ノートに線を引く「罫引き(けいびき)印刷機」は日本にあと1台しかない。
こんな衝撃的なツイートが話題になっている。
 

罫線を引く機械
日本で最後の1台になってしまった【罫引き印刷機】です。
ツバメノートの多くの商品の本文はこの機械を使って印刷しています。

そろそろ、印刷の歴史の本に載るような気がする。

投稿したのは東京・台東区の昭和22年創業の老舗ノートメーカー、ツバメノートの公式アカウント。
罫引き印刷機とは、その名の通り「罫」=文字列を揃えるため紙に書かれた線を引く印刷機で、ツバメノートはこの機械で水性インクの罫線を引いたノートを作り続けている。
(セミB5判 28行30枚 190円税別 など) 

出典:ツバメノート
この記事の画像(5枚)

罫引き印刷の仕組みは、凹凸がある金属のローラーを用いて、インクを付けた凸部で紙の上に線を引いていく。
凹凸幅を変えることで線の太さや間隔を調節できるが、一度の印刷では1方向の線しか引くことができない。このため方眼紙などは横線と縦線を別々に印刷しているという。
こうして作られたノートは紙の端までしっかり罫線が引かれていることも特徴だ。
 

罫線を引くローラー 出典:ツバメノート

現在一般的なノートの罫線は素早く大量に製造できるオフセット印刷という方法が使われているというが、なぜ罫引き印刷にこだわるのか?そして、日本最後の罫引き印刷機はツバメノートとは別の会社にあるのだが、もし印刷機が壊れてしまったらどうなってしまうのか?
ツバメノート代表取締役の渡邉一弘さんに聞いてみた。

約60年前くらいに作られた

――この印刷機はいつごろ作られたもの?

約60年前くらいに作られました。
その前は、木造の機械を使っていたと聞いています。罫線印刷の技術は明治・大正にはあったそうです。

――なんで罫引き印刷機は減ってしまった?

やはり印刷技術の多様化で、同業の印刷業者は新しい印刷方法に変更したり廃業したからでしょう。

――ツバメノートの他にも罫引き印刷は使われている?

取引先からは、たまに依頼が来ると聞いております。
 

作り直せる職人は見つかっていません

――ツバメノートが罫引き印刷にこだわっている理由は?

コストが安く、小ロットでの印刷が可能で、保管場所も大きな場所がいらないし、罫線は水性インクなので、例えば万年筆などの水性筆記具で書いても引っ掛かりが無く滑らかに書けます。
オフセット印刷は油性インクのため、罫線の上に水性筆記具で書いた場合、若干インクを弾いてしまいます。
 

――この「罫引き印刷機」が壊れたらどうなる?

一部の部品なら昔から取引のある機械職人さんにお願い出来ますが、完全に壊れてしまったらオフセット印刷にするか、それとも新たに製造可能な機械屋さんを見つけるか…探してはおりますが、今の所、見つかっておりません。
 

「罫引き印刷機」罫線を引くローラーは右上に使われている 出典:ツバメノート

渡邉さんによると、油性の罫線はわずかながら盛り上がっているため、ペンが当たるとわずかな引っかかりがあるそうで、大学ノートなど我々になじみのあるノートは罫引き印刷にこだわって作られていた。

渡邉さんは現在、罫引き印刷の継承を計画しており、同じ機械をゼロから作り直すことも考えているそうだ。しかし今のところ、最後の印刷機を分解して部品をコピーするのは、職人さんが「バラしてもう一度組み直したら、ちゃんと動くか分からない」と躊躇してるため進んでいないそうだ。

 

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