ハリネズミといえば、その名が示すように刺さると痛そうな“針”が特徴的な生き物。そんなハリネズミの、生まれたての赤ちゃんの姿が注目を集めている。

「6匹かな。よくがんばったね。感動して泣けてくるw」とのコメントとともに投稿されたのは、大きなハリネズミの近くに小さな赤ちゃんハリネズミが映る画像。どうやら出産直後のハリネズミの親子をとらえた写真のようだ。

お母さんハリネズミに立派な針があるのは当然だろうが、よく見ると赤ちゃんハリネズミにもピンク色の背中に、ちっちゃな針らしきものが確認できる。針は生まれた時からあるのだろうか。

提供:DEKOY(デコイ)さん
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投稿をしたのは、ブリーダーをしているDEKOY(デコイ)(@DEKOY13108535)さん。

赤ちゃんにも針があることにユーザーも驚いたようで、「赤ちゃん初めてみた!ひっつき虫みたい!かわいい!」「トゲって最初からあるんですね!」「赤ちゃんもパヤパヤな針みたいなのがあるんですね!すごすぎる」とコメントが寄せられており、15万4000いいねが集まっている。(2月25日時点)

提供:DEKOY(デコイ)さん

とても可愛らしい赤ちゃんハリネズミだが、生まれた時はどんな様子だったのだろうか?まずは投稿したDEKOY(デコイ)さんに話を聞いた。

赤ちゃんはピーピーという鳴き声が非常に可愛い

ーーいつ産まれたの?

2月初めより(メスの)体重が増え、目に見えてふっくらしてきたため、個室のケージに。床材を交換した2月16日の夜中に(メス)2匹が、5匹、3匹、たまたま同日に産んでおりました。

提供:DEKOY(デコイ)さん

ーー出産を見てどう思った?

赤ちゃんはピーピーという鳴き声が非常に可愛く、また初産のメスが戸惑いながらも授乳する姿などは感動しました。

授乳の様子(提供:DEKOY(デコイ)さん)

ーー投稿が話題になっているけど、どう思う?

大きな反響に驚いております。ハリネズミは見たことはあるけれども、産まれて間もない赤ちゃんを目にする機会は確かに少ないのかな、という印象です。ひっつき虫に似ている、産む時痛くないのかな?というリプがとても多かったです。
 

生まれる瞬間は皮膚の下に隠れている

たしかに写真を見ると、赤ちゃんでも針があることがわかるが、出産する時はやっぱりお母さんは痛いのだろうか? 針はどのように成長していくのか? ハリネズミの健康と安心をサポートする日本ハリネズミ協会にも話を聞いた。

ーーお母さんハリネズミは出産する時、赤ちゃんの針で痛くならないの?

実は出産の瞬間には、赤ちゃんにまだ針は生えていません。体長2.5cmほど、体重10~18gともいわれています。もちろん個体差があります。出産から30分ほどすると、皮膚の下に隠れていた針がうっすらと生えて出てきます。

提供:DEKOY(デコイ)さん

ーー赤ちゃんハリネズミはどのように成長していくの?

ハリネズミの針は、3種類かけて変化し成長していきます。生まれたときの針、2~3週目の針、大人の針と3種類あります。

【生後2日目:針の成長】
産まれるとすぐ、皮膚の下に隠れていた針が出現!丸一日で生えそろいます。針5mm前後に。

【生後8~13日目:防御の行動】
まだ目を開いていませんが、体を丸めたり、シューシュー威嚇する、だ液塗りしたりできるように。

【生後14日:目が開く】
目が開き、ふさがっていた耳の穴も開きます。もう少しすると体毛も生えてきます。

【生後18日:歯が生える】
乳歯が生えてきます。9週目までには生えそろい、永久歯は7週くらいから生え始め、置き換わります。

【生後6週目まで:大人の針になる】
針には、生まれたときの針、2~3週目の針、大人の針と3種類あります。

 【生後6~8週目…離乳】
母乳から徐々に固形のフードを食べるようになり、しっかり固形の食事が食べられるようになれば離乳です。母親から自立できます。

【生後2か月以降:性成熟】
およそ生後2~6か月で性成熟し、オスもメスも子どもが作れるようになります。離乳した後、赤ちゃん同士、もしくは母親ハリネズミと一緒にいると、繁殖してしまうことがあります。

子どもたち同士、親子同士での交尾を避けるため、1か月を目途に様子を見てケージを分けましょう。例えば、オスがピーピーと小鳥のように鳴くのは求愛行動です。気を配りましょう。

生後2週間程度(提供:DEKOY(デコイ)さん)

ーーお母さんの針に赤ちゃんが刺さることはあるの?

お母さんハリネズミのほうが体が大きいため、背中側の針に赤ちゃんが刺さってしまうことはあまりないですが、きょうだい同士で針が当たって、傷つくことはあります。実際に目が少し傷ついて、目薬で治療して正常に治った子の事例もありました。

温度管理など飼育は難しい

ーーそもそものハリネズミの生態を教えて。

日本で飼育することができるハリネズミは、「ヨツユビハリネズミ」と呼ばれ、哺乳類の中のハリネズミ科ハリネズミ亜科アフリカハリネズミ属に分類されます。俗称としてピグミーヘッジホッグとも呼ばれます。ペットとしてはおなじみになりましたが、野生での暮らしについてはまだ明らかになっていません。

基本的には、ハリネズミは単独生活を好みます。他のハリネズミと一緒になるのは、繁殖時と子育てをするときだけです。夜行性で、夕方や夜明け前にも活動しますが、最も活発なのは、午後9時~0時、次いで午前3時とされます。活動中はほとんどが食べ物探しに費やされ、一晩のうちに3〜5kmも歩き回ると言われています。

右:3匹出産したハリネズミ(提供:DEKOY(デコイ)さん)

ーー何を食べるの?

野生のハリネズミは、おもに昆虫、ミミズ、カタツムリやナメクジなどの無脊椎動物を食べます。他、カエル、トカゲ、ヘビ、小型哺乳類、死肉のほか、果実、種子、キノコなど動物質に限らず食べます。一晩で体重の30%にあたる量を食べるようです。 

ペットとして飼育している場合は、ハリネズミ専用フードの販売がありますので、そちらを食べてもらっています。おやつとして、生き餌は重要なことから、ミルワームやコオロギを食べさせることもあります。赤ちゃんはもちろん母乳、離乳後は基本的にはフードを食べるようになります。

授乳の様子(提供:DEKOY(デコイ)さん)

ーー飼育は難しいの?

難しいです。情報があちこちに拡散していること、信憑性があるのかないのかわからない情報なども多々あり、振り回されることになることも、飼育を難しくしています。日本ハリネズミ協会から情報を集約して発信しているので、ある程度一貫性のある事例やデータとして、参考にしていただくことで、そのあたりの難しさをクリアできればと考えています。


ーー飼育するときの注意点は?

温度管理が非常にデリケートなため、温度管理を適正に保てるよう環境を整えられてから飼育を開始していただきたいこと。(温度管理の調整の難しさ)

基本夜行性で警戒心が強いため、期待するようなスキンシップがとれないケースが多いことを覚悟していただきたいこと。(難しい生態)

ハリネズミを診ていただける病院が犬猫に比べて著しく少ないため、必ず病院を見つけておくこと。(当HPにてハリネズミ病院MAPを公開しております)


ーー最後に、ハリネズミの魅力を教えて

なかなかスキンシップの取れないハリネズミですが、とにかく可愛い!!!

ぷいっとそっぽを向かれても、明かりをつけた瞬間ぱっと逃げてハウスに隠れてしまっても、こちらが用意したごはんを食べてくれたり、回し車を一生懸命回していたり、呼んだら振り向いた(ように感じる)り、一生懸命生きてるツンデレさんにとびきりの愛を感じます。

魅力は一言では難しいですが、これだけ飼育が難しくても、愛おしい!!そう感じていただける方がハリ飼いさん(ハリネズミの飼い主)になれると思います。

提供:DEKOY(デコイ)さん

お母さんが痛くないように、生まれるときは皮膚の下に隠れているが、その後すぐに針が出てくるとは驚きだ。
話を聞くだけでも、ハリネズミの魅力は十分に伝わってきたが、世話は難しいとのことなので、飼いたいと思った人は、今回の注意点もふまえてしっかりと検討してほしい。
 

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