日本人では異例 北村氏に米国防省から特別功労章が授与

(国家安全保障局提供)
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日本の安全保障政策の総合調整を担う国家安全保障局の北村滋局長が、アメリカの国防省から特別功労章を授与された。今回北村氏が受章した勲章(Department of Defense Medal for Distinguished Public Service)は、アメリカの国防長官が授与する勲章としては最上位にあたり、過去にはジョージ・ブッシュ元大統領、クリントン元大統領、オバマ元大統領や、映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏らそうそうたるメンバーが受章している。国家安全保障局によると日本人の受章は異例とのこと。勲章はトランプ前大統領政権下の昨年12月付けで、当時のミラー国防長官代行から授与される形となった。

(国家安全保障局提供)

日米同盟の強化とFOIPに貢献 安倍前首相の側近として外交安保を長年支える

授章理由についてアメリカ政府は「日米同盟の強化、『自由で開かれたインド太平洋』のもとでの地域協力、日米豪印や日米韓の協力の推進に対する貢献を認めたもの」と説明している。

北村氏は安倍政権下の2019年9月に国家安全保障局長に就任し、菅政権に代わった現在も同職を勤める。2020年1月に訪米しワシントンを訪れた際には、韓国の安全保障担当の高官と共に当時のトランプ大統領と短時間の面会を果たしたほか、カウンターパートであったオブライエン前大統領補佐官とは、累次に渡り電話協議を重ね関係を築くなど、日米同盟の強化を陰で支えてきた。

今回の勲章は、安倍前政権下で国家安全保障局長に就任した2019年から2020年までの活動の功績に対して与えられたものだが、振り返れば安倍前首相と北村氏の間には長い関係がある。北村氏は2006年9月に発足した第一次安倍政権では首相秘書官を務めた。その後、警察庁警備局外事情報部長や警察庁長官官房総括審議官などを歴任した後、2011年12月に内外のあらゆる情報を吸い上げる内閣情報調査室のトップ・内閣情報官に就任し、2012年からの第二次安倍政権時も含め約7年にわたり務めた。そして、2019年9月に2代目の国家安全保障局長に就き、7年8カ月の長きに渡った安倍前政権をインテリジェンスの立場から支えてきた。

その間の日米関係における大きな成果の1つが、安倍―トランプの蜜月関係を基盤に、日本が唱えた「自由で開かれたインド太平洋」(略称:FOIP)構想にアメリカが賛同し、中国をけん制する共通の構想として確立させたことだ。今回の北村氏の受章には、そのFOIPへの尽力を称える意味も込められているようだ。

菅政権でも安全保障の要として尽力へ バイデン政権との関係構築に向け手腕に注目

(北村国家安全保障局長とエスパー元米国防長官との面会 2020年9月23日 撮影:米国防総省)

そして北村氏は、安倍政権が退陣し菅新政権となった今も、国家安全保障局長として外交安保政策の調整を継続して担っている。新政権発足直後の2020年9月22日から25日にかけて、アメリカのワシントンをすぐさま訪問。エスパー前国防長官やビーガン前国務副長官、オブライエン前大統領補佐官などアメリカ政府の要人と相次いで会談し、菅新政権とトランプ政権の迅速な関係構築に努めた。

(北村国家安全保障局長とエスパー元米国防長官との面会 2020年9月23日 撮影:米国防総省)

さらに年が明けた1月20日、アメリカのバイデン新政権が発足すると、北村氏は直後の21日に早速、新たに就任したサリバン大統領補佐官とカウンターパートとして電話協議を実施した。この協議では、日米同盟の重要性を確認したほか、日米豪印の4カ国や同盟国が引き続き緊密に連携していくことで一致した。そしてバイデン政権においても、アメリカの日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条が尖間諸島に適用されることを再確認した。その上で北村氏は「自由で開かれたインド太平洋」の実現のほか、経済安全保障、新型コロナウイルス対応などの地球規模の課題での日米の緊密な協力を呼びかけた。

北村国家安全保障局長とサリバン米大統領補佐官

バイデン政権発足直後に安全保障担当同士の電話協議が実施できたことについて政府高官は「アメリカが日本を重要な国だと思っている証拠だ」と手応えを語った。北村氏には菅首相の初訪米、バイデン大統領との初会談に向けた下地作りの役割も期待されている。

バイデン政権の外交安保の方針についての詳細は未知数な部分が多いが、安倍前政権がトランプ前政権と築いた以上の強固で緊密な安全保障上の連携を、菅政権がバイデン政権と築いていけるかどうか、日本のインテリジェンスを支える北村氏の手腕に引き続き注目が集まっている。

(フジテレビ政治部 亀岡晃伸)