マイページ
女子バレー日本代表 笑顔ない銅メダル 「精神的にもっと強く」アクバシュ監督  イラン戦に勝利し3位でW杯出場権 【アジア選手権】|FNNプライムオンライン
バレーボールアジア選手権

女子バレー日本代表 笑顔ない銅メダル 「精神的にもっと強く」アクバシュ監督  イラン戦に勝利し3位でW杯出場権 【アジア選手権】

Google ニュース プリファードソース

バレーボール女子アジア選手権最終日の30日、日本は3位決定戦でイランにストレート勝ちを収めた。

今大会でのロサンゼルス五輪出場権を獲得することはできなかったが、中国・天津で10日間に及ぶ戦いを終えた選手たちの目に浮かんだのは、すべてを終えた安堵ではなく、目指す目標を叶えられずに終えた悔し涙だった。

「これが自分たちの現状だと痛感した」

予選ラウンドで対戦してきた国と同じく、世界ランキングだけを見れば6位の日本に対し、イランは38位(試合前時点)。

「勝って当然」と見られるのが大半ではあるが、国際大会の出場機会が限られるイランがアジアでベスト4に入り、最終日まで試合ができる喜びを爆発させながら思い切ってプレーするのに対し、日本は前日の準決勝でタイに敗れている。

日本は29日の準決勝・タイ戦で敗北
日本は29日の準決勝・タイ戦で敗北
この記事の画像(11枚)

今季最大のターゲットと掲げてきた目標が潰えた現実を受け入れる間もないまま、翌日には3位決定戦に臨まなければならない。

勝てば来年のワールドカップ(旧世界選手権)出場が決まる。ここで五輪出場権を獲得していないチームの上位3つに入れば、その時点でロサンゼルス五輪出場が決まるため、3位決定戦は消化試合ではなく、まぎれもなく次につながる試合だ。

敗れた悔しさも一度切り替えて、最終戦に臨もう。支えてくれた人たちや、応援してくれる人たちのためにも最後はこれまでやってきたことをすべて発揮するような試合で締めくくろう。

頭ではわかっていた。だが現実はなかなか容易ではない。そう言うのは、リオデジャネイロ、東京と二度の五輪に出場したベテランのミドルブロッカー、島村春世だ。

島村春世がイラン戦までのチームの雰囲気を語った
島村春世がイラン戦までのチームの雰囲気を語った

「昨日の試合を終えてから、夜にミーティングをして『今回はオリンピックの切符を取ることはできなかったけれどワールドカップ(旧世界選手権)で獲れるチャンスがあるから、次の試合はそこに向かうスタートだから最後の一戦も全員で戦っていこう』と話をして臨みました。でも、実際は切り替えられないですよね。(試合当日の)午前中もミーティングをしたけど、雰囲気は上がらなかった。理想を言えば、25対15とか、大差をつけた試合をしなければいけなかったと思います。でも、それは難しかったし、これが今の自分たちの現状なんだな、と痛感しました」

笑顔のない銅メダル 涙を浮かべた石川

第2セットこそイランを16点に抑えたが、第1セットは21点、第3セットはデュースの末に26対24で日本が勝利。イランが25点目を取ったかと思われたところからのチャレンジで判定が覆った結果の逆転だった。

張りつめていた気持ちが準決勝の敗戦で切れ、本来のパフォーマンスとは程遠い日本に対し、高いトスを伸びやかに打ち、身体能力を活かしたブロックだけでなく後方で待つレシーブ力も高く、ボールを簡単に落とさない。世界ランキングだけで格下と判断するのはあまりに安易だと言わざるを得ないほど、イランは近年で力をつけていることを目の当たりにした。

なかなか流れに乗ることができず、難しい状況ではあったが「相手も試合前から声を出して、勢いよくきた。その中で自分たちもこの試合を勝つことと、次に繋がる試合にするために、もう一度昨日の敗戦を修正して臨んだ」という和田のスパイクが立て続けに決まり、準決勝では途中交代した佐藤淑乃も「スパイクを(相手ブロックに当てて)飛ばすことを意識した」という攻撃でチームを牽引。苦しみながらもそれぞれが次へ向け、この試合をスタート、とばかりに臨む姿を見せた。

試合後にはコートでセレモニーが行われ、選手たちの胸に銅メダルがかけられたが、誰1人、笑顔はない。

主将の石川真佑もミックスゾーンで涙を浮かべた。

主将の石川真佑(中央)
主将の石川真佑(中央)

「嬉しさよりも悔しさ。ここにいないメンバーや、いろんな人に助けてもらったので、最後は優勝して終わりたかった、という思いでした」

求められるのは勝負強さとタフさ

目指した目標に届かなかった悔しさ。今はその感情が先行するが、アジアで勝つことができなかったという現実は少なくない課題も残した。

欧州勢のように高さやパワーを武器に戦うチームばかりでなく、フィジカルで劣るアジアの国々は独特のリズムやスタイルで戦うチームも多い。

中国、タイといったネーションズリーグにも出場する強豪国だけでなく、ベスト4に進出したイランを筆頭に、個の能力や組織力も上がっているチームは多く、これから先を見据えた時にどんな相手に対しても勝たなければならない試合で勝ち切る勝負強さとタフさが求められるのは明確だ。

フェルハト・アクバシュ監督も「いいプレーができずに優勝を手にできなかった。目標を達成できず、すべての日本のファンの方々に謝りたい」と述べると共に、これからへの決意も口にした。

「精神的にもっと強くならないといけない。戦術を実行する力も上げないといけない。このチームを信じています」 ロサンゼルス五輪、そしてその先の日本バレーがさらに強く、たくましくなるために。ここからが新たなスタートだ。

  • 1
  • 2
【よく一緒に読まれている記事】
和田由紀子が涙「まだまだ強いチームになりきれてない」 バレー女子日本代表、タイに敗れ五輪出場権獲得ならず バレーボールアジア選手権
和田由紀子が涙「まだまだ強いチームになりきれてない」 バレー女子日本代表、タイに敗れ五輪出場権獲得ならず バレーボールアジア選手権
関連記事
バレーボールアジア選手権の他の記事
アジア制しバレー男子日本がロス五輪出場決定 苦しみながらも最後は石川「やるべきことをやった」 イランに勝ち栄冠
アジア制しバレー男子日本がロス五輪出場決定 苦しみながらも最後は石川「やるべきことをやった」 イランに勝ち栄冠
スポーツ
【速報】バレー男子日本代表がイランとの決勝でストレート勝ちしロス五輪出場決定  石川・髙橋・西田ら歓喜【アジア選手権】
【速報】バレー男子日本代表がイランとの決勝でストレート勝ちしロス五輪出場決定  石川・髙橋・西田ら歓喜【アジア選手権】
スポーツ
バレー男子日本代表 決勝・イラン戦のスタメン発表 得点ランク1位ポリヤは要警戒 勝てばロサンゼルス五輪決定【アジア選手権】
バレー男子日本代表 決勝・イラン戦のスタメン発表 得点ランク1位ポリヤは要警戒 勝てばロサンゼルス五輪決定【アジア選手権】
スポーツ
ロス五輪出場権かけイランとの最終決戦へ 男子バレー日本「必ず勝ちきりたい」石川が韓国戦で復調の躍動 アジア選手権
ロス五輪出場権かけイランとの最終決戦へ 男子バレー日本「必ず勝ちきりたい」石川が韓国戦で復調の躍動 アジア選手権
スポーツ
一覧ページへ
田中夕子
田中夕子

神奈川県生まれ。『月刊トレーニング・ジャーナル』編集部を経て、2004年からフリーランスライターに。主にバレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を中心に取材。著書に『日本男子バレー勇者たちの軌跡』、『高校バレーは頭脳が9割』、共著に『青春サプリ。』、構成に『Saori(木村沙織著)』『頂を目指して(石川祐希著)』などがある。春高バレーをはじめとする高校バレーの取材がライフワーク。

×