ロサンゼルス五輪出場をかけ、熱戦が続くバレーボールアジア選手権。女子日本代表は予選ラウンドを3戦全勝とし、C組1位で突破。全体2位以上を確定させ準々決勝進出を果たした。
予選ラウンド最終戦となったベトナム戦でチーム最多の16得点と躍動したのは、元日本代表の大友愛さんを母に持つチーム最年少の20歳、身長185センチの秋本美空だった。
また秋本だけではなく、途中出場した多くの選手もベトナム戦で活躍。日本代表の“全員バレー”が光った一戦だったが、予選ラウンドを通じ、決勝トーナメントに向けた課題も見えてきた。
初スタメンの秋本
世界ランキング6位の日本に対しベトナムは32位ではあるが、10代の選手も多く、東南アジアで着々と力をつける相手に対し、フェルハト・アクバシュ監督は今大会初めてスタメンに秋本美空を起用した。
今夏のネーションズリーグでもスタメン出場の機会はなく「悔しさもあった」という秋本は、アジア選手権に向け、高さを活かした攻撃に加え、「サーブの練習も重ねて来た」と明かす。

まさにその言葉通り、サーブやスパイク、秋本の活躍が起爆剤となり3対0のストレート勝ちを収めた。
チーム最多の16得点
まず光ったのはチーム随一の高さを活かしたスパイクだ。
これまでの2戦で先発出場した和田由紀子に代わり、オポジットに入った秋本は相手ブロックの上や脇からクロスだけでなくストレートにも、次々とスパイクを決める。試合前の練習時からセッターの関菜々巳とはコミュニケーションを重ねて来たという。
秋本美空:
「試合でぴったり合わせることは難しいと思うんですけど、セナ(関)さんのトスがもしも伸びなかったら、短いトスに合わせて入るコールをします、という話をして、セナさんもトスを毎回聞いてくれるので、試合で合わない時があっても、自分たちからミスを出さないことを意識していきたいです」
高さで勝る相手ではあるが、秋本の高さは日本代表にとって大きな武器であるのは間違いない。

練習中にも「トスを毎回聞いてくれる」という関だけでなく、もう1人のセッター、栄絵里香も大会直前の取材時に秋本の高さをどう活かすか。試行錯誤を繰り返し、長所を引き出すために連携を重ねて来た、と明かしている。

栄絵里香:
「状態がいい時は(練習パートナーの男子)大学生の上から打つ。間違いなく武器なんですけど、5月に初めてトスを合わせた頃は『このトスもブロックにかかっちゃうのか』ということも正直あって、もったいないな、と感じていたんです。
でもどんどん練習を重ねるごとによくなって、美空のコンディションも上がっていった。自分がどの打点で打ちたいか、ハッキリは言わないので『もうちょっとこうしてほしいかも』という感じではあるんですけど(笑)、こちらからも『じゃあもう1個高さを上げるから、打点は活かしていこう』と声をかけて、美空に上げる時は特に打点を落とさないようにということは意識してきました」
関と栄、セッター陣とコミュニケーションを重ねた成果がチーム最多の16得点につながった。
全員バレーで決勝トーナメントへ
第1セット序盤には秋本のスパイクで、中盤には連続サービスエースで日本が先行したが、ベトナムの機動力を生かした移動攻撃がなかなか止められず、25対23と第1セットは辛勝。
第2セットも拮抗する場面もあったが、途中出場の山口真季や山田二千華、要所でミドルブロッカー陣のブロックが効果を発揮した。
山口だけでなく、これまでの予選ラウンド2戦と同様に鴫原ひなた、北窓絢音など多くの選手がコートに立ち、それぞれの持ち味を活かし、ストレート勝ち。まさに全員バレーで3連勝を飾った。

予選ラウンドは1日おきに3試合、決勝トーナメントが始まってからも試合が続くため、ネーションズリーグから出場を重ねた石川真佑や佐藤淑乃、和田といった主軸を担う選手たちが、休養することができた。さらに、外から見ることで新たに気づくチームの課題もある。
誰か1人が活躍するのではなく、コートに立った選手たちが役割を果たす展開での3連勝。
サーブでも得点を重ねた山田は「1人ひとりそれぞれに強みがあるので、お互いに引き出して、チームとして高め合いながら最後まで全力で戦っていきたい」と語った。
予選ラウンドの順位は26日にも行われる他の試合結果によって確定する。日本の準々決勝の相手は未定だが、ここからは負けたら終わりのトーナメントだ。
秋本の活躍や予選ラウンドで得られた課題を糧に、ロサンゼルス五輪出場に向けさらなる飛躍を誓う。
【執筆:フリーランスライター 田中夕子】

