菅義偉首相は4月1日、子どもに関する政策を一元的に担当する「こども庁」の創設に向け、自民党の二階幹事長に、総裁が直轄する党内機関を設置するなど、詳細設計を進める体制を整えるよう指示した。さらに菅首相は「こども庁」に、専任大臣を置くことにも意欲を示している。

唐突感もある「こども庁」の設置の狙いとは何か。
フジテレビ系「日曜報道THE PRIME」に出演した、菅首相は「こども庁」設置の狙いについてこう語った。

菅首相「社会保障も含めてそうですけど、今までどうしても高齢者が中心だった。例えば、社会保障費の7割が高齢者の給付でしたから、ここはやはり思い切って変えなきゃダメだというふうに思っていました。そういう中で、やはり子どもは国の宝ですから、ここにもっと力を入れるべき。消費税(を10%に)引き上げた時に安倍前総理が2兆円を子ども・若者にお金を使わせてもらうという、幼児教育の無償化とか、所得の低い家庭の子どもの大学授業料は免除するとか、そうしたことを取り組んできたのですが、さらに子どもを産み育て、学ぶ、そういうところの中で、光を当てることのような政策をきちんとやっていきたい」

高齢者から子育て世代へ...話は安倍前政権に遡る。

7年8カ月にわたる安倍前政権の経済施策を見直すと、成長戦略の要である「日本再興戦略」や、成長と分配の好循環を打ち出した「一億総活躍社会」の実現、ワークライフバランスの実現を目指した「働き方改革」など、その根底には「高齢者世代から、子育て世代への所得再配分の見直し」があった。

前政権の番頭だった菅首相は、「こども庁」設置を通じて、この方針を加速させたい考えの様だ。菅首相は番組でこう続けた。

菅首相「私、不妊治療を公約に上げて、実は、今年の1月にさかのぼって不妊治療の支援をしているのですが、現場の医師が『(治療件数が)かなり増えてきた』と言ってくれているのです。所得制限を無しにして、支援額を大幅に拡充しました。そして増えてきているということですから、こうしたことを着実にやっていく」
菅首相「虐待も、絶対起こらないようにするのが私どもの仕事で、政治、大人の責任だと思いますが、しかし、残念ながら、役所が全部、縦割りだった。警察とか…そういうところも含めて、やはり子どものことについてはここで全てできるように」

出生率の向上や、虐待や貧困解消、子育て世代への支援、など、重要施策の大がかりな見直しを「こども庁」の設置を通じて実現したい、との菅首相の意欲が伺える。

「こども庁」詳細設計の行方を見守りたい。

日曜報道THE PRIME
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