「きょうはやや、やさしめの源流を選びました!」
自撮り用のカメラに、後藤正悦さんと陽子さん夫妻が語り始めた。

ここは、富山県のとある川。これから2人は魚を求め、上流を目指す。後藤さん夫妻は、釣行と釣った魚を川で味わう様子を動画サイトに投稿している。その名も「源流居酒屋」だ。

撮影は交互に 山での2人はとても楽しそう

腰まで水につかり、大きな岩場を越える。ここぞという場所で陽子さんが毛ばりを送り込むと、さっそく魚の反応がある。
竿がゆるやかに曲がると、正悦さんはカメラで様子を追う。
手元に寄ってきたのは、イワナだった。

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陽子さん:
きれい。こういう出会いがあるからいい。楽しい

続いて正悦さんが釣竿を握ると、再び反応がある。
釣れたのは、体長30cmになろうかというイワナだったが、少しやせている。
正悦さんが「スリムはうらやましいです」と言うと、カメラを構えた陽子さんは「たいしょー(正悦さんのあだ名)が嫉妬する細さ」と笑った。

日が傾き、いよいよ「源流居酒屋」の開店だ。
タープを張り、「のれん」もちゃんと映りこむ位置に吊す。

調理は正悦さんの担当。
イワナを器用にさばいてゆく様子を、陽子さんが撮影していく。

山の中で2人は本当に楽しげだ。

2021年、南砺市に移住「仕事少なく不安だが、心は豊か」

後藤さん夫婦は、2021年に東京から富山・南砺市に移住し、築150年の古民家を購入した。

後藤正悦さん:
この景色がすごく気に入って。山や川があって自然があって、僕らにとってはもう本当に最高の景色です

医療機器の会社に25年勤務。部長として責任ある仕事をしていたが、南砺市の林業関係の会社に転職した。山での生活は憧れだったと話す。

後藤正悦さん:
実際 仕事も少ないですし、不安はありますし、今もまだ不安を持ってますけども、それにも代えがたいものが周りにはあるので。貧乏でも、心は豊かということで、すごく今は気持ちが穏やかに生活できてます

妻の陽子さんは、移住後もフリーのデザイナーとして活動し、「源流居酒屋」の編集もこなす。

釣り好きが高じて動画を撮影し、さらに移住まで決めた2人だが、自然の中に踏み入ってゆく魅力をこう感じているという。

陽子さん:
ただ釣りをするだけじゃなくて、生きるのに必要な荷物を背負って、人が全然いないところまで行って何日か暮らしてると、結構生きることに一生懸命になってくるというか、その生きてる実感みたいなのをすごく得られる感じがするんですね。それが動画で伝わるといいなと思っているんですけど

人が訪問できる「源流居酒屋」を準備中

日が暮れ、川は暗闇に包まれた。
焚き火を囲んで夫婦は乾杯し、さっそく正悦さんの料理を味わう。もちろん、固定したカメラは撮影中だ。

まずはイワナの刺身。しょうゆは鰹節と昆布を入れた特製だ。
一切れ口に入れた陽子さんは「おいしい!」と歓声を上げる。

メインディッシュはイワナの天ぷら。玉ねぎをたっぷり入れた甘酢で味わうという。

後藤正悦さん:
いい感じじゃん。責任もって味見するけど、周りの玉ねぎをたっぷり絡めて…

味見をする正悦さん。

後藤正悦さん:
…大失敗です。僕が全部食べます(笑)

そう言って料理を独り占めしようとするのが、正悦さんのお決まりだ。

2人は今、購入した古民家の一角に居酒屋を作ろうと準備を進めている。
源流までは行けない人も訪れることができる「源流居酒屋」だ。

後藤正悦さん:
このへんはすごく自然が豊かなので、近場でみんなで釣りを楽しんで。古民家に戻って来て、またわたしが料理を振る舞って、みんなで楽しくできればなと思っています

(富山テレビ)