国内初!新しいアイドル・スナネコの赤ちゃんが誕生

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により、現在も一部の地域では動物園や水族館が休業を続けている。

そのような中、栃木県にある那須どうぶつ王国で、新しいアイドルが誕生したことが分かった。世界最小級の野生ネコ・スナネコの赤ちゃんが4月27日に生まれたのだ。

父親・シャリフと母親・ジャミールとの間に生まれたメス。国内ではスナネコ自体の飼育例が少なく、日本動物園水族館加盟園館としては、初の展示そして初の繁殖となる。

(スナネコの赤ちゃん 撮影5月14日 提供:那須どうぶつ王国)
(スナネコの赤ちゃん 撮影5月14日 提供:那須どうぶつ王国)
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赤ちゃんは生まれた直後は元気だったが、親がついたり離れたりと落ち着かず、次第に衰弱。人工哺育に切り替え、現在は飼育員が3~5時間おきにミルクを与えるなど、懸命に世話を続けているという。

生まれた当初は、体長16センチ、体重59グラムと手のひらサイズの小ささ。それが5月18日には、体長20センチ、体重は約4倍の242グラムと、すくすくと成長している。

写真を見て分かると思うが、潤んだ大きな瞳を持つ何ともかわいらしい姿。初めて見た人も心をつかまれたのではないのだろうか。

暗いニュースが続く中での明るい話題は、人々の心を明るくさせてくれる。だが、国内初のスナネコの赤ちゃんの誕生ということで、いろいろ大変なこともあるはず。那須どうぶつ王国の担当者に心境などを伺ってみた。

(撮影5月18日 提供:那須どうぶつ王国)
(撮影5月18日 提供:那須どうぶつ王国)

 「必ず救おうと決意」誕生と同時に人工哺育へ

ーーまず、生まれた際の気持ちを教えて

誕生に関してはとても嬉しい気持ちでしたが、同時に人工哺育が始まったため、気持ちを引き締め必ず救おうと決意しました。


ーー人工哺育に対してはどのような思いで行ったの?

取り上げた直後は、回復してくれるか1時間ごとの勝負だったので、本当に不安や恐怖がありました。1日目・3日目・7日目…など、目標を定め、それを超えていく度に、成長する喜びを感じました。

(ヨチヨチ歩けるようになった 撮影5月21日 提供:那須どうぶつ王国)
(ヨチヨチ歩けるようになった 撮影5月21日 提供:那須どうぶつ王国)

ーー今はどのように育ってほしい?

元気に、一番は健康にすくすくと育ってほしいです。


ーー国内初ということに対しては?

人工哺育となると、さらに貴重なデータとなると思います。責任を感じるとともに、今回の飼育が今後、日本のスナネコ飼育の基盤となってほしいです。


スナネコは1カ月半で離乳し、1年半~2年程で大人になるという。現在、元気いっぱいだということだが、性格が分かるのはもう少し先のようだ。やんちゃなのか恥ずかしがり屋なのか、今から楽しみだ。

(耳が大きくなった? 撮影5月21日 提供:那須どうぶつ王国)
(耳が大きくなった? 撮影5月21日 提供:那須どうぶつ王国)

なお誕生報告は、那須どうぶつ王国公式Twitter(@nakprstaff)にも投稿しており、ユーザーからは「おめでとうございます!」といった祝福の言葉と共に、「ぎゃー!!可愛いすぎーーー!!」「可愛い爆弾」とその姿にもん絶するコメントも多数並んでいる。

一方で担当者は、この反響に対し「『可愛い、飼いたい』という書き込みを拝見しました。可愛いと思っていただけるのは大変うれしいのですが、それと同時に生息環境や野生動物の密猟等についても考えてほしいです」と冷静な言葉をくれた。

「砂漠の天使」スナネコの生態とは?

今回誕生したスナネコ。そもそもどういった動物なのか、知っている人は少ないのではないだろうか。

スナネコはアフリカなどの岩砂漠などに生息する、体長約39~57センチ(+尻尾20センチ)、体重約2~3キロの世界最小級の野生のネコだ。

(大人のスナネコ 提供:那須どうぶつ王国)
(大人のスナネコ 提供:那須どうぶつ王国)

寿命は10~12年で、砂漠に溶け込む毛の色に、灼熱の砂から足裏を守るために、肉球を覆うように毛があるのが特徴だという。

その愛らしい容姿から「砂漠の天使」とも言われているとか。

(イカクしていてもかわいい 提供:那須どうぶつ王国)
(イカクしていてもかわいい 提供:那須どうぶつ王国)

那須どうぶつ王国では、飼育員と動物が一緒の空間に入ることがない「間接飼育」という方法で世話をしている。その際に、気温を最低20度に保ったり、エサを小さく切って与える必要があるなど、飼育の難しい点もあるのだという。

ちなみにスナネコは、国内では「那須どうぶつ王国」と、その姉妹園「神戸どうぶつ王国」の2カ所しかいないとのことだ。

赤ちゃんの展示は6月下旬以降を予定

新型コロナウイルスの影響で、那須どうぶつ王国は集客が80~90%減少、さらに、4月18日~5月22日まで休業と、様々な固定費がかかるのにも収入がなく、厳しい状況だったという。

5月23日に営業再開ということで、担当者は「率直にうれしいです」と喜ぶ一方、「防疫体制をしっかりと取らなければ、お客様だけでなく従業員やその家族にも影響してしまう為、気を引き締めて防疫対策にあたりたいと思います」と再開への姿勢を示してくれた。

そして、「スナネコの赤ちゃんを見られる機会はめったにありません。公開したら是非、その可愛い姿を見ていただきたいです。同時に那須どうぶつ王国が取り組んでいる保全の事も知ってもらえると嬉しいです」と今後の意気込みも語った。

スナネコの赤ちゃんの展示は、6月下旬以降を予定しているが、赤ちゃんの体調や成長具合によっては変更する可能性があるという。

(撮影5月21日 提供:那須どうぶつ王国)
(撮影5月21日 提供:那須どうぶつ王国)

国内初の愛らしい「砂漠の天使」の赤ちゃん、コロナの状況が落ち着いたら一度見に行ってみるのもいいかもしれない。また赤ちゃんだけではなく、大人のスナネコも十分に愛らしいので、楽しめることだろう。
 

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プライムオンライン編集部
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