2021年9月30日をもって緊急事態宣言は解除された。沖縄テレビが2020年から取材をしている沖縄そばの店は、新型コロナウイルスの度重なる流行に苦しみながら店を守るため懸命な努力を続けていた。

地元客や観光客に愛される沖縄そば店

那覇市金城にある「うるかそば」。緊急事態宣言が明けて徐々に客足も戻ってきた。

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うるかそば 饒平名一代表:
本当に気持ち程度だと思いますけども、今だと6割ちょっと戻ってるかな

創業25年、地元客をはじめ那覇空港に近いことから観光客にも愛されてきたこの店は、忙しい時は130席ある店内が満席になるほど賑わっていたという。しかし、2020年の新型コロナの感染拡大以降はその賑わいを失った。

うるかそば 饒平名一代表:
仕入れも少なくなっています。でも準備はしないといけないので…。そばはそんなに日持ちするものでもないので、そのあたりは今は読めないので大変です

沖縄テレビが2020年5月に取材した際にも、当時の代表で創業者、一さんの父親でもある饒平名長廣さんが先の見えない不安を口にしていた。

うるかそば 饒平名長廣代表(当時):
いつもならそばを1日に120~130袋とってるけど、今は30~40袋しかないですよ。こういうのが続いたら倒産寸前なんだよ

2020年5月

このとき店の売り上げは8割減少し臨時休業も余儀なくされるなど、どうしようもない状況に頭を抱えていた。

うるかそば 饒平名長廣代表(当時):
考えても考えても自分が年も年だし、倒れそうで。先が見えないんですよね

創業者の長廣さんが新型コロナにより他界

そう語っていた矢先、感染が爆発的に拡大した2021年8月のことだった。

うるかそば 饒平名一代表:
父は、コロナにかかって急きょ亡くなりました

長廣さんは高血圧の基礎疾患があり、保健所からホテル療養を勧められていたが、症状は軽かったため自宅での療養を望んだ。

うるかそば 饒平名一代表:
1回ワクチンを打っていたので軽症だったんですけど、持病があるのをわかっていたので、保健所とか県にお願いして、病院に入れてくれないかという話は何度かやったんですけ。どうしてもいっぱいだと、空きが出たらっていう話だったんですけれども、その前に急変してしまって。こんな形で亡くなるのは本当に残念です

「店を無くしてはならない」従業員とともに再出発

悲しみも束の間、急きょ店を継ぐことになった長男の一さん。前を向くことができたのは従業員の支えがあったからだ。

うるかそば 饒平名一代表:
亡くなってからミーティングも何度かやりましたけれども、みなさん前を向いて、親父の思いのこもった店ですので、みんなで一生懸命やっていこうっていう話をしましたので、僕もすごい心強いです

うるかそばスタッフ 与座さん:
長廣さんはとにかく優しい方でユーモアもある方だったので、すごく残念ではあるんですけれども、残してくれた場所なので大切にしていきたい

店を訪れた客が、沖縄そばをすすって笑顔になるのが何よりの喜びだったという長廣さん。新型コロナウイルスを理由に長廣さんの大切にしてきた店を無くしてはならないと、スタッフ一丸、再出発する決意を新たにした。

お客さん: 
開店くらいからしょっちゅう来てますよ。美味しい!美味しくなかったら来ないよ。美味しいから来るんだ

家族連れの父親:
今まで来づらかったので、きょうは来てもいいかなと思って、久々に。ぜひ残っていってほしいですね

うるかそば 饒平名一代表:
僕らは一生懸命作って、前のように家族連れ、お年寄りの方、いっぱい来ていただいて。美味しかったって食べてもらうことが一番の望みですね

長廣さんはとても気さくな人で、お客さんとのお喋りが大好きで多くの人から愛されていた。新型コロナウイルスで亡くなったこともあり、葬式は家族だけで執り行われ、お別れが言えなかった人が店に訪れるそうだ。

今は従業員の勤務時間を減らすなどシフトを調整しながらやりくりして、また店に賑わいが戻ってくるのを目標に努力を続けてる。

(沖縄テレビ)