに3回転+3回転ができるように!」と、プログラムに合わせた黒鳥のぬいぐるみを大事に抱きしめながら答えた。

1 大竹 沙歩(MFアカデミー)74.32
2 川勝 玲奈(京都宇治FSC)68.09
3 河野 莉々愛(岡山SC)67.44
4 金沢 純禾(木下アカデミー)67.38
5 山中 陽菜乃(江戸川クラブ)65.45
6 鈴木 華乃(木下アカデミー)64.51

【ノービスB男子】

岡崎隼士
岡崎隼士

前年ノービスBで2位表彰台に立った岡崎隼士。「去年の自分を越えたい!」と挑んだ今大会。

緊張のせいか、直前の練習などで3回転ジャンプがほぼ決まらない状況だったが、実際の演技に入ると、回転不足はあるもののジャンプは全て着氷。

「今自分ができることは全てできた」と渾身のガッツポーズをしてみせた岡崎は、本番で強さを見せつけた。

1 岡崎 隼士(倉敷FSC)75.33
2 竹中 慎(アテナ豊橋FSC)63.93
3 吉野 咲太朗(西武東伏見FSC)63.39
4 松本 悠輝(帯広FSC)57.95
5 山本 航成(西武東伏見FSC)56.21
6 渡邉 柊吾(新潟FCKZ)55.47

【アイスダンス】

吉田・小河原ペア
吉田・小河原ペア

結成4シーズン目となった吉田菫&小河原泉颯組。コミカルな表現と、他を圧倒するスケーティングで初優勝を果たした。

2人ともシングルに出場していて、特に吉田はシングルの演技後20分後にはアイスダンスの直前練習、その20分後には演技本番というハードスケジュールだったものの、見事な演技を見せた。重点的に取り組んだというツイズルで、GOEが1.21加点される高評価を獲得した2人は、将来リード姉弟(バンクーバー五輪・ソチ五輪に日本代表として出場)のようなダンサーを目指したいと話した。

アイスダンス表彰式
アイスダンス表彰式

1 吉田  菫・小河原 泉颯(倉敷FSC)47.55
2 松崎 羽琉  ・本村 明希(明治神宮外苑FSC)41.07
3 中島 未英・廣瀬 健一郎(明治神宮外苑FSC)32.16
4 中西 希亜良・米田 嘉一(明治神宮外苑FSC)25.59

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班