立ちはだかる川崎のビッグラインナップ

東地区2位の千葉ジェッツと3位の川崎ブレイブサンダースの直接対決の第2戦は前夜と同じくどちらに転ぶか分からない大接戦となったが、千葉は73-80と及ばず、悔しい連敗を喫した。

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千葉の大野篤史ヘッドコーチ(43)は「第3Qの出足で停滞してしまったところが痛かった。ビッグラインナップに対して自分達の方がアクティブに戦わなければいけないところを、相手のペースに合わせてしまい攻めきれなかった。自分たちのペースを強調していかなければ、高さのあるチームに対して勝つことは難しい」と川崎の高さに対して、自分たちの強みである速さを発揮できなかったことを敗因を挙げた。   

対して川崎の佐藤賢次ヘッドコーチ(41)は「後半のビッグラインナップのディフェンスが素晴らしかった」と勝因を挙げた。

両ヘッドコーチが挙げる『ビッグラインナップ』とは高さ重視の戦い方で、207センチのニック・ファジーカス(35)、208センチのジョーダン・ヒース(29)、205センチのパブロ・アギラール(32)を擁する川崎の強みとなっている。

©KAWASAKI BRAVE THUNDERS
©KAWASAKI BRAVE THUNDERS

「3Qの出足で停滞してしまった」

44-38と千葉がリードで後半第3クォーターに入った時だった。大野HCが「第3Qの出足で停滞してしまったところが痛かった」と振り返るように、2メートル越えを3人揃えた川崎に開始から5分間無得点に封じ込められる。

対する川崎はヒース、アギラール、ファジーカスのビッグラインナップがゴール下を制圧して、リードを10点台に乗せた。

「下を向かず、切り替えていこう」

ここでタイムアウトを取った千葉は、キャプテンの富樫勇樹(27)が大きな声で檄を飛ばす。
下を向かず、切り替えて1プレー、1プレーやっていこう!」と。
その直後だった。富樫が3Pシュートを決めると、さらにジョシュ・ダンカン(34)の連続得点で55-58と3点差まで詰めて最終クォーターへ。

最終クォーター、諦めない千葉は167センチの富樫を起点に、川崎の高さに対してスピードを活かした攻勢を仕掛ける。残り5分をきったところで富樫の3Pシュートで追いつくと、残り3分45秒にはギャビン・エドワーズ(33)のフリースローで逆転に成功する。

しかし、ビッグラインナップが千葉の前に立ちはだかる。ここ一番で川崎は再びゴール下の優位を生かしヒース、ファジーカスが連続得点。さらにアギラールが3Pシュートを沈め残り1分51秒で5点のリードを奪う。

千葉もじりじりと点差を縮め残り残り22秒、73-78で千葉ボール。富樫のオフェンスで逆転に向かう千葉の望みを、川崎アギラールにスティールで断ち切られ、80-73でタイムアップ。連敗を喫した。

地区優勝は逃すもCS上位進出へ前向き

千葉が敗れたことで、優勝マジックを1としていてこの日試合がない宇都宮ブレックスの地区優勝が決まったが、決して好調と言えないチーム状況の中で川崎と五分の戦いを繰り広げたことで、負けても存在感を示した。

キャプテンの富樫も「期間が空いてから3連敗と厳しい状況だが、これからチャンピオンシップまで試合を積み重ねる中でチームとして高いレベルに持っていかなければと思う。ボールを持って自分から仕掛ける選手が多くないので、チームとしてボールを回していくことを修正していきたい。まだ9試合あると前向きに捉え、チャンピオンシップに向けてしっかり準備をしていきたい」と前を向いた。

川崎ブレイブサンダース 80-73 千葉ジェッツ
(川崎市とどろきアリーナ)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。