現場の最前線でコロナ禍の犯罪に目を光らせる精鋭部隊、福岡県警特別遊撃隊に密着した。
繁華街のパトロールで隊員が見つけたものは…
福岡県警・生活安全総務課・街頭犯罪特別遊撃隊。通称「遊撃隊」。
夜間のパトロールで不審者に目を光らせ、現場の最前線で犯罪に立ち向かう精鋭部隊だ。パトロールに使うのは覆面パトカー、私服姿の隊員たち、そして3人1組で任務にあたるのが最大の特徴。
福岡市内の繁華街をパトロールしていた午後11時すぎ、隊員が違和感を覚えた。
隊員：
この人、声かけてみてもいいですか？
駐車して10分以上たつにもかかわらず、車から降りない男がいた。
人を待っているのか、それとも…
職務質問を試みようと隊員が車を降り、声をかけようとした、その時！
隊員：
（車がエンジンかける音）おおお、ちょっと！ 開けて開けて！ 開けてください。開けなさい！警察ですよ。バー上がってるから
すぐさま応援を要請する。
隊員：
何で？ どうしたん？ ん？ 声が聞こえんけん、ちょっと開けて。早く降りてきてください
手を合わせて何かを懇願する男。「見逃してほしい」とでも言っているのだろうか。
隊員：
葉っぱがある、多分。助手席に葉っぱがある。葉っぱみたいなのがある。早く、早く降りなさい！ ちょっと待って、ちょっと待って！ 降りて！ 開けて！ 何もせんならいいけん、降りて。シートベルトせんでいいやろ！ バーが上がっているから
職務質問に応じる姿勢見せた男 一転、逃走図るも…
ようやく車から降りた男。職務質問に応じる姿勢を見せたと誰もが思ったが…
隊員：
あるやろ？ 逃げた逃げた逃げた、逃げるなって、お前！ おい、走ろうとしたろうが！ 出せて！ 出せて！ 走ってないって。出せて！ 股に入っとるやろ！ 触るよ。これは？ これは？ 出して！ 出して出して！ これ何ね？ これ何ね？ 早よ出して！ 出してって！ ちょっと出してって！ 逃げよる、逃げよる！ 逃げんで出して！ 何しよん？ 出してって！ 右ポケット触りよったろが！ ここに入っとうやないか！ 出してって！ 匂いがしよるって！ ちょっと落ち着いて。落ち着いて、落ち着いて。ここ入っとうやろ。これ。これ何ね？ 出して出して。出すよ。写真撮りますね。写真撮ります。落ち着いて、出して。力入れても一緒やけん。足あげて。足あげて。これあるやないか、ほれ、出てきたやないか。これ何ね？ 時間、時間。時間とってもらっていいですか？
男：
嫁にだけ電話させて
隊員：
もう電話せんで。52分発見、出てきたもの見せて。ちょっと、もう触らんでいいけん、触らんで。動くな動くな！ 触らんでいい！ 誰のか、これ？ なんかこれ？
男：
俺のじゃない
隊員：
俺のじゃないですよ？なんかて！ 見とるて！ 俺のじゃない？ 見てる見てる。じゃあ何でポケットから出てくるね。ちょっと写真撮って。了解、了解
男が所持していたもの。それは、大麻とおぼしき植物片だった。
隊員：
これ何ね？ 何これ？
男：
知らん…
隊員：
自分から言って！ ちゃんと言って！ 言って自分から。ね、分かるやろ！
男：
違う…
隊員：
言って。何が違うとねて。逃げようとするけん。ちょっとちょっと動かない、ね、もう動かんよ！ もう動かない！ 動かんでって。正直に言って正直に！
男：
俺のじゃないもん
隊員：
分かっとるとやろ、俺のじゃないということは（これが何か）分かっとるやろ
男：
違うし、もう…
隊員：
何？ これ、そしたら。何？ 匂いがプンプンする。何これ？ これ何？
男に逃げ道はない。
隊員：
自分で一番分かっているはず。何ですか？
男：
草っす
隊員：
ん？ 草ね。草って何？ 草って何ね？ 自分の口から言って。大麻じゃないんですか。大麻じゃないですかって。大麻ね。分かった、分かった
男は、植物片が大麻であることを認めた。パトカーの中でくわしく話を聴く。
男の供述は…「ちょっと興味があった」
隊員：
これどうしたんすか、この大麻
男：
親不孝通りで外国人に聞かれて、ちょっと興味があったんで…
隊員：
いつですか？
男：
結構前ですね。何カ月とか、忘れたぐらい
同意を得て鑑定した結果、男が所持していた植物片から大麻の陽性反応が出た。
隊員：
1時6分ですね、はい。大麻取締法違反で現行犯逮捕します。なんか逮捕に関して言いたいことあります？
男：
いや、ないですけど…
隊員：
そしたら、今からね、逮捕現場における捜索差し押さえっていうのをするから。はい。ね、あなたの体と車を見るからね
男が乗っていた車内を捜索すると、大量の大麻のカス、そして吸引用と思われる複数のパイプが見つかった。30代の男は、その後の取り調べで「大麻は自分で吸うために持っていた」と供述した。
最近は、コロナ禍による外出自粛で巣ごもり生活が続き、「娯楽が減ったから」、「心理的不安を解消するため」といった身勝手な理由で薬物に手を出す人が急増しているという。
隊員：
（薬物は）元をたどれば暴力団に行き着く資金源になりますし、実際に使ってしまったら、やめられないという特徴もありますし、人生を本当に棒に振ってしまうようなことなので、本当に許せないし。なくならないとは言われていますけど、捕まえないことにはなくならないので、一つ一つやっていくだけだと思っています
福岡県警特別遊撃隊は、きょうも感染対策に万全を期して、コロナ禍の犯罪に目を光らせる。
（テレビ西日本）
