半年前の発足時には高い支持を得て船出した菅政権だったが、新型コロナウイルス対策で感染抑止か経済回復かという難しい選択に翻弄されてきた。

総務省接待問題に端を発した政官民のあり方をめぐり政権の信頼が大きく揺らぎ、衆院議員の任期が10月と迫る中、菅総理は日本の舵をどう取るべきか。今回の放送では橋下徹氏と三浦瑠麗氏を迎え議論した。

橋下氏「尖閣の主権侵害の場合は自衛権発動ぐらいの意思を」

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新美有加キャスター:
まず南シナ海における動きについて。フィリピン政府は南シナ海の排他的経済水域に3月上旬からおよそ200を超える中国漁船が集結したと発表。国防相は「軍事拠点化という明確な挑発行為。侵略をやめ海洋主権を侵害している船舶を直ちに撤退させるよう中国に求める」と声明。どのようにご覧になりますか。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
尖閣諸島付近で同じことが起きたときにしっかり守れるのか。注目すべきは中国の手段。つまり集結した漁船に乗っている人たちは漁業従事者や海運業者だが、中国共産党の非常に下部にいる人たち。政府と無関係の日本の漁民と異なり、政府の号令一下、自分たちのナショナリズムとや生産手段を守るため過激な行動をしてしまう。日本人の常識を超えた手段でくる可能性がある。

反町理キャスター:
日米が2プラス2で中国批判のコメントを出した。似た発言は米中の会談でもあった。フィリピンがこのタイミングで発表したのは、それらを受けてのことでは。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
間違えてはいけないのは、フィリピンのドゥテルテ大統領含め、みんな最終的に中国には逆らえないという自己認識がある。やはり彼らは中国とバランスする存在を求めている。日本ないしアメリカがそうなれるのかがまさに問われている。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
中国の国力は明らかに日本より上。尖閣諸島は本当に危ない。やっと先日、武器の使用について海上保安庁が危害射撃をできると政府が見解を示したが、主権侵害の場合は自衛権を発動するぐらいの意思を示してほしい。意思と能力の掛け算。行動で示してほしい。

橋下氏・三浦氏「グローバルダイニング社の訴訟を応援したい」

新美有加キャスター:
先週東京都が、時短要請に応じない飲食店に対し初の命令に踏み切ったことについて波紋が広がっています。命令という強い形に踏み切ったことについての評価は。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
小池都知事は世論の風を敏感に感じ取り乗っていく大天才だと思います。僕なんか足元にも及ばない。

反町理キャスター:
それ褒めているんですか?

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
褒めているんですよ。民主国家の政治家には絶対必要な能力。支持を獲得して得た権力を適切に行使して欲しい。しかし今回は権力の乱用。政治への文句を押さえつけるための命令はロシアのプーチン大統領と同じやり方。

グローバルダイニング社が要請に応じなかったのは正当。命令の必要はない。特措法の改正の柱だった、一番難しい支援金のところを政治家がごまかしてきた。グローバルダイニング社は提訴したが、政治にできないなら裁判でという意味で、この訴訟は頑張ってもらいたいな。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
この訴訟は応援しています。やはり私は憲法13条の自由と幸福追求権の話をしたい。それを阻害するにはよっぽどの理由が必要。それは公共の福祉に反すること、他者の人権を抑圧する自由の追求はダメということ。
宣言終了間際の4日間にちょっと抑制したいというのは理由にはならない。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
食中毒の場合と同じ、憲法29条2項に基づく内在的制約だという議論があることに驚いた。グローバルダイニング社がちゃんと対策していたのなら、明らかに特別な犠牲として補償の対象なのに。

菅政権、内閣法制局、それから普段は集団的自衛権や安保法制に対して違憲だと騒いでいる憲法学者たちが、この問題は内在的制約だから憲法上の自由の侵害にならないと言っている。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
ひどいよね。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
昨年の3月から、法に基づかない要請が当然になってしまった。1年も経っている。営業を止めるならきちんと法的な根拠に基づかないと。法治国家じゃないですよ。北朝鮮と変わらないです。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
パフォーマンスをする方、実演者の方にアンケートをとったところ、3分の1が自死を考えたという結果がありました。緊急事態宣言その他諸々のお願いで、ものすごい人々の人権を本質的に害している。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
だがコロナ対策は公共の福祉。財産権の侵害と精神的な自由を分けなければ。営業の自由は財産権だから、正当な補償があれば公共の福祉により制限できる。その枠組みで進んでいる。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
突如そうなったが、私は全世界的に間違っていると思う。あまりにも違うゲームが展開されすぎている。橋下さんは現実主義だが、私はこの議論を貫きたいなと。それを言う人が日本国内に一人もいなくなってしまえばおしまいだと思っている。

菅・小池の”せめぎ合い”について

新美有加キャスター:
菅政権と絡めたお話。今回緊急事態宣言をめぐり、菅首相と小池都知事の間で2度ほど意見の食い違いがありました。緊急事態宣言の再発令をめぐり12月に。続いて宣言の再延長をめぐり2月に。このせめぎ合いをどうご覧に。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
こんな争いはやめてコロナ対策にちゃんと真摯に向き合ってほしい、というのがたぶん模範解答なんでしょう。でも政治は意思を示すことが大事。意思と気迫。

反町理キャスター:
プラスになってます? 不毛な争いのように見えても、それが最終的には日本のためになると?

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
僕は政治はエネルギーだと思っている。やられたらやり返すという政治家の気迫とエネルギーが、強大な国家組織を動かし役人組織を動かしていくエネルギーになる。

反町理キャスター、橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長、国際政治学者 三浦瑠璃氏

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
民主党政権下で作られた理想、つまり地方分権において、知事が責任を持つ新型コロナウイルス対策のような感染症対策の欠陥が明らかになった。甲乙はあるが、知事たちの振る舞いを見ていると限界があるなと。

反町理キャスター:
それは、新型コロナが地方自治体の能力の低さを露呈したと。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
そうです。総理大臣は議会によって選ばれた人だが、首長は直接選挙に対峙しているということもある。あと、先ほど小池さんの政治手腕を橋下さんが褒めていらしたけど。

反町理キャスター:
褒めてたのかな、あれは。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
人気をひきつけ権力を集中するのはうまいが、それを何のために使うか。新型コロナウイルス対策に関しては自明で、なるべく不必要な死者を感染症や他の病気で出さずに、経済的被害を最小化して人々の生きる権利、自由に活動する権利を守る。子どもたちの学びを守る。でも都知事が集中しているのは日々報じられる感染者数の上下。それは支持できない。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
政府主導なのか、地方主導でいくのか。現実の感染症対策で、日本全体をひとつの塊として動かしたほうがいいのか、地方ごとにアクセルとブレーキをコントロールしたほうがいいのかという選択。今も日本全体が東京の状況を見てみんなブレーキ解除にかかったが、山形とか仙台は違う。これは地域ごとで考えざるを得ない。

三浦氏「立憲民主党は”自民党が好きな層”をとらなければ」

新美有加キャスター:
衆議院議員の任期満了で、秋までに必ず行われる総選挙について。各党の支持率は、与党自民党は40.1パーセント。野党第一党の立憲民主党は6パーセント、他は1ケタが続き、支持政党なしが38.8パーセントというところです。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
野党に発信力が足りなくて支持率が足りないというが、そうではない。民主党政権と同じ顔ぶれだから、何を言っても口だけだと国民みんなが思っている。共産党の志位委員長も何年やっているんですか。野党は政権を取れないのなら、地方自治体の首長を取りに行って、これがわが党の政策ですよと見せるべき。

反町理キャスター:
与党にならないとダメということですね、政党というのは。小さい自治体でも。

橋下徹 元大阪府知事 元大阪市長:
そう、今は野党のままだから無責任なことや口ばっかりのことを言う。

国際政治学者 三浦瑠璃氏

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
今回コロナ禍があるのに、立憲民主党にみんなの目が向いていない。立憲民主党はそもそも、「自民党を好きな層」を取らなきゃいけないということ。それなのに「自民党を全く評価しない人」だけ見ている。

反町理キャスター:
固定客しか見ていない。

国際政治学者 三浦瑠麗氏:
「自民党をまあまあ評価している人」も取り込まないと政権をとれない。この人たちは、実は外交・安全保障で現実主義者。つまり立憲民主党が評価されていない理由、そして自民党にまあまあ評価を与えている人の理由も同じくそこ。もちろん経済政策や社会政策もあるが、やはり憲法改正と日米同盟強化の路線をとらなければ永遠に自民党を嫌いな層のみが安定していくだけ。

BSフジLIVE「プライムニュース」3月22日放送
 

【訂正】
タイトルの橋下徹さんの表記に誤りがありました。お詫びして訂正します。