バレーボールアジア選手権が21日に中国・天津で開幕する。12の国と地域が出場する大会で、優勝すれば、2年後のロサンゼルス五輪出場が決まる。
大会を前に、女子バレー日本代表の練習が公開された。当初は限られた時間のみの公開予定だったが、前日になって約2時間の午後練習のほぼすべてが公開されることとなり、実戦さながらのゲーム形式の練習も公開された。
その時点で、メンバーは14名に絞られていたが、誰がコートに立つのか。ポジション争い、レギュラー争いの最中で、たとえワンポイントでの出場でも、少しでもチャンスをつかむためにと緊張感も漂う。
「コンニチハ」指揮官が笑顔で挨拶
大事な大会を控えた時期ではあったが、練習前にはこんな光景があった。
「コンニチハ。ヨロシクオネガイシマス」
コートを囲むように集まった報道陣の前を、フェルハト・アクバシュ監督が日本語で挨拶を交わしながら笑顔で手を振って歩く。
この時だけが特別なのではなく、日本代表のキックオフ会見の際にはトルコの伝統菓子を自ら振る舞い、試合後のミックスゾーンも「オツカレサマデス」と自ら声をかけて通っていく。

サービス精神旺盛なだけでなく、多くの報道陣がいる中で少しでも女子バレー日本代表をアピールしたい。伝えてほしい。そんな姿勢の表れでもあるのだが、いつもにこやかなアクバシュ監督が、今季の目標を語る時はいつも語調が強まった。
「今年は非常に重要なシーズンです。ロス五輪の切符を、できるだけ早い段階で手にしなければならない。そのためにはアジア選手権で優勝すること。とても難しいミッションをクリアすべく、最善を尽くし、プレッシャーに負けない選手を選んで目標を達成していきたいです」
就任1年目に世界4位 課題はブロック
初年度となった昨年、ネーションズリーグ、世界選手権で4位。
メダル獲得まであと一歩、という結果だけでなく、試合内容を見ても世界選手権の3位決定戦では強豪ブラジルに2セットを連取されてから2セットを取り返してデュースに持ち込むなど、着実な進化と成長を感じさせた。
加えて、スピードや精度にこだわる技術だけでなく、高いトスを高い打点で打ち、少しでも相手のブロックを攪乱するために、限られた箇所だけでなく、複数箇所から同時に攻撃を展開する。

世界に引けを取らず、堂々と渡り合う戦い方も見応えがあり、日本の女子バレーが着実に変化していると強く印象付けた。
そして今季、アクバシュ監督が掲げたのは「ブロック」の改善だ。

上背で勝る世界の強豪と比較して、日本は高さで劣る。ブロックが重要なのは理解しているが、むしろレシーブで応戦したほうがいい。育成年代からその発想が根強い日本の女子バレーでは、長年ブロックがウィークポイントとされてきた。
とはいえ近年の男子バレー日本代表が見せて来たように、高さやパワーで勝る相手に対してもブロックとレシーブが連動したトータルディフェンスを構築させれば、十分渡り合えるしその上を行くことだってできる。

アクバシュ監督も「劇的な改善は見られないかもしれないけれど、細かい部分の改善ができれば試合の質を上げることはできる」というように、紅白戦やネーションズリーグでもブロックを重視して取り組み、アジア選手権にもブロック力に定評がある宮部藍梨や山田二千華といった国際大会での経験を豊富に持つ選手に加え、SVリーグでもブロックにおいて圧倒的な存在感を発揮する山口真季を選出した。
日本より高さや攻撃力で勝る中国、コンビバレーを武器とするタイなど、難敵が揃う中で、その成果がどれだけ発揮されるのかも見どころの1つだ。
「国を代表して戦う姿を見てほしい」
結果が求められるアジア選手権。準々決勝以降の決勝トーナメントは、負けたら終わり。
プレッシャーがかかる試合になるのは間違いないが、今夏、大阪で開催されたネーションズリーグの予選ラウンド最終戦でポーランドに劇的な逆転勝利を収めた後、「すごく苦しかった」と涙を流したセッターの関菜々巳には、何度も悔しさを重ねて来たからこそ抱く思いがある。
「いい試合をした、と言われることはすごく嬉しいです。でもやっぱり、日本代表である以上はどんな試合でも結果が求められるし、勝たないといけない。大事な試合で勝つ姿を、日本で応援してくれるたくさんの方々に見せたいです」

プレッシャーではなく、応援、期待される喜びを力に変える。それはアクバシュ監督も同じだ。
「日本の方々には、我々が国を代表して戦う姿を見て、幸せな気持ちになってほしいし、前向きな力を感じてほしい。目標達成をすることはもちろん大切ですが、国を代表して戦うことに私はとても幸せを感じているので、日本の方々にも同じように幸せを感じてもらえたら嬉しいです」
誇りと、幸せを抱いて。女子バレー日本代表のアジア選手権、いよいよ21日に開幕だ。

