正・副議長を巡る福岡県議会の金銭授受疑惑で、公開された“現金受け渡し”の音声データ当事者とされる県議会副議長が、議員辞職した。
告発した県議を「名誉棄損で告訴する」
議員辞職をしたのは、福岡県議会副議長の中尾正幸県議(61・北九州市若松区選出 当選6回)。
中尾副議長は、7月24日午後1時から記者会見を開き「私の発言で福岡県議会に対して大きな疑念が生じ、県政の混乱を招いてしまいました。また県民の信頼が大きく損なわれてしまいました。私は責任を痛感しております」などと述べ「県民の皆さま、県議会議員の皆さま、議会事務局の皆さま、謹んでお詫び申し上げます。ご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした」と頭を下げた。

一方、金銭授受については「何度も申し上げますが、私はお金を受け取っていません。事実無根であります。金銭の授受は絶対にありません。正・副議長のポストをお金で買うようなことは断じて許されないことであります」とこれまで同様に金銭の授受を強く否定した。

会見で、記者から「今回の辞職で県民が納得すると思うか」と問われると「それは県民の皆さまが判断するんではないでしょうか」と応えた。

また音声データを公開し、中尾副議長から金銭を要求されたと主張している吉松源昭県議(58・糟屋郡選出 当選7回)に関しては、名誉棄損で告訴するとの考えを示した。
告発した県議「トカゲの尻尾切りにせずに」
中尾副議長のこうした発言に対し、吉松県議は「まさか議員辞職とは思わなかった」と驚きを隠さず「この中尾副議長の辞職をトカゲの尻尾切りにせずに、これをスタート地点として第三者委員会を進めて欲しい」と話した。

その上で「辞めるか辞めないかよりも真実を話して欲しい。蔵内議長の説明責任もある」と真相究明を求めた。
県議会議長「君は並のトカゲじゃないよ」
蔵内勇夫議長(72・筑後市選出 当選10回)は、記者団の取材に応じ「中尾君は、最も頼りになる人物」と話した。

記者) 議長として受け止めは。
蔵内議長) 随分、異議を致しましたが、あの性格ですから頑としてやめたいという強い意思でございましたので、やむを得ないという思いでした。
記者) 中尾氏自身は、金銭授受に関して否定していたが、いま辞職する理由は。
蔵内議長) 彼らしいと思いますね。(議員)バッジを付けたまま調査を受けると、議会にも大きな影響が出ると。一般人として堂々と調査を受けたいと。一般人として堂々と自分の気持ちを表明していきたいということでございました。
記者) 中尾氏と蔵内議長とは二人三脚だったと思うが…。
蔵内議長) 「トカゲの尻尾切りと言われるかも分かりませんよ」と(中尾氏は)言いましたんで「中尾くん、君は並のトカゲじゃないよ」と。「ガラパゴスに生存しそうな、進化しない大トカゲだ」と。「しかし今回、自ら尻尾を切って、自分として戦いたいということは、私は良しとする」と。こう言いました。

記者) 蔵内さんにとっては頼りになる存在だったと思うが…。
蔵内議長) 中尾君は、最も頼りになる人物でございました。多くの同志、党派を超えて、議会運営、県政発展に努めておる身ですから、そこを踏まえて頑張っていきたいと思っています。

中尾副議長の地元、北九州市若松区の人たちからは、厳しい意見が相次いだ。
「(辞職して)よかったな。当然だなと」(女性)。「当然。遅すぎ」(男性)。「辞めてはいいけど、ちゃんと説明をして頂きたいですね」(男性)。

「本当に(金を)貰ってないんだったら、辞めるべきじゃないと思うけど、辞めるということは、なんかあるんじゃないですかと思いますよ」(男性)。
証言に矛盾 議員辞職でも深まる疑惑
中尾副議長は、金銭の受け渡しの段取りを話し合ったとされる2019年10月15日の音声データについて、前回の会見で「私の声だ。会話もした」と認め「大金を管理する」や「明日、それをやろう」という一連の流れも認めている。
そして吉松県議の証言によると、その金銭の受け渡しが行われたのは翌16日。これについて中尾副議長は「事実無根。受け渡しはない」と全面否定していたが、ここで矛盾が出てくる。

受け渡し当日の予定をキャンセルするやり取りが存在しなければ、中尾副議長の主張は整合性が取れない。そこで吉松県議や他の県議と予定をキャンセルする会話があったのかの質問に中尾副議長は「弁護士と相談している」「分からない」と答えた。
なぜ、弁護士に相談するのか?なぜ分からないのか?議員辞職で疑惑を濁し、いまも尚、説明責任から逃げているのでは。と思われても仕方がない今回の会見だった。
福岡県知事「一日も早く正しい事実を」
福岡県の服部誠太郎知事(71)もコメントを出した。

「突然の議員辞職に、大変驚いております。中尾議員は、県議会議長を経験され、現在は副議長という責任ある立場にいらっしゃいます。県議会の要職にある者として、今回の議長・副議長ポストを巡る金銭授受疑惑により、県議会へ大きな疑念を生じさせ、県政に混乱を招いた責任を痛感されたものと受け止めております」

「現在、この問題については、何ら事実関係は明らかにされておりません。県議会においては、二元代表制の県政の一翼を担う機関として、一日も早く、正しい事実を、真偽を、県民、国民の皆様の前に明らかにしていただきたいと思います」
議員辞職で、果たして県民の不信感や怒りが収まるのか?
(テレビ西日本)

