石川県七尾市。波穏やかな七尾湾ではカキの養殖が盛んで、日本海側では最大級のカキ水揚げを誇る。しかし2024年元日の能登半島地震の影響も大きかった。グルメレポーター彦摩呂さんが、震災から立ち直った宮本水産を訪ね、夏が旬の大きな岩ガキ料理を堪能した。
能登半島地震を乗り越えた宮本水産の岩ガキ
七尾市中島町。能登半島地震の爪痕が残るこの地で旬を迎えた岩ガキがある。冬の真ガキとは比べ物にならないほど大きく育つ夏の味覚だ。地震で店舗全壊の被害に遭いながらも、仮設店舗で営業を続ける宮本水産を訪ねた。
代表・宮本哲也さん:
能登の海の味を楽しんでほしい
震災を乗り越え、全国に届けられる絶品の岩ガキは、食リポの達人・彦摩呂さんも絶賛の味だった。
能登半島地震を乗り越えて…親子で育む絶品岩ガキの秘密
多くの人が思い浮かべるのは冬の真ガキだろうが、夏の岩ガキはとにかく大きい。人の顔に迫るサイズのカキもあり、その存在感に圧倒される。
しかし直売所に足を踏み入れると、能登半島地震の生々しい爪痕が目に入る。床にはひび割れや穴が空き、安全確保のために木の板が敷かれている。
作業場では、水揚げされたばかりの岩ガキの加工が続く。岩ガキは海の中で塊になって育つため、それを一つずつにバラす作業から始まる。ハンマーのような道具を使い、カキを切り離していく。地道な作業を経て、見慣れた殻付き岩ガキになる。
新鮮なカキをその場で開けると、殻いっぱいに詰まった乳白色の身が現れた。改めて岩ガキの大きさにビックリの彦摩呂さん。
「うわ~!すごいわ!」。
そして
「これ見ているだけじゃなくて食べたいんですけど…」と“おねだり”。
宮本さんの許可を得て大きな岩ガキを口いっぱい頬張った彦摩呂さんは、
「口の中でカキが渋滞してる…幸せー! 夏の岩ガキだけに夏季限定!」
海の恵みをダイレクトに感じるその味に唸った。
おいしさの秘密“大きな川がない海”

宮本水産の岩ガキのおいしさには、地理的な特徴が大きく関わっている。普通カキの養殖は川の河口近くの海で行われることが多いが、宮本水産のカキ棚は近くに大きな川がない海に位置する。
宮本さんは「ここは川が少ないので養殖にはあんまり向いてない」と話すが、実はこれこそが品質の鍵。水の濁りが少ないキレイな海でゆっくり育つため、雑味のない上質な味になるという。冬の真ガキは1年余りで水揚げするのに対して、夏の岩ガキは大きいもので5〜6年もの歳月をかけてじっくり育てる。
47年目でも「俺も修行」親子で守る味
今年で創業47年目の宮本水産を支えるのは、宮本さんと長男の高広さん。父・宮本さんは息子の成長を認めつつも「まだまだだけど、これから」と厳しい言葉をかける。
しかしその言葉は自身にも向けられている。「俺も修行だから。何十年やっとっても分かんない。何起こるか分かんないんで、海は」。
自然を相手にする仕事の厳しさを知るからこその、謙虚な言葉だ。
仮設食事処で堪能する“カキづくし”
震災で以前の食事処は全壊したが、「皆さんに新鮮なカキを食べてほしい」という強い思いから、2026年4月から仮設店舗での営業を始めた。カキフライ、カキの釜飯、焼きガキ——次々と運ばれてくる“カキづくし”の料理に、彦摩呂さんの目が輝く。
カキフライを一口頬張ると
「うわ~おいしい!カキジュースがウワ~って出てくる!」
釜飯には
「カキのエキスがご飯の一粒一粒に染み込んで、これはもう、海の炊き込みご飯の王様や〜!」
そして焼きガキを頬張ると
「味が詰まって濃厚!」「カキ、カキ、カキ、カキ、カッキーン! 食べるバッティングセンターや〜っ!」
次から次へと繰り出される絶品カキ料理に、彦摩呂さんの食リポが止まらない。
宮本さんは今が旬の岩ガキについて「生はもちろんおいしいですし、バーベキューにもいいですし。皆さん笑顔で一生懸命楽しんでいただければ。能登の海の味を楽しんで下さい」と呼びかける。
能登半島地震という大きな災難に見舞われながらも、家族で力を合わせて、能登の豊かな海の恵みを届け続ける宮本水産。その力強い歩みは、復興への確かな光となっている。
食事処の営業は土日のみ。今だけの旬の味を、ぜひ現地で味わってみてはいかがだろうか。
(石川テレビ・7月21日放送)

